古代ローマ帝国(共和制期)が支配するヨーロッパがモデルの世界
ヨーロッパ圏以外にもオリエント圏等も地続きで存在しているものの、設定以外では登場することはありません。
地理や都市名、国家名、大まかな歴史は現実世界のものと同じであるものの、史実と根本的に異なるのは、百人に一人の割合で特異な能力、『異能』と呼ばれる特殊な力を持っていること。
ローマ帝国の下、近隣諸国との対立や戦争、そして腐敗した元老院の下で繰り広げられる混迷の時期が舞台となります。
史実での地名や国名はフレーバーのようなものであり、それらを知らなくても支障は出ないようにします。
【ルール】
1.荒らしは相手にせずに通報
2.キャラリセは一週間
3.エロはやり過ぎない範囲で
4.世界観を崩すようなチートキャラ禁止
5.異能には明確な弱点と限界を記載
6.世界観の中核になる王族等は要相談
7.本編での顔文字の使用は禁止
8.ロルは三行以上お願いします
その他、進行相談や雑談、参加申請等は此方からお願いします
http://ha10.net/test/write.cgi/yy/1661573696/l2
属州カルタゴ領の寂れた街の一角にある酒場 最近は傭兵の出入りが増え、ただでさえむさ苦しい酒場は一層男臭くなっていた。
そんなところに“彼”はいた
カウンター側の席に座った彼は長い脚をもて余すように組、テーブルに頬杖をついていた。
周りから多くの視線を注がれる彼は心底退屈げだった。口角は下がり、切れ長の瞼から覗く白金の睫毛に縁取られた鮮血のような瞳はぼんやりと、自身が持つグラスを眺めている。
黒革の手袋に包まれた細く長い指は先ほどからまったく減っていないグラスを転がし、琥珀色の液体を揺らしていた。
そんな彼はまるで完成された一枚の絵画のような美しさだった。そんな彼の退屈げな表情はため息をつく度に薄く開かれる唇によって一層、蠱惑的(こわくてき)に写った。
>>3
酒場の酔っぱらい
「うぃ〜、ヒック。
……あ〜?なんだ?お前、見ない顔だな、もしかしてこの街は始めてかぁ?」
黒髪に焼けた黒い肌を持って質素な服装をした男おぼつかない足取りでフラフラとギルベルトの傍の席に座って、手にしたビールが注がれた小さな樽のような木製のカップを口にして酒を流し込みながら彼に問いかける
エジプトを制圧し、属州とした事でアフリカ北部では安く、アルコール度数も高いビールを量産することが出来るようになったようで、まだ日も登っているにも関わらず泥酔している
この酔っぱらっている彼のように、属州の小さな町で生きる者にとって、酒を飲んで、余所者と話すのが唯一の娯楽である事が町の規模の割に酒場に集まる人間の多さからもわかる
「…ん…?…あぁ、この街の者か。そうだな…確かにこの街は初めてだ。」
そう言って彼……ギルベルトは何か考えるようにその指先を口元に添える。数拍おいた後にゆるりと視線を上げて酔っぱらいに目線を合わせる。
「良ければこの州について教えてくれないか?最近この地に来たばかりなんだ。君さえ良ければ礼に一杯奢ろう。」
>>5
酒場の酔っぱらい
「お!気が利くねぇ。
いいとも、先ずはこの州の何が聞きたいんだ?」
ギルベルトが情報と引き換えに一杯奢ってくれると聞くと、手にしていた安いビールを一息に飲み干しては、バーテンダーに追加で一杯注文しては、何を聞きたいのかと問いかけてみて
「そうだな…まずはこの州の治安状況と昔と大きく変わったことがあったら教えてほしい。」
そう言ってギルベルトはにんまりと三日月のような細い笑みを浮かべた。
抜けるような白い肌にぱっくり裂るように開かれた口から覗く真っ赤な舌は……見間違えだろうか…蛇のように二又に分かれていたような気がした。
>>7
酒場の酔っぱらい
「昔と変わったところだって?
帝国の連中が来てから何もかもが変わっちまったよ……」
泥酔している事もあって相手の雰囲気の変化には気付けておらず、愚痴を吐くようにして、ローマ帝国への不満や、腐敗が横行して搾取や圧政が蔓延る現状について語り始める
酒場の酔っぱらい
「ゼルギウス派?とか言う貴族連中や、その貴族お抱えの帝国兵共が片っ端から略奪したり、圧政を敷いているもんでな?奴らが来てから一気に治安も悪くなっちまったよ……これじゃ、どっちが蛮族なのかもわかったもんじゃないね。」
「そうか………ありがとう それが聞けただけで十分だ。これで少し良い酒を飲むといい。」
そう言ってギルベルトはカウンターにこの店で一番良い酒を頼んでも少し余る程度のお金をおいた。
>>9
酒場の酔っぱらい
「お!こんなにいいのかい?」
ギルベルトがカウンターに置いた金額を見ては吃驚して再び彼の方を見る。自分の安い賃金では飲めない高額の酒を飲んでもまだ自由に使える分の金を見ては直ぐに懐へしまって
酒場の酔っぱらい
「そうそう、旦那も知っているかどうかはわからないけど、貴族連中には逆らわない方がいい。アイツらは野心とプライドの塊みたいな奴だからな……」
ローマ帝国の中枢にいる貴族達の危険性についても教える。この砂漠や荒野ばかりが広がるアフリカにおいて、助けてくれる者は少ない、そんな中で貴族を敵にしてしまえばもはやこの世界に居場所が無くなるに等しい状況になってしまうだろう
「あぁ、その忠告ありがたく受け取っておこう。」
そう言ってスツールから立ち上がり、出口に歩き出したあと
「おっと…これを聞くのを忘れていたな…」
くるりと振り返りまた此方へと歩みを進め、ゆっくりと屈み相手の耳元に唇を寄せると
「もし…知っていたら…」
形の良い唇からといきと共に囁かれる
「このあたりに…奴隷市場はないだろうか」
今度こそ蛇のように耳元まで口が裂け、牙の隙間から覗く真っ赤な舌は二又に裂けていた。……その時の彼の表情は長い前髪と手に隠されて誰の目にも映ることはなかった。
>>11
酒場の酔っぱらい
「…………!!
奴隷市場なら近くの内陸側の町に一つあるが……」
大金を目にして酔いが覚めたのもあって、今度は蛇のように避けた口に牙、二又の舌に気付いて怖気を感じるものの、相手の奴隷市場を探す問いかけに対して素直に応える
普段の彼(酔っ払い)であれば軽口や冗談の一つを合わせて言うのだが、それをするような素振りは無く
「……そうか!いやはや、君の親切心には感謝しないとな!」
パッと体を離すと先ほどとは違う、人好きのする無邪気な笑みを浮かべる。
「これも何かの縁だ。何処かであった時にはまた、一杯ご馳走させてくれ!」
そう言って今度は出口まで歩き、肩越しに振り返ると
「……Erzähle niemandem, was du gerade gesehen hast…」(今見たことを誰にも話さないように)
人差し指を口元で立てた彼の瞳は針のように細くなっていた…
>>13
酒場の酔っぱらい
「お、おう!旦那も達者でな!」
まるで蛇のように不気味な雰囲気を見せたかと思うと、無邪気な笑みを浮かべるギルベルトに戸惑いながらも、また一緒に一杯飲み交わそうと言う言葉を聞くと、此方もまた陽気な笑顔を見せて
偉そうな帝国士官
「相変わらず埃臭いところだな?」
ギルベルトが酒場の外へ出ようとしたところ、金髪をオールバックにして、赤い鎧の上に細かい装飾の施された絹のマントを羽織った見るからに金持ち&偉そうな風貌をした青年が二人の部下を率いて現れ、酒場を一望するとそう一言吐き捨てるように言う
ごめんなさい、なぜかサブ記事に書き込めなくなってしまいました
16:酒場の常連◆3.:2022/09/03(土) 14:35 >>15
【うーん、ちょっと時間を空けて投稿するか、本文の下に【】等で区切って伝えるかにした方が良いかもですね】
「……あぁ、すまない」
酒場を出ていこうとしたギルベルトと肩がわずかにぶつかる
【明らかにこの街の人間じゃないのと、サーベル、女でもなかなかいないような美しい顔ということもあって青年に絡まれることにしてもいいですか?】
>>16
偉そうな帝国士官
「……痛てぇな!」
肩がぶつかると、それが殆どダメージにもなっておらず、殆どよろめくことも無いぐらいであったにも関わらず、オールバックにした額に血管が浮かぶ程に怒りを露にした青年がギルベルトの方を向く
偉そうな帝国士官
「おい、テメェ何処を見て歩いてんだ?
この俺がカルタゴを治める貴族、マクシムス家の御曹子にして、十人隊長(デクリオ)。
『狼火のルキウス』様と知っての事かァ?」
青年は自分の肩にぶつかったギルベルトに対して持つ肩書きの全てを口にしてギルベルトを平服させようとする。彼のこれまでの経験では、こうして自分の地位を誇示するだけで平民や流れ者は例外無く跪いて命乞いをして来たのだろう
【はい、勿論良いですよ!】
「いや、知らないな。あいにく私は傭兵で、この地にきたばかりでな」
そんな凄みもどこ吹く風。憎らしいほど美しい、しかしどこか張り付けたような笑みを浮かべる。
>>19
狼火のルキウス
「ほー?つまりは流れ者って事か。
よし、お前らコイツを取り押さえろ。」
ルキウスは蛮族の隠れ家の一つを殲滅した帰りに、この酒場へ立ち寄り、酒場にある酒の全てを奪って奴隷市場のある町へ帰還しようとしていたのだが、跪かずに応えるギルベルトの整った顔立ちと、見慣れない武器、傭兵である事を聞くと、
自身を数歩後ろに下がり、両脇にいた帝国兵二人をけしかけて彼を取り押さえようとする
「……あいにく他人に触られるのは好かんのだ。」
そう言って自身を捕らえようとする二人の手を避け、すれ違いざまに二人の首筋にてをやり撫でるような仕草をする。
「…?…!?カヒュッ……!」
突然首筋を撫でられた二人はぐるりと白目を向き床に倒れふし、わずかに痙攣する
驚くひまさえ与えられないまま困惑し固まるルキウスの前に歩み寄る。トンって軽く心臓の当たりを触れる。
「ぐッあ゙あ゙ぁぁ゙ァあ゙」
刹那、耐え難い苦痛が心臓の当たりを襲い、たまらずうずくまるルキウスを彼は冷ややかに見下ろす。ゆっくりとその長い体躯折り、ルキウスだけに表情が見えるように顔を掴んで上げさせてあの蛇のような表情を浮かべると
「いいか?貴様が今見たものは全て白昼夢だ。そこの部下は…立ちくらみでも起こしたんだろう。貴様は何かの病気かもしれんな。ここで水でももらって休んで入ればいい。落ち着いたら早く帰って医者にでも見てもらえ。」
じっと目を合わせて低い声で言い聞かせる。
【彼が操れるのは水だけではありません。大体の液体は操れます。部下二人が倒れたのは首の太い血管の血液を一時的に遮断され、脳に酸素がいかなくなり気絶しました。 ルキウスも同じように心臓の中の水分を破裂寸前まで膨張させて激痛を与えました。ギルベルトがルキウスに言い聞かせている間も脳に送られる血液の量を制限し、意識をもうろうとさせて洗脳しています。 しかし、人体に触れている間しか力を行使できません。】
>>21
狼火のルキウス
「ごほッ……!この野郎……俺にこんな事をして……ただで済むと思ってんのか……!!!」
顔を憎悪と憤怒に歪め、苦痛に踞りながらも自分に危害を加えたギルベルトの顔を凝視してその顔を覚えていく。
彼にとって先に倒れた部下二人の安否など何の気がかりにもならず、酒場の出入口から彼の部下達が次々と店内に入り、意識を失い倒れた部下二人と共に二人がかりでルキウスを支えながら立ち上がらせてこの場を後にしようとする
【あー……今回は進行上、必要だとは思いますが、今後は確定ロルをなるべく控えてもらえませんか……?】
「あー、逃げられてしまったか。もう少し強くしておけば良かったなぁ…」
そうぼやきながら何もなかったかのように手をはらって酒場の外に出る。
【ごめんなさい!今後も身勝手なことがあったら指摘してください!】
↑訂正
ルキウス達が完全に去るまで店内で待つ
>>23
酒場の酔っぱらい
「おい、みんな見たか?」
酒場の客A
「ああ……!!」
酒場の客B
「あのいけすかない帝国の連中に何もさせずに追い払ったなんてな……!!」
酔っ払った傭兵
「兄ちゃん、ありがとうなー!!」
酒場では、帝国の力を恐れて誰も何の抵抗も出来なかった中、帝国兵二人を瞬時に制圧し、傲慢な帝国兵を追い払ってくれたギルベルトに対しての称賛の言葉と拍手が送られ、店の外に出ても暫くはその歓声が止むことはなく
【いえいえ〜、以降はその辺りに気を付けて下されば大丈夫ですよ〜】
「さて…今日中に隣街に行って宿を見つけねば……」
そんな独り言を呟きながら酒場を出たギルベルトは一人、閑散とした街並みを歩き出した。
(噂が確かであれば、何度も返品され続ける“翠眼の奴隷”がいるはずだが…どうやら先ほどの貴族達は奴隷市場がある街に行くようだったし……参ったなぁ…面倒なことになった……)
そんなことを考えているうちに隣街に着いた。
【カルタゴ領 隣街の門前】
帝国兵A
「おい、そこのお前!止まれ!!
検問だ!!」
ルキウスが地元の有力者の御曹司だったと言うのは事実だったようで、彼に攻撃したせいか、街に入るための門には十人程の帝国兵と、隊長と思われる鶏冠のある兜を付けた帝国兵が街に入る者の検問を行っており、北アフリカの荒野を歩くギルベルトを呼び止めようと
「……何の用だろうか?」
心底うんざりしているという声色を隠さずに、しかし顔を見られる前に素早くベネツィアンマスクのような鴉を模した面を付けて相手から見えない位置に短剣を構える。
>>28
帝国兵 門番長
「荷物を全て出して目的を言ってみろ、平民。」
門番隊の隊長と思われる男が首をコキコキと鳴らしながらマスクで目元を隠している相手に対しては荷物の提示と目的を話すように命じる。
貴族であれば事前に自分達のところに報告が来た上で、多数の護衛や従者を率いて、更に貴族の特徴である派手な装飾がされたトガやトゥガを身に付けているのだが、そのいずれにも該当していないことから相手を平民だと判断して
周囲には退屈そうに欠伸をしていたり、武器や盾を磨いて気怠そうにしている兵士ばかりではあるものの、この人数差を武力で片付けるとなると、街の中にいる守衛による増援が駆け付けてくるだけでなく、目的の奴隷市場の封鎖をされてしまうだろう。
(面倒だな…ここで蹴散らしてもいいが…まだ全体の守衛の数も把握していないから悪手だな。ならば…)
構えていた短剣をゆっくりとガーターにしまい、重心を低く落とす。深く息を吸い、短く吐き出す。血液を全身に行き渡らせて脚に集中させて………
(…いまだッ!) 一気に走り出す
それは到底人間に出せる速度ではなく、並大抵の者では目で追うことも難しい速さで門番の空いたを走り抜ける。
>>30
帝国兵 門番長
「・・・!!!侵入者だ!!各員警笛を鳴らし、配置につけ!!」
門や城壁そのものに常時発動型の防御障壁が展開されていたり、何らかの侵入妨害能力を持った人員もいないのか、簡単に門を突破する事に成功するものの、街中を駆けるギルベルトに向かって、通りにいた守衛二人が手にした槍を横に振り払う事で走り抜けようとする相手の体を切り裂こうとする
(チッ!やはり強行突破は難しいか…!あまり使いたくないが…)
血管への付加を最小限に抑えるため、僅か数秒にもみたい間に目に血を集めて動体視力を上げて槍を避ける。
(このルートで行けば…守衛をまきつつ、川へ…)
同じようにして脳の情報処理能力を上げて最短距離を導き出す。
【次のロールでギルベルトを休ませて他の人のロールも見たいので、ここで撒けたことにしてもいいですか?】
>>32
帝国守衛兵A
「ちッ!すばしっこい奴め……!」
帝国守衛兵B
「奴の向かった方向にいる奴らにも伝えて確実に追い込むぞ!!」
走るために強化された両足や腹筋、動体視力と判断速度を上げるために頭と両目にも血の流れを引き上げた事で血流の流れの集中が分散され、移動する速度が落ちたところ、川へ向かっていくギルベルトを見て、追いかけはしないものの、街の中で包囲するための陣形を作ろうとしていく
ドボンッ!
ギルベルトは一度大きくよろけると大きな水しぶきを上げて川へ落ちた。その川は水嵩も多く、水深も深い。極めつけに流れの速い暴れ川である。
(グッ!)
こみ上げる吐き気や頭痛、足の鈍痛を抑えこみ周囲の水を操り、さらに川の底に沈む。
川底につくと水の壁をドーム状に展開し、その身を隠す。
「ハァ゛……ハァ゛……!」
荒い呼吸を繰り返し、容赦なく襲ってくる苦痛とめまいに耐える。
(しばらくは……まともに動けそうに…ないな…仕方ない、少し…休む……か………)
暗く静かな水中で一人、ギルベルトは眠りに着いた。
【しばらく動かさないので、この間にお話を進めてください!】
(────その頃、その隣街にある一人の男がやって来る。
騒ぎの最中、そして思想的に何らかの問題を起こしそうな人物だとはいえ、まだ明らかに何もやっていない。
······だが、検閲に反応するのは元々の性質らしく、少しだけ身構える。そして少し不自然な配置から、元の形から人数が減っているらしいとも断定する。
門を入ろうとする時に、近くの帝国兵にそれとなく質問をする。)
······検閲とは大仰な······何かあるのか?
【ロル投下させて頂きます〜】
>>35
帝国 門番兵A
「ああ、この街に侵入して来てな、まさかこの辺りの領域の統治者の息子、ルキウスを敵に回した上で街に侵入するだなんて馬鹿な奴さ。」
帝国 門番兵B
「わかったら、荷物を出して目的を言ってくれ。」
気怠そうにギルベルトの侵入への愚痴と共に、新しく門前に訪れた彼を検問しようとする。話の中から、ルキウスと呼ばれる地元の有権者に、引いては帝国に喧嘩を売った輩がいる事が判明する
>>36
成程な······ほら、これが荷物だ。さっさと終わらせてくれ
(薄く笑って手荷物を出す。
ただ、その笑みの意味は誰も知ることが出来ないであろう。傍目から見れば、愚かな行いを冷笑している、と解釈されるかも知れないが······。
ちなみに手荷物というのは多少の路銀と保存食、そしていくつかの通行手形である。)
>>37
【酉間違えました······自分です······】
>>37
帝国 門番兵A
「あー……?」
帝国 門番兵B
「……おいおい、駄目じゃねぇか、こんなもんを持ってちゃなぁ?」
怠そうに通行手形と手荷物を確認すると、確認している兵士とは別の兵士が、自分の懐から隠そうともせずに堂々と麻袋を取り出すと、相手の目の前で開く……すると、その中からは麻薬のハーブが出て来て
帝国 門番兵C
「おい、こんなもんを持ち込もうとするなんてとんでもねぇ奴だな!!」
門番兵が取り出したハーブを見て、検問していた兵士達もグルであったようで、次々と兵士達が集まってくるものの、この帝国において、富は何よりも強い力となる、幾らかの賄賂を目当てにこのような事をし始めているのだろう。
賄賂を払って穏便に済ませるか、一戦交えて帝国を……世界を敵に回すか。
>>39
はぁー············
(呆れた、という体で大きくため息をつく。
僅かに姿勢を落として兵士達の姿勢や態度を再確認する。······恐らく、この男は······賄賂を払う事など考えていない。勿論、この国においては富が最も強い力になる、ということは承知している。しかし、彼がこれまで受けていた、純スパルタ人的教育······『力こそが全て』。
これもそれを実践するのにいい機会だろう────と思ったのか、不意に短剣を抜いて門番兵Bの首を貫こうとする。······並大抵の反射神経では回避できない一撃である。)
>>40
帝国 門番兵B
「………!!!」
突き出された短剣が番兵の首を貫くと、手にしていた麻薬の入った麻袋と共に地面に崩れる。案の定、スパルタの強靭な戦士と比べると、数の多さが取り柄である帝国兵では回避することが出来ずに一瞬にして決着が着いたものの、それは新たなる戦いの始まりであり
帝国 門番兵A
「テメェ……!!」
多額の賄賂をせしめて自分達の今日の酒代にしようと考えていた中、予想外の出来事が起こったため、周囲の番兵達が驚きながらも次々と槍や剣を構え、先程検問をしていた番兵が剣を振り上げて問答無用で斬りかかろうとする。
>>41
(────異能が発動、速度が上がり······剣を振り上げた番兵の後ろへと回り込む。そしてその首根っこを掴もうとしつつ、高らかに言う。)
はは────お前らの騙る実力とは······この程度か?
(祖父直伝の簡易的ハメ技である。どの方向から攻撃しようとしても、人質にして肉壁である番兵にそれが当たる状況が一瞬にして作り出された。)
>>42
帝国 門番兵C
「その間抜けごとやっちまえ!!」
帝国 門番兵A
「おい!嘘だろ!?やめろ!攻撃するな……がァッ!?」
《ドスッ》
帝国兵同士は互いに冷酷かつ残忍な性格をしているのか、槍を持った帝国兵は何の躊躇いもなく番兵Aもろとも相手の体を槍で貫こうとする。
勝利のために犠牲を払うのがスパルタ兵の精神であるのなら
帝国兵は私欲のために他を犠牲にする思考の持ち主ばかりなのだろう
あまりこの門番を相手に時間を稼がれてしまえば、ギルベルトの捜索のために哨戒に出ていた守衛達が増援に駆け付け、彼の祖国が滅ぼされた時と同じように物量で圧倒されてしまう事になるだろう……
>>43
成程······良いじゃないか!
(盾の代わりにしていた番兵が貫かれようとするのを見て、もはや意味がなくなりつつあるその体を前に押し出すようにすると、その陰から番兵Cに向けて持っていた短剣のうち一つを投擲する。
それにしても······と一瞬の隙を突いて周囲を観察する。
少しばかり数が多い。······いつもの大斧を置いてきたのは失敗だったか······とやや後悔する。
恐らく大斧を持っていたら、証拠隠滅の為にこの場にいる番兵を皆殺しくらいにはしていたかもしれない。)
>>44
帝国 番兵D
「おらッ!!」
《ゴオッ》
投げられた短剣が番兵Cの体に突き刺さり、倒れるものの、背後に回り込んでいた番兵が剣を大きく振り上げて人数の差を活かした背後からの奇襲を仕掛けて斬り伏せようとする。
こうしている間にも次々と帝国兵達が集まって来ており、いつの間にか最初に門の前にいた兵士の数の倍の人数になっており、街の中にも更に多数の守衛がいる事を考えると、どれだけの敵兵と戦わなければならなくなるのかは想像もつかない。
更に、ローマ帝国の強みである、高度に組織化された軍隊の特徴から、既に近隣の帝国兵にもこの一件が報告され、援軍が送り込まれて来るのかわからない……
個々の力に幾ら秀でていようと、百や二百の兵には敵わないだろう
それが出来るのであれば、ローマ帝国は地中海を席巻する程の大国を作り上げることは出来ていない
>>45
おっと······
(すんでのところで背後からの奇襲を察知し、異能にものを言わせた高速横飛びで剣を回避する。返す刀で首に回し蹴りを直撃させ、その隙に番兵Cに刺さった短剣も回収する。
そして目も止まらぬ速さで落ちていた手荷物も回収し────麻薬の麻袋で悩んだ。これをそのままにしておけば、殺人の上麻薬持ち込みの重大犯に仕立て上げられかねない。
······いや。数人の兵を血祭りにあげた時点で、もう執るべき方針は決定している。
せめてもの腹いせとして麻袋を踏みつけておいて、元来た門へと走り出そうとする)
>>46
帝国兵
「撃て!!」
元来た門へ走り出す相手の背後、街の中から現れた帝国の弓兵達が合成矢(コンポジット・ボウ)を構え、号令の下、一斉に相手一人に向けて矢が放たれる
矢の一本一本の精度は悪いものの、数十本単位で統制が取れた状態で放たれているため、精度の悪さが逆に範囲の広さと回避の困難さを生み、異能を持たぬ雑兵レベルであるとは思えないほどの殺傷能力を作り出している
>>47
······
(······だが、いくら矢が多いとは言っても所詮は異能が乗っていないのである。追尾矢や、熟練の兵が放つ速く重く正確な矢に比べれば、隙は見つけやすいし落としやすい。
逃げながら後ろをちらと確認し、直撃しそうな矢があれば卓越した反射神経で払い、打ち落としていく。)
>>48
帝国兵
「ちッ!逃げ足の早い奴だ……!
直ぐに索敵部隊を出せ!あの反逆者を捕まえて処刑しろ!!」
矢を巧みに防がれ、とても徒歩では追い付くことの出来ない速度で去って行く相手へ、更なる追撃をする事が出来なくなり、見逃してしまうものの、直ぐに索敵部隊を編制することを決めた帝国兵達は門や街へと戻っていく
>>49
······もう諦めるのか?
(矢鳴りが消えて、不審に思ったのか周囲を見回し······そう呟く。てっきり追撃してくるのかと思っていたが、杞憂であった。······さて、良い方に捉えれば良いのか、それとも。)
······
(いくらかの返り血を浴びたことに気付き、近くの川へと向かう。体を洗うついでに水も汲んでおきたい、と思いながら。)
コポン……コポン……
すんだ水中をあぶくが生まれては上へ消えてゆく。
ゴボリ……ゴボリ…!
ひときわ大きなあぶくが誰かの意識と共に登っていった
パチン!
あぶくは割れて うたかたの夢は水輪となり
少し揺らいで 消えた
「…んぅ……?」
痛みでまだ少しボーっとする頭を軽く擦りながら、体をゆっくりと起こす。
(……何だろう…ひどく暖かくて、懐かしい夢を…見た気が、する……あぁ…思い出せない……)
先ほどまで見ていた夢に気を取られながらも自分が何の目的でこの街に来たのか、今から何をすべきかを反芻して頭の中を整理してゆく。
(奴隷市場にはあまり兵士は歩けないはず…幸い今は夕暮れ時…うまく市場までたどり着けば、そこで納屋でも借りれば……)
そこまで考えてから一つ、軽く頭を振り、橋桁の影に隠れるべく浮上を開始した。