物語の舞台は現代日本
1万人に1人の割合で異能力者が生まれる世界
ある者は正義のために異能を使い
ある者は私欲のために異能を使う
異なる二つの信念が交錯する時、善悪をも超えた死闘が始まる
冷酷なまでに正義のために日夜犯罪者の粛清を繰り返す
日本の極秘特殊機関"八咫烏"と日本中の犯罪者達の死闘を描いた物語
>>2 ハウスルールと募集枠について
>>3 八咫烏について
>>4 キャラシートの作成例
>>5以降から募集開始&本編開始となります!
>>791
紀一人の状態から自分達が加勢したことにより、頭数だけは五分五分へと持ち込めた。
問題はやはり紀の消耗具合である。彼女にも気を配りながら戦わなければならない。
「その為にも……」
巨大な鋼の扇子を作り出し、横溜めに構える。
「どおおおりゃあああああっっ!!!」
凄まじい勢いで振り抜く。鍛え上げられた己の筋肉だけでなく、能力で扇子自体も加速させることで超高速の一閃を実現する。結果、周囲を覆っていた濃霧は暴風に退かされ始める。
「うし、これでくっきりはっきり見えるようになるだろ」
扇子を足元に突き立て、ニカッと笑う。
いまいち視認し辛かった桜空と紀の様子が一目瞭然となる。とりあえずはどちらも致命的な事態にはなっていないようだ。
「おおっとと、こっちも火の粉を払いますかねえ!」
瞬時に鋼鉄棍を再形成。
既に目前まで迫っていた新たな枝を、残らず叩き落とす。
「さーて、そろそろ本体の樹が見えてくる筈だけどな……」
風圧により掻き分けられていく濃霧。鋼鉄棍を肩に乗せ相手の出方を窺う。
「っておいおい! 割りとシャレにならねえ事になってんな!」
ふと紀の方へ視線を向けると、なんと霧の者に今にも止めを刺されそうになっている最中だった。
少し目を離した隙にこれか。あの霧の奴、思った以上にやるようだ。
「させるかよ!」
すかさずパチンコ玉の指弾を撃つ。
こういった緊急事態には、予備動作も使用リソースも少ないこの技が便利である。
銃弾と遜色ない速度で飛ぶ小鉄球は、そのナイフを持つ腕を貫かんと迫る。
「桜空っっ!!!! 仲間が殺されそうになってるぞ!! どうするんだ!!」
喉がはち切れんばかりの勢いで叫ぶ。
非殺傷を通し抜き八咫烏の殺戮行為を許すか、それとも仲間を助ける為に殺しに手を染めるか。
桜空の、選択はーー
>>801
《グアッ》
周囲の濃霧を払い、視界をある程度確保した事で紀の危機状況が判明したものの、戦場において不用意に周囲へと注意を分散するのは直面した敵対者に対する注意が欠如するため、悪手にしかならない……
打ち砕いた枝の一本一本にはそれほど異能による強化が施されていないと言うことはつまり、幾らでも即座に再生可能と言うことであり、砕かれた次の瞬間にはもう再生し終え、再生したばかりの枝槍がほぼ全方位から中川の体を貫こうと迫る。
また、そろそろ術者のいる根元へ近付けたと思いきや、術者が近いこともあり、根元部分と言う局所的にだが、異能か集中している事もあり、鋼をも超す硬度となった樹木によって阻まれてしまう。
樹木使い
「………!!」
だが、絶望的なままと言うわけではなく、紀と霞鴉の姿が見えたと同時に、その奥にある濃霧の中に地面に両手を付けた人影が見える。
位置的にもその人影こそがこの樹木使いの本体であるのだが、中川と樹木使いまでの距離は優に20mはある上に、何処から新しい枝槍を生やして来るかわからない……
>>802
戦場において頭数が減るのは、そのまま敗北への一歩。故に周囲の仲間を、余裕のある内に気遣っておくのは寧ろ定石といっても過言ではない。目の前しか集中できないようでは、それこそ早死にが待っているだけである。
「! くそ、壊したそばからこれかよ……!」
即座にコイル式ジャンプ台を形成、空高く飛び上がった。
恐ろしい再生速度だ、普通のやり方ではジリ貧になる。
(……仕方ねえ『修行の成果【おくのて】』の一つを使うか!)
今こそ虎の子を白昼に晒す時。
「そうらっ!! 手足のどっかは覚悟しな!」
意を決し、円盤型のブレードを生成、フリスビーの要領で空中から投擲する。数は2つ、樹木使いと霧使いの両方を狙った。
丸鋸、ソーサーなどの通称を持つそれは、高速回転を以て彼らを襲う。
……と、これだけならば強化された樹木で防げるだろう。
(けどこいつはそうもいかねえぜ?)
何故ならその円盤刃の刃先部分はある鉱物で出来ていた。
黒曜石。
外観は黒または茶色の半透明。ガラスとよく似た性質を持ち、脆いという欠点はあるが、割ると非常に鋭い破断面(貝殻状断口)を示すことから先史時代より世界各地でナイフや鏃(やじり)、槍の穂先などの石器として長く使用された。
(で、その凄ぇ切れ味の理由ってのが……)
刃先が単分子レベルの厚みしかないのだ。この特性により、他に類を見ない程の切断力を発揮する。
これが『修行の成果【おくのて】』の一つ。徹底的な己の見直しと鍛練の結果、黒曜石をも支配下に入れるに至った。
>>803
樹木使い
「…………ッ!!」
樹木使いは両手を樹木そのものに変えているため、一度異能を解除しない限りは動くことが出来ない。かと言って立ったまま両腕を樹木に変えるとその樹木そのものの重さからいずれにせよ動けなくなる……これが樹木使いの持つ異能の代償の一つ。
中川の投げた黒曜石の円盤に対し、その刃の側面を何百何千と同時に殴るようにして地中から次々と夥しい数の枝槍……いや、これまでのように貫くのではなく、命中するための面積を広げ、打撃力を引き上げた強化した樹木を大量に伸ばすことによって、自分と霞鴉に向かった黒曜石の円盤を叩き割り破壊しようとする。
黒曜石の硬度はモース硬度に換算して"5"
これは通常の石と大差無い硬度であるため、黒曜石は脆く、割れやすい。この打撃を受けてしまえば成す術もなく砕かれてしまうだろう……
更に、薄さに特化した事が仇となり、物質そのものの密度も低く、一度砕かれてしまえば実質的に無効化する事が出来る。
もし、これが相手の不意を突くような形で繰り出していれば……或いは防御技を持たぬ者に対してであれば読み通りに撃破する事が出来ていただろう。
樹木使い
「こんなところで死ぬ訳には行かない……!
悪がいるからみんな苦しみ悲しむ……
何人にも金鵄様の邪魔はさせない……!!」
樹木使いもまた死に物狂いでそう簡単に勝ちは拾えない。
名も無い鴉にも守りたいもの、譲れない信念がある。
だからこそ、最後の最後まで足掻き、限界を超えてでも自らの力で抵抗し続ける。
樹木使いが戦う理由はたった一つ。
"誰も苦しまない、悲しまない世界にする"
金鵄がもたらすその世界こそ、自分の命を捨ててでも叶えたい理想だ。
故に樹木使いは反撃に転じる。
両腕の一部である樹木から再生した無数の枝に無数の棘を備えさせ、貫くだけでなく、それに触れるだけでも裂傷するように茨へと変異させた上で、空中に飛び上がった後、自由落下して来るだろう中川を追うようにして無数の茨を伸ばす。
樹木使い
「お前達には何の信念も理想も無いだろう!?
あったとしても他者を未来永劫苦しめるだけの欲望だ!!
そんな奴らに……邪魔はさせない!!!」
【八咫烏の過去】
氷華
「私の望みはただ一つ。
苦しみも悲しみも無い楽園のような世界にする事だ。」
樹木使いの脳裏にはかつて、氷華が金鵄になって直ぐに開いた就任式の際の演説の一部が蘇る。
氷華
「私はかつて、悪によって両親、故郷、弟を失った……
この場にいる者の中にも何かを奪われた者も多いだろう。」
氷華
「だが、私は単に全てを奪った悪に対して復讐がしたい訳じゃない。
私と……いや、私達と同じような悲惨な目に合い、人間として生きられただろう時間を、人生を奪われる者が現れないような世界を作り上げる。」
氷華
「例え私が命を落とすことになろうと……私はこの悲劇の連鎖を絶ち切り、何者にも奪われる事の無い、苦痛も、恐怖も、絶望も、悲しみも無い未来を創る……!」
樹木使いと、翼腕の鴉の二人も、この時の氷華の語る理想に、自分の理想を重ね、心の内に誓った。
"このお方と共に、このお方の理想を叶えよう"と……
樹木使いも、翼腕の鴉も、過去に理不尽な悪に人生を狂わされた者の一人であり、復讐に取りつかれ、闇雲に悪とされた者達を葬り続けてきた……
だが、氷華の持つ圧倒的な力と才、そして頑なな信念が二人の心を掴んだ。
この二人の目から見えた氷華は、先の見えない復讐と憎悪の闇を彷徨っていた二羽の鴉に進むべき道を教え、暗闇を照らしてくれた存在。
それはまさに闇を払う"太陽"のように……
桜空「っ!!!!!ぁぁあああああぁあああああああああああぁぁぁぁああっ!!!!!」
バキバキバキボキボキィイイッ!!!!!
(両足を潰され、骨が折れていくのがわかる・・・・・
そして、更なる追撃として頭突きを御見舞してこようとする相手に桜空は・・・・・
「っっ!!!!!」
ゴッ・・・・・!
桜空も負けじと頭突きをし、威力を相殺して何とかしようとする・・・・・)
>>799
紀「・・・・・っ」
《もう・・・・・ダメ・・・・・》
ぐっ・・・・・ぐっ・・・・・!
(紀も、能力の限界を超え何とかギリギリで抵抗していたものの、とうとう自分の死を悟り始める・・・・・
が、最後にとことん抵抗してやろうという意思はまだ残っており、その執念が自分の首とナイフの先端の間を数ミリ空けることに成功する・・・・・)
>>800
「中川!!!!!私の生死よりも目の前の的に集中なさいっ!!!!!」
絶体絶命とも言える中、中川に自分が今死にそうになっているこの状況に気を取られずに、目の前の敵をねじ伏せることに集中するように叫ぶ・・・・・
本来ならばもう大声など出せないはずだが、最後の火事場の馬鹿力というやつか・・・・・)
>>801
【一応、今桜空は紀や中川さんがいる場所とは別の場所で戦っているということになっています!わかりづらくてすみません!】
>>中川さん本体様
>>806
翼腕の鴉
「ぐがッ……!!?
こ…の……石頭が……!!」
鴉の繰り出した嘴と桜空の額が激突すると、鴉の嘴が砕け、頭突きの衝撃を諸に頭部に受けてダメージを受けるが、それは桜空も同じであり、高い硬度を誇る嘴と激突した事で彼の額にも致命傷にはならないものの、少なからず傷が出来る。
だが、桜空の両足には鴉の巨大な鉤爪が深々と突き刺さっており、総ダメージ量で言えばまだ鴉の方に分がある……
翼腕の鴉
「俺はまだ負けねぇ……!
負ける訳にはいかねぇんだよ!!」
とは言え、少しでも距離を空けられれば鴉から桜空へ攻撃する手段が無いため、再び両腕を翼に変え、至近距離から無数の羽根弾を撃ち込んで一気に桜空を仕留めようとする。
鴉にも負けられない理由がある。
こんなところで死ぬ訳にはいかない、何が何でも氷華の理想を叶える……そのために自分達はいるのだから。
【紀vs霞鴉】
《ザアァァァァァ…》
霞鴉
「惜しい……」
あと一息で紀の首を斬れたにも関わらず、紀の最後の最後、執念から成る異能によって少し押し返されたところに、中川の打ち出した小鉄球の風切り音を聞いて、自身の体を一瞬にして霞に変える事でその攻撃を透過して回避する。
霞鴉
「助かった……って思っているところ悪いけど……
次は無いよ?」
霞鴉は紀から10m離れた場所で新たに霞の中から具現化すると、まるで今のように追い詰める事など何時でも出来ると言わんばかりに不敵な笑みを浮かべて紀に対して言う。
また、自身の体を一旦霞に変えた後から、中川が吹き飛ばした濃霧が再び戦場に戻り始めており、現在霞鴉の立っている場所はまさに戻り始めた濃霧がある場所となっている。
桜空「それは俺だって同じだ・・・・・!!!!!」
スゥッ・・・・・!
(桜空は再びゲートを出現させ、転送先を真上にすることで自分に攻撃が当たるのを阻止する・・・・・
が、やはり防御に使用している辺り、桜空自身も自分の能力では相手を倒すことは出来ないと薄々察知しているようにも見える・・・・・)
>>807
紀「あなたもしつこい人ですね・・・・・」
(もう力がほとんど残っていない紀は、精神的にもかなり追い詰められており疲れ切った笑みを浮かべては霧鴉のことをしつこい人だと評価する・・・・・
相手のまだまだ余裕と言わんばかりの表情に怒りが湧いてくる・・・・・)
>>808
>>809
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「ハハハッ!それじゃあ……この距離ならどうだ!!」
《ググググ……》
ゲートによって大きく広げた翼から放つ羽根弾を全て頭上へ転移させられると、広げた翼を盾にして防ぎつつ、桜空の両足を食い込む鴉の両足に力を強め、そのまま桜空の両足の筋肉をも握り潰そうとする……
羽根弾を防ぐことは出来ても、既に接触している箇所からの攻撃には対応のしようが無いだろう……
だが、鴉の方も無傷では無く、翼で防ぎきれなかった羽根弾によって鴉自身もダメージを受けており、身体中に裂傷が出来ている。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「言っただろう?ボクは勝ち続けるためには手段を選ばないと……」
《スッ》
【霧幻爪(ファントムクロウ)】
霞鴉は周囲の濃霧に溶けるようにしてその姿を消した次の瞬間、紀の右後ろに現れ、殴り付ける勢いに乗せて紀の首を切り裂こうと襲い掛かる。
体の霧化と実体化を瞬時に繰り返す事で瞬間移動するようにして相手の近くへ移動し、相手の死角から斬撃を繰り返す……
手負いの紀を相手にこれだけの手段を用いることから、霞鴉には正攻法で戦いをするつもりは毛頭無いのだとわかる。
>>804
(くそ、やっぱここからじゃ遠すぎるか……!?)
周囲に本人の姿が見当たらない状況では、流石に声は届きはしないか。
「うげぇ、これも駄目かよ……」
貴重な手札の一つを切って尚、事態は好転しない。胸中に焦りが募る。
そんな中、樹木使いの言葉に耳を傾ける。
「……」
悪がいるから。
理想。
欲望。
「自惚れんな」
射抜き殺さんばかりの視線を向けた。
脊髄に熱が走る、神経が機敏になる。
魂が奴を赦すなと叫ぶ。
空中で手甲と脚絆を形成、刺で手足が傷付かないよう対策する。
「てめえらのソレは信念でもなんでもねえ」
目で追うのがやっとの速さで拳打と蹴りを打ち込む。刺の枝は悉く打ち砕かれ、着地を許してしまう。
返す刀でアッパーカットを放ち、また枝の一つをへし折る。
続けて流れるように回し蹴り。更に一本ひしゃげさせた。
「ただの自己陶酔だ」
枝が強くなっているなら、こちらも同じこと。それも手甲と脚絆という、体に密着するものの関係上、強度も『馬力』もこちらが優位である。
言い換えれば、この手甲と脚絆は、防具とマッスルスーツを兼ねていた。
……しかし、
「しゃらくせえ!」
それでも、押し切れない。膠着状態から競り勝ってはいるのだが、いかんせん『押し』が遅すぎる。こうしている間に仲間が死んでは意味がない。それに加え、こちらも徐々にかすり傷などを付けられ始めていた。
(これでも駄目だ、もっと別の方法を……!)
そう判断するやいなや、手甲と脚絆を円形盾に変化させる。枝の濁流が押し寄せ早々に軋みを上げた。あと数十秒もすれば無惨に破壊されるだろう。
「さぁて、いっちょ試してみますか!」
ある合金を紐状に無数に形成、高速で蛇が這うような動きで全ての枝に絡みつかせた。
すると……
3000℃もの火花が枝の表面を包んだ。
その金属の正体はフェロセリウム。
鉄とセリウムの合金である。木の肌のような表面が荒い物で高速で擦ると、高温の火花を起こす。UN1323(クラス4.1(可燃性物質)容器等級 II)に分類され、輸送する際には定められた容器や方法を用いなければならない程の代物。
瞬く間に枝が燃え上がり始める。ここまで高い温度では最早霧による湿度も、ましてや強度など関係ない。
加えて、全ての枝を隆次一人に向けていたことが事態を加速。
火の手はあっと言う間に燃え広がり『隆次の周囲』というごく狭い空間にしか展開していなかった枝達は、ものの数秒で全て炎上する。
「いくら理想が崇高でも、そこに至る道程が間違ってちゃ意味ねえんだよ」
【畏まりました、ではそのように描写します】
>>主様
>>811
【中川vs樹木使い】
樹木使い
「……………なッ!!」
手数でも物量でも此方が勝っている上に、じきに霞鴉が紀を仕留めて此方へ増援に来る。そうなればもはやこの優位性が崩れることは無く、圧勝できると考えていた矢先、生成した無数の枝の全てが瞬く間に焼き尽くされて行くのを見て驚愕する。
予め、バオバブの樹のように水分を樹木の中に蓄え、更に周囲の濃霧から水分を常時補充することで山火事に合おうとも耐えきれる程の耐火性能も備えていたのだが、それも3000℃の業火を前に意味を成さず、瞬く間に燃え散って行く。
樹木使い
「ぐ………ああぁぁぁぁぁぁッ!!!」
樹木と一体化していた事が仇となり、地中に伸びていた樹木本体と、樹木と一体化していた両腕を介して樹木使いの全身にまで炎が燃え移り、地面を転がりながら全身を覆う炎を必死で消そうとする。
こうなった以上、もはや勝敗は決した。
中川が巻き起こした炎によって周囲の建物にまで燃え広がり、窓ガラスや建物の壁をも焼き焦がし、風と共に周囲へと炎は勢いを止めること無く燃え広がって行く……
悪とされる組織を潰して回っていた鴉達と、街や、そこに住む人々を危険に晒し、実害を出してまで正義とされる鴉を倒そうとする中川……
この様子を端から見ればどちらが悪なのか判別できる者はいないだろう……
【あれ?そう言えば自然界にあるモノしか操れないんじゃなかったんですか?合金とかは明らかに人工になっていますよw】
【セリウムも立派な金属なので、鉄との合金状態での使用も問題ないと判断しました。また、先程自分でプロフを確認したところ『石、砂、金属、宝石といった、地面に由来する物質を生成、操作出来る。』とあったのでやはり問題はないかと。どうしてもまずいようなら直前の投下を書き直します】
>>主様
>>813
【流石に合金とかもありとかになると分子操作や原子操作レベルも可能になるので、合成とかにも生成できるサイズや、数に限界があるか、それを使う度に生死に関わるような代償がかかるようにして下されば特に問題は無いですよ。
また、地面に由来するモノであれば無条件で操れるとなると、普通にボスキャラである三羽鴉以上になるので、そこを調整して頂けると幸いです】
桜空「ぐっ・・・・・!?」
(意識を保っていられるのが不思議なくらいの強烈な激痛・・・・・
しかし、桜空は激痛に耐えながら「俺ばかりに気を取られていたようだな・・・・・!」とニヤリとして言い放つ・・・・・
直後、天井の蛍光灯が割れ、破片が相手めがけて落ちてきた・・・・・
桜空が転送先を上に向けて攻撃を回避していたのは、これが狙いだったのだ・・・・・)
紀「徹底的に相手を叩き潰すそのやり方、敵ながら評価します、ですが・・・・・」
ゴッ・・・・・!
(相手が実体化し右後ろに出現するのとほぼ同時に、紀は右後ろへと振り返ることなく拳を振るう・・・・・
実体化した状態から、また体を霧に変えて溶け込んでゆくその前に、こちらから反撃に出る・・・・・
相手は最後の最後まで抵抗してくる自分を仕留めるためならば、仕留めるには絶好のやり方である背後からの不意打ちも仕掛けてくるだろうと、霧鴉が離れた直後にどの角度で攻撃されても対応できるよう、覚悟を決め感覚を研ぎ澄ましていた・・・・・)
>>810
【ありがとうございます!】
>>中川さん本体様
>>815
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「なに……!!?」
天井の割れた蛍光灯の破片が桜空の展開したゲートによる空間移動を介して振ってくると、咄嗟に両腕の翼を交差させて頭上からの衝撃に備えるものの、それによって腹部がガラ空きにとなる。
また、桜空の両足を鉤爪で突き刺している関係上、翼腕の鴉の俊敏さや機動力も自らの封じてしまっているため、今ここで桜空が渾身のボディーブローを打ち込めばダウンさせる事が出来るかもしれない。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「………!!」
連続して全身を霧に変えるにはある程度の間隔を開ける必要があるのか、このまま再び全身を霧に変えればいいにも関わらず、それをせずに迎撃をしようと考え付く。
だが、此方へ振り向かずに裏拳を放つのを見て、右手に装着したカランビットナイフの刃先を紀の拳に向けて迎え撃つようにして突き出す事で逆に紀の拳をナイフで貫こうとする。
少しずつ見え始めた霧の先
霞鴉と言う得体の知れない無敵の存在が見せた小さな綻び…
これを確固たる反撃の目に出来るかどうかは紀次第……
桜空「っ・・・・・!」
(今しかない、今、この時しか・・・・・
なんとか戦うことは出来ても、能力を使っても倒すことはできない相手を倒すにはチャンスは今しかない・・・・・
桜空は、力を振り絞って全力の一撃を繰り出す・・・・・
「っぉおらぁぁあああっ!!!!!」)
ドボォオンッ!!!!!
>>816 (翼腕の鴉)
紀「そんなに私が仕留めやすそうに見えますか?」
グォンッ・・・・・!
(紀は自分の拳を貫くことに気を取られて一瞬生まれた隙を見逃さずに、そのまま先ほどと同じように体を霧に変えられる前に相手のこめかみめがけて回し蹴りをする・・・・・
無敵にも等しい霧鴉の隙を突けたのはかなり大きいだろう・・・・・)
>>816 (霧鴉)
>>817
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「ぐぉ……ォ………!!?」
《ドサッ》
頭上から落ちて来た蛍光灯を頭上に振り上げた両腕の翼によって防ぐものの、桜空を渾身の一撃が鴉の腹筋をも打ち抜いて殴り飛ばし、翼腕の鴉はそのまま桜空の両足を突き刺していた鉤爪もろとも吹き飛んで行く。
そして、今の一撃をもろに受けた事によって翼腕の鴉は意識を失い、そのまま地面に倒れ、異能も解除される。
【紀vs霞鴉】
《ドスッ》
霞鴉
「フフッ、よくわかっているじゃないか。」
霞鴉は裏拳を止めて回し蹴り
回し蹴りは威力が高いものの、その分、大振りに動かなければならず、その攻撃に必要な動作は先程の裏拳よりも大きい事から、拳を突き刺すために構えていたナイフの刃先を紀の脚に向ける。
更に、カランビットナイフを持った右腕を更に押さえ、蹴りの威力を緩和させるために左腕で右腕に交差させるようにして構える。
これによって回し蹴りを放つ紀に対して逆にその勢いと攻撃を利用して紀自身が自らナイフに突き刺さり、そのままの片足を潰すことになる……
だが、ナイフによって片足が潰れる事を恐れずに蹴りを放つ事が出来れば、まだ霧化する事の出来ない霞鴉に対して少なからずダメージを与えることが出来るだろう。
>>812
「ん?」
(なんで火事なんか起こってんだ!?)
周りを見ると、建築物まで火が燃え移っていた。
「いやなんでそんな広ーく燃えてんの!?」
今しがた燃やした範囲はせいぜい半径5m以内。それがどうして離れた位置にある建物まで燃え広がっているのか。
『何故か』炎が燃え広がり、
『何故か』それに自分は気付かず、
『何故か』スプリンクラーなどの消火設備は作動しなかった。
「枝か? あいつの枝がそこらじゅうに張り巡らされてたのか!?」
「……ああもう! 考えてる暇はねぇ!」
即座に土を覆い被せ、消火を行う。酸素の供給さえ絶ってしまえば簡単なものだ。
「だが規模がそれなりにデカい、ちょいとしんどいな」
暫くの間、隆次は消火の為駆け回ることになる。
ーーーーーーーー
「ふぃ〜っやぁっと終わっ……!?」
「うっ……ぐ……!!」
一段落ついた途端、形容し難い脱力感が襲ってくる。
堪らずその場で膝を付き、やがて倒れた。
「あぁ〜やっぱキッツ……」
無理に体を動かそうとすればする程、余計に重くなるような感覚。
たったあれだけ、たったあの量でこのザマだ。もし数分以上かつトラックみたいな大容量を使っていたらどうなっていたことやら。
「能力を切った瞬間ダレるってわけじゃねえのは、助かるっちゃ助かるが……」
『合金』などというある種原子操作、分子操作にも片足を突っ込む領域である以上、寧ろこの程度の代償で済んでいると考えるべきなのか。
そして合金以外でも、完全に無条件というわけではない。一気に大量に使えばすぐ疲弊するし、地震や地割れなんてのは土台不可能。要は合金を使えば消耗度合いが極端に大きくなるのだ。
(こうしてる間にも、二人が危ねえかもしれねえってのに!)
直ぐに助けにいけない自分に歯噛みする。
(にしても……)
(もしそこらじゅうに張り巡らせてた枝が燃えてたんなら、そもそも樹木の野郎が不法侵入みてーなことしてたってことじゃねえか?)
【成る程、わかりました。では消耗が大きいという方向性で書かせていただきます】
>>主様
>>819
戦いの決着は付いた
樹木を使う相手に火は確かに有効だ
だが、ここは街の中にあるファーストのアジト
火花程度のものであるとは言え、3000℃もの火が出て、地中を覆うようにしてアジト全体に張り巡らされていた樹木使いの枝を介して燃え広がってしまった影響は大きい。
術者が倒れた事で樹木との一体化が解除され、形成されていた樹木も急速に朽ち始め、消えて行くものの、一度作り出された炎は風や可燃物に乗って運ばれ、その被害は拡大していく。
鉄やコンクリートと言ったものは燃えることは無いものの、アジト内にあるカーテンやカーペット、木製品はもちろん、アジトの周辺にある木造家屋等も可燃性の物である上に更にアジト内には霞鴉達によって殺害された遺体もあるため、アジトの内外にまで炎は燃え広がってしまう……
もし、このままアジト内に炎が蔓延し、火薬庫に引火してしまえば……
それこそ大惨事が起きてしまうだろう。
樹木使い
「霞鴉様……金鵄様……
私は……ここで……終わりますが……この者達に………少しでも……」
更に樹木使いは自身がこのまま中川に葬られるぐらいなら、最後の最期まで、業火に包まれていた樹木使いは、神経が焼かれた事で痛みすら感じなくなった事で、新たなる足掻きを思い付く。
自身の体を焼く炎を使うべく、自身の身体中から無数の枝を周囲へと新たに伸ばし、それによって中川の奔走によって鎮火しかけていたアジト内へと更に火種を増やし、再度アジト内を火の海へと変え始める。
自分の命ある限り、自分を焼く炎がある限り、少しでもファーストへ被害を及ぼそうとする……
もし、中川がファーストの信条の通り、炎に包まれた相手の命を助けるため、相手の体にある炎を先に消していれば……もしくは樹木使いの誤りを正すことが出来ていれば……
樹木使いも、本来ならば守るべき無垢の民を守るために火を消すために協力していたかもしれない。
桜空「はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・」
(かなり体力を消耗してしまった・・・・・
だが、これでとりあえずしばらくは相手も目を覚まさないだろう・・・・・
今は、仲間達の身の安全を優先しなければならない・・・・・)
紀「あまい・・・・・!」
ドガッ!!!!!
(紀は何の迷いも躊躇いもなく霧鴉に回し蹴りを食らわせる・・・・・
今更、足を負傷することなど怖くもなんともないのだろう・・・・・)
>>818
>>
【桜空vs翼腕の鴉 決着】
翼腕の鴉
「ぐ……あ……金……鵄………様……」
既に意識を失い、床に倒れて気絶しているものの、それでも尚、金鵄の事を呼ぶようにして、彼女の名前を呟く……
例え氷華の理想が歪んだものであったとしても、それを信じ、悲しみも苦しみもない世界を渇望し、そのために命を賭けて戦う意思のある賛同者もいる……
桜空の両足には翼腕の鴉の鉤爪によって骨にまで届くほどの重傷を負わされていることもあり、この状態で霞鴉に挑むのは無謀だとも言えるだろう。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「な………ッ!!?」
《ドガッ》
カランビットナイフを構え、紀の脚に向けてナイフの刃先を向けつつ、紀の視線や手足の動きを読み、その動きを予測している。
例え避けられたとしても、自分が再び霧化するまでの時間が稼げる。
回避しようと攻撃の手を止めようと、自分の計算通りであり、自分の優位性は崩れない……そう確信していた。
だが、その霞鴉の予想を裏切るように、ナイフが脚に突き刺さる事も厭わずに蹴りの威力を落とすことなく放った事で、始めて霞鴉にダメージを与えることに成功する。
霞鴉
「……ぐ………ぅ…………
賢いとは言えないね……そんな深傷を負った状態では……まともに動くことすら出来ないだろう?」
《ザアァァァァァァァ》
霞鴉はいきなり予想に反した事をした事に驚きつつも、直ぐに自分の体を霧化させて紀から30m離れた場所へ逃れると同時に紀の脚から即座にナイフを抜く。
今の一撃で紀の片足が使い物にならなくなった筈であり、この状態であれば充分に距離を取った自分の前に移動する事は出来ない、このまま距離を取ったまま攻撃し続ければそれで自分は勝てる。
そう考えた霞鴉は30m先で自分の周囲の霧を多数の槍へと具現化させ、それを紀に向けて撃ち出すことで遠距離からの攻撃で仕留めようとする。
>>820、822
『かもしれない』は『かもしれない』でしかないのだ。決して確定ではない。
(なんでこんな、道を外しまくった奴相手に気を遣いまくらなきゃいけないのかねぇ)
そもそも、樹木使いに正気が残っているなら、どこかしらのタイミングで八咫烏を抜けている筈である。
そうでもないのに相手の善意を信じるというのは、単に危険なだけでなく無責任そのものといえる。
更に言うなら、彼らはこれが明確な殺戮行為であることを理解した上で実行に移し、且つそれが正しいと信じ込み、おまけに途中で迷うこともなかった。そんな人間をどうして『土壇場で改心するだろう』と思えるだろうか。
そして対処するにあたり、中学生レベルの感情論をねじ込み、やれ○すな、やれ相手と同じになるだのとほざく自陣営のトップ。
(改めて考えるとホント頭おかしいことしてんな俺ら……)
ブラック企業にも通ずる部分がある。
「とはいえ……」
樹木使いに土を大量に被せ、即座に鎮火。無論新たに燃え広がった部分もだ。またも襲う疲労感は気合いで耐える。
先程といい、何故か被害拡大しやすい風が、八咫烏にとって都合よく吹いていたのは気掛かりだが、今はおいておこう。
おかしな挙動を起こした時点で生成の用意はしていた。そのお陰で被害は最小限に収まる。
「一度やり遂げるって断言しちまったからなあ」
今更それをねじ曲げるのも癪だ。
「ここまできたら、行けるとこまでいくしかねえか」
身の振り方を変えるにしろ、それからでも遅くはないだろう。
(それに……)
やはり自分は八咫烏とは反りが合わない。共感できるのは本当に理想だけであり。その為の過程や方針はどうにも受け入れられないと再確認。たとえFirstを抜けるとしても、八咫烏に鞍替えすることは有り得ない。
加えて、桜空の理念についても、彼自身がその責任を取れないようなら、その瞬間反逆すると心に決めている。その点も現状維持を選んだ理由である。
「とりあえず、後で大将に謝っとく必要はあるな」
完全に相手に非があるのは確かだ、しかし桜空からの命令が『○すな』であったのも事実。ならばここは頭を下げるのが筋であろう。
「それはさておき」
仲間の助太刀に向かわねば。
一分一秒が惜しい。早速巨大扇子を再び作り出し、渾身の力で振るう。
「でりゃああああっっ!!!」
濃霧は蜘蛛の子を散らすように逃げ去り、紀の様子が露になる。案の定窮地に陥ったままで、風前の灯といった体だ。
「まだ生きてるみてぇだな! とりあえずは安心だぜ!」
言うが早いか、砂利のショットガンを放つ。
小粒の群体は全ての槍に襲い掛かり、横殴りの形で軌道を逸らした。
>>823
霞鴉
「……二人ともやられたようだね。
これは少し予定外だったけど……予想を超えるものでは無いね。」
霞鴉
「(まあいい、霞鴉を払う事が出来るようだけど、対処法方はそう難しいものじゃない…)」
【霧幻騎士(ミストブレイカー)】
《ザアァァァァァァァ…》
中川の背後に両手に長剣を持った人型の分身体が現れ、具現化された霧の剣先を振り下ろすことで彼を背後から切り裂こうとする。
先程中川が振り払った事で周囲に霧はもう無くなっていたのだが、何もナイフ空間から新たに霧を生成して操る事が出来るようで、周囲は再び視界をも遮る濃霧に満たされ始めてしまう。
霞鴉の作り出したそれは分身と呼べるほど精巧なものではなく、人の形をしてはいるものの、その顔や細かい姿は再現されておらず、人の上半身を持った霧そのものとなっている。
桜空「・・・・・」
スゥッ・・・・・
(このまま放っておいても大丈夫だろうとは思ったものの、ここまでやられても尚氷華への揺るぎなき忠誠心を見せつけられた桜空は、何を思ったのか翼腕の鴉を治療マシンの中へと転送する・・・・・)
紀「・・・・・あまいですね、中川・・・・・」
(こんな状況で、まだ仲間を助けようだなんて考えている中川に対してあまいというが、その直後に「とりあえず、礼は言っておきます、ありがとう・・・・・」と言い、ふらつきながらも立ち上がる・・・・・)
>>822、823
>>825
霞鴉
「キミは油断大敵と言う言葉を知るべきだ。」
《ヒュオッ》
中川の妨害によって紀に向けて放った霧の槍が全て逸らされるものの、依然として紀と霞鴉の間には30mも離れているため、幾らでも攻撃するチャンスがある。
そこから、霞鴉は中川に向けて繰り出した霧の分身を生み出した時と同じように、今度は紀の頭上に濃霧を作り出し、紀の頭上から多数の霧の槍を降らせて不意討ちを兼ねて攻撃しようとする。
ズウゥッ・・・・・!
(いきなりワープゲートが出現し、全ての槍を仲間の以内場所へ転送すると、桜空が顔を覗かせる・・・・・
「お前のお遊びもここまでだ・・・・・」
桜空は霧鴉に向けて宣戦布告すると
「中川、紀、お前達はアジトに戻ってろ・・・・・」
と言い、強制的にゲートで二人を転送しようとする・・・・・)
>>826
>>827
霞鴉
「フフッ、一度ボクに敗れ、今も両足に深傷を負った状態で勝てるとでも思っているのかい?」
ワープゲートを介して姿を見せた桜空が紀と中川の二人に撤退を進め、自分に挑もうとしているのを見て、以前に彼が自分と戦って敗れ去り、捕縛された事を指摘する。
桜空「物覚えが悪いもんでね・・・・・やれるところまでやってやるよ・・・・・」
(自信満々・・・・・いや、元より力も自分よりも上で、しかも自分は両足を負傷しておりこの有様だ、自信満々なのではなく、これが当たり前の反応だろう・・・・・
「先行を譲ってやるよ、霧野郎・・・・・」)
>>828
>>829
霞鴉
「フフッ、威勢がいいのは結構だけど……キミに悲報だ。
もうキミは生きて捕らえるよりも始末した方が良いと判断したよ。」
【霧幻騎士(ミストナイト)】
《ザアァァァァァァァ…》
桜空の背後に霞が発生し、その中から両手に大剣を持った騎士の上半身が現れ、桜空の背後から交差するようにして両手に持った大剣を振り下ろして切り裂こうとする……
>>824、827
「なっ!?」
後ろに違和感を感じ視線を向けると、剣を持った人間?が振りかぶっていた。
「くっ!」
振り向いて反撃……間に合わない。
(じゃ、これしかねえな!)
直後、霧の分身体は強烈な打撃で吹き飛ばされていた。
鉄山靠(テツザンコウ)
背中で体当たりを繰り出す八極拳の技の一つ。蟲鴉との戦いでも披露した技だ。
「あの時の戦闘は知らされてねえのか? 俺の後ろを取っても無意味だぜ?」
口ではそう言うものの、内心では焦っていた。
(さっきからなんなんだコイツの能力は!? 霧を操るだけじゃねえのかよ!?)
自身を霧に変えて攻撃を無効化。これだけでも十分『ぼくのかんがえたさいきょうののうりょく』といえるが、まあいい。まだ理解できる範疇である。
問題は次だ。霧から衣服だけでなくナイフや槍まで作り出している。一体どういう仕組みなのか。
(霧っていったら小さい水滴じゃねえのかよ!? それが繊維や金属に変わるなんて、ご都合主義もいいとこだぜ!)
まるで合金を無条件無制限に使える自分自身、いやそれでも足りないと思える程に、この能力は脅威だった。
(……まさか、霧を使うってのは偽装で、実際には原子や分子を直接操作してんのか?)
脳裏に、ある恐ろしい可能性がよぎる。この状況で決して考えたくはない、あって欲しくない、そんな可能性。
しかし……もしも、万が一そうだとすれば、これまでの矛盾点が解消されてしまう。
こめかみを嫌な汗が流れる。
「紀ちゃん、あいつの能力、見た目通り霧に限定したものだと思うか?」
「っ!?」
そこまでだった。どうやら桜空が無理矢理自分達を転送させるつもりらしい。
「おい!! 大将っ!!」
霧使いのことで頭が一杯になっていたせいで反応が遅れ、ゲートに飲み込まれてしまう。
「……!……!!」
食ってかかろうとするがその努力も空しく、転送は完了した。
ーーーーーー
【Firstアジト】
「ふざけんな!! 何考えてやがる!!」
怒りの余り壁に拳を叩き付ける。
能力抜きでも、鍛え上げられた筋肉から放たれるそれは非金属製の壁を容易くへこませた。
「くそ! くそ!」
尚も殴打を止めない。
ただただ悔しかった。桜空から実質的に信頼されていないことが、そしてこれから彼が討たれてしまうであろうことが。
ここまで離れていては最早何を生成しても間に合わない。それこそどんな合金であっても。
(せめて、あの樹木使いをもっと早く倒せていれば……)
顔を片手で覆う。
もっといい戦果を残していれば、桜空は自分を強く信頼し、霧使い相手に共闘できていたかもしれない。
(……いや、よそう)
そこまでで思考を止めた。
現実に『たられば』はないのだ。
『かもしれない』は『かもしれない』でしかない。決して確定ではないのだから。
桜空「そいつは面白い、俺が能力の限界でくたばるのが先か、お前にやられるのが先か、それともお前がやられるか、勝負といこうじゃないか・・・・・」
ブォンッ・・・・・!
(桜空はワープゲートを再度出現させると、騎士の振り下ろした剣がワープゲートの先、桜空ではなく別の場所に当たることで桜空は攻撃を回避する・・・・・
「お前も反則レベルの能力だから、俺が能力でどんな回避しても文句はねぇよな?」)
>>830
紀「・・・・・桜空の奴、どこまでも私達をコケにするつもりのようですね、ガキが・・・・・」
(結局は能力で自分達を避難させるという結果になった、戦わせるのか待機させるのか、正直ハッキリとさせてもらいたいところではあるが、何より自分達が弱く見られているような気がして納得がいかない・・・・・
「中川、貴方さっき、敵の能力が霧に限定したものかどうかと聞いてきましたね?」)
>>831
>>832
【桜空vs霞鴉】
霞鴉
「フフッ、自分の生まれ持った異能をいかにして上手く使えるかだうかじゃないか?ボクの方がキミ達の異能を上手く使えるかもしれないね。」
霞鴉は手の内を明かすことを嫌う。
霞鴉は再び周囲の濃霧に紛れ込みながら、桜空の後方だけでなく、正面にも新たに霧の騎士を作り出し、挟み撃ちにするような形へと変えて行く。
正面にいる騎士は桜空に向けて正面から突くようにして大剣を突き出し、背後にいる騎士はワープゲートから剣先を引き抜き、桜空の左右から挟み込むようにして大剣を振るうことで三方面からの同時攻撃を行おうとする。
霞鴉は巧みに異能の本質を隠し続ける。
霧化と霧の具現化が主軸となっているのだが、その上限がどれほどまでのものなのかはまだわからない……
>>832
「……ああ、どうにも気になったんだ。小さい水滴から金属に変わるなんて、どう考えてもおかしいぜ」
いつまでも嘆いているわけにもいかないので、紀に質問の続きをする。
「俺の杞憂だったらいいんだが……ありゃ原子・分子操作の可能性もあり得るぞ」
だとすれば桜空の勝率が更に低くなる。
桜空「使えない能力に対する上手く使えるかもしれないって発言は控えるんだな・・・・・」
スゥッ・・・・・!
(桜空は、今度は自分自身を転送することで攻撃を回避する・・・・・
しかし、アジトへ逃げたりはせずに、この霧が満ちているフィールド内に限定しての移動転送であり、不利とわかっていながらもまだ相手に立ち向かう・・・・・
桜空が幼少期に見た、怯まずに見ず知らずの子をいじめるいじめっ子を助ける為に立ち向かっていた氷華を理想のヒーロー像としているのか、桜空自身もまた、歪んだ正義感を持つ八咫烏には怯まずに立ち向かってゆく・・・・・)
>>834
紀「それか、霧の能力であるというのが嘘ではない可能性も・・・・・」
(紀は続けて「もし私の想像が現実ならばどうやってるかはわかりませんが、複数の能力を持っていて、それを使い分けている、という可能性もあります・・・・・基本、能力者は一つの能力しか持っていない、でも中川は霧以外の能力なんじゃないかと感づき始めたあの霧野郎がもし複数能力持ちだったとしたら、それを仄めかすようなことを自らするとも思えません・・・・・」と言う・・・・・
ファーストのアジトに治療マシンなどという万能マシンがあるのと同様、複数の能力を持たせることくらいは八咫烏に出来てもおかしくはないはずだと紀は考える・・・・・)
>>834
>>835
霞鴉
『フフッ、あのまま逃げればよかったものを。
むざむざやられるためにこの場に留まるだなんて愚かとしか言いようがないね。キミももっと賢くなりなよ?』
霞鴉は辺りを満たす濃霧の中に潜み、新たに現れた桜空に対して、中川を仕留めるために生成したものを含めた三体もの霧の騎士達を向かわせ、前後左右の三方向から同時に斬りかからせようとする。
霞鴉はまさにその名の通り、全てにおいて霞に巻くような言動や戦闘スタイルをしている……
しかも……霞鴉の余裕の様子や、桜空の異能を目の当たりにしても尚、余裕を維持している事から仮に空間転移によって逃げ切れたとしても、それが幸を成すかはわからない。
霞鴉は現状、霧に姿を変えているため、このまま霧になったまま、霧の騎士を使って戦いをされている限り反撃の糸口すら掴めなくなってしまうだろう。
何とかして霧となった霞鴉の本体が出てこざるを状況を作り出すことが出来ればその糸口が見えるようになるかもしれない。
桜空「悪かったな、頭が悪くて・・・・・」
スゥ・・・・・
(桜空は自分の下にゲートを出現させ、落ちるようにして騎士達から10mほど離れた場所へ移動する・・・・・
桜空自身も、何も考えずに攻撃の回避に回っているのではない、常に考えて行動している、だが相手は一歩も二歩も先を読んでいるかのように、隙のない攻撃を仕掛けてくる・・・・・)
>>838
>>839
霞鴉
『その愚かさが故に悪に至った訳なのかい?』
《ザアァァァァァァァ…》
騎士達の振るった大剣が空振りに終わるものの、10m離れた桜空の前へと瞬時に騎士達も移動し、何度でも斬りかかろうとする。
徹底して隙を見せず、常に自分が有利な状態を作り続ける……これが霞鴉の頭脳が生み出す必勝の戦術なのだが、もし、桜空が巨大なゲートを開き、それを高山の山頂やビルの最上階と言った突風の吹き荒れる場所へ繋げる事が出来れば
霞鴉は濃霧もろとも吹き飛ばされる事を阻止するために実体化するかもしれない。
桜空「愚かで悪に至ったからこそ、生きてこれた・・・・・」
スゥ・・・・・
(家族を悪人に奪われ、孤児院での大切な日々と大切な人も奪われた自分は、悪人として生きることになったからこそ、今まで生きてこれたのだと告げる・・・・・
ゲートを出現させるにも、風が強い場所、ビルの最上階は桜空の転送能力を持ってしても身の危険が付き纏う、山などはほとんど行ったことがなく、桜空は他にいい場所はないかと頭をフル回転して考える・・・・・)
>>840
>>841
霞鴉
『そして、今ここで果てる……と言ったところかな?』
【霧幻騎士団(ミストナイツ)】
《ザアァァァァァァァ……》
霞鴉に剥けて振るわれた大剣の斬撃に対して回避も防御もしなかった事から次々と桜空の体が斬り裂かれてしまう。
そんな中、霞鴉の生み出せる霧の騎士の数は三体が上限ではないようで、百人にも及ぶ大軍団が瞬く間に生み出されていく……
これこそが中川達が参戦した際に霞鴉の言っていた"数的有利"の正体なのだろう。
霞鴉
『茶番は終わりにしよう。
キミには一筋の勝機も見せない。』
霞鴉は自身の創造した百を超える騎士の大軍団を桜空に向けて突撃させ、その圧倒的な物量によって桜空を今度こそ勧善に葬ろうとする……
桜空「がっ・・・・・!?」
ビシャッ・・・・・!
(反応が少し遅れた、たったそれだけのことだが、生死をかけた戦いにおいては、致命的ミスとなる・・・・・
攻撃を受けたことにより桜空の体から血が飛び散るが、転送の為のワープゲートが開き、どこかの山奥に場所が変わる・・・・・
不気味な小屋がただそこにポツンとあるだけであり、とても逆転勝利できるようには見えない・・・・・)
>>842
>>843
《ザアァァァァァァァ……》
霞鴉
「もう逃げることは出来ないよ?」
桜空がワープゲートを介して山奥の小屋へ移動するものの、その桜空が開いたワープゲートに濃霧の一部と共に入り、桜空の背後で再び姿を現すと、右手に持ったカランビットナイフを桜空に向けて殴る勢いに乗せて押し出し、一気に決着を付けようとする。
最初は突撃させている霧の騎士達を送り込もうとも考えたが、霧の騎士達の移動速度ではワープゲートの開閉に間に合わない。そのため、霞鴉自身が霧となって高速でワープゲートを通り抜ける事で桜空に先回りを仕掛けていた。
奇しくも霞鴉が姿を見せ、厄介な霧化も数秒の間使えない状況にする事が出来たものの、両足がまともに動かせない桜空ではこの一撃を回避するのは困難だろう……
仮に再びワープゲートを作って移動しようとも、至近距離にいる霞鴉もそれに合わせて即座にゲートを通って追撃を仕掛けて来るだろう…
>>836
複数の能力持ち、紀の口からそれを聞いて納得する。
「なるほど、確かに能力は一人一つなんて、誰が決めたわけでもないしな」
目から鱗とはこのことだろう。
荒れていた感情も幾らか静まり返る。
現時点での情報を統合すれば、霧操作主体で原子・分子操作を補助的に使う、といった具合か。
桜空「・・・・・」
(もはやここまでかと、桜空らしくもなく覚悟を決める・・・・・
死にたくない、戦わなければならない、でも体が動かない・・・・・
意志とは対照的に、体は動かすことが出来ないという、覚悟を決めるしか道は残されていなかったその時・・・・・)
ビュォッ・・・・・!
(強烈な突風が吹き荒れる・・・・・
まるで、桜空に味方するように・・・・・)
>>844
紀「まぁ、憶測の域ですが・・・・・」
(これは推測でしかなく、実際はどうなのかはわからない・・・・・
だが、能力者が存在する以上、可能性としてはゼロではないはずだ・・・・・
どの道、相手が悪すぎた、桜空はもうダメだろうと思っている・・・・・)
>>845
>>846
狼谷
『おちおち死んでもいられねぇな。』
これは夢か幻か、黒いボサボサの髪に、不健康そうな肌、特徴的な丸い眼鏡をかけた男……狼谷が桜空の横に現れ、霞鴉に向けて右腕を翳すと同時に巻き起こった突風によって霞鴉の異能の主軸となっていた濃霧が掻き消される。
彼は確かに死亡した筈であり、
この狼谷の姿も桜空にしか見えない幻のようなものなのかもしれない……
霞鴉
「…………ッ!!
サーマル……いや、山風か……!?
だけど……今の状況ならこのナイフ一本で充分……!!」
突如巻き起こった突風によって纏っていた濃霧が掻き消されてしまうものの、満足に動くことの出来ない桜空一人を仕留めるにはナイフ一本で充分であると判断している。
普段の彼女であれば距離を取って様子を伺うなり、再度濃霧を展開する事を選択するのだが、ナイフが突き刺さる事も厭わずに蹴りを繰り出した紀の姿と言うイレギュラー要素を目の当たりにした事で勝ちを急いでしまっていた。
吹き込んだ突風に、霞鴉の選択ミス。
この二つの大きな要因が桜空に味方をする。
桜空「・・・・・!」
(いきなり吹き荒れたこの風は、もういないはずの狼谷の協力か、それとも極限状態が見せた幻か、どちらにしても桜空は今ここでやれという狼谷の言葉を受け取ったような気がした・・・・・)
桜空「させ・・・・・ねぇよ・・・・・!!!!!」
グォンッ!!!!!
(桜空は残りの力を振り絞り、この戦いでは最後になるであろうワープゲートの展開をする・・・・・
転送する際に吹き荒れる強風も一緒にゲートを通しており、霧鴉を包むように通っている為霧を掻き消したまま転送することに成功する・・・・・
ゲートの先がどこに出るかは、桜空しか知らない・・・・・)
>>847
>>848
霞鴉
『言ったろう?逃がしはしないと……!』
桜空がワープゲートを生成したのを見て、彼の左肩を掴んで一緒に空間移動すると同時に、手にしたカランビットナイフの刃先を桜空の喉に向けて押し出し、桜空の喉を掻き斬って絶命させようとする。
桜空「くっ・・・・・!」
ズブッ・・・・・!
(桜空は自分の右腕を喉元の防御の為に突き出して敢えてナイフを刺させることで防衛する・・・・・
「いいぜぇ・・・・・!そんなに逃がしたくないなら、仲良く一緒に餌食になろうや・・・・・!」
転送先、あまり人も通らない夜道に出ると、落ちてゆく二人を待つのは、電線だった・・・・・)
>>849
>>850
霞鴉
「……!!!
これは少しばかり分が悪い……ここは撤退させてもらおうかな?」
繰り出したナイフの刃によって桜空の右腕を切り裂くものの、そこから更に追撃するためには。眼前の脅威である電線に対応しなければならない事や、このまま行けば両足だけでなく右腕にまで重篤なダメージを負った桜空であればその電線だけでも充分に自滅させられると考える。
直ぐにナイフを引き抜き、再び霧化して逃れようとする。
だが、他者に触れている状態では霧化が使えないのか、直ぐには霧にならず、先ずは離れようとしている。
桜空「大丈夫だ、俺もお前も、この程度で死にはしねぇだろっ・・・・・!」
ぐっ・・・・・!
(桜空は相手の体に抱きつくようにして逃がさないように力を強める・・・・・
とても手負いの状態とは思えないほどに力が強い、よく聞く「火事場の馬鹿力」というやつか・・・・・
自分も電線の餌食になってでも、相手を倒す気でいる・・・・・)
>>851
>>852
霞鴉
「……ッ!!
やめ……ろ…!」
まさか自分の能力による有効範囲が、自分が直接触れている無機物に限定される。だからこそ、最初に出した部下二人も霧化させる事が出来なかった……
その事を知っていたのかどうかは知らないが、自分に抱き付くようにした事で完全に能力が封じられる形となり、必死にもがいて脱出しようとするものの、
決死の力を振り絞る桜空に、体術をあまり鍛えていなかった霞鴉では逃れる事が出来ず、電線に触れてしまう……
霞鴉
「ぐッ!?
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
電線に触れた瞬間、霞鴉の体に凄まじい高圧電流が走り、霞鴉と桜空の二人に激痛が襲い掛かる……
桜空「がっ・・・・・ぁ・・・・・!あ・・・・・」
(覚悟はしていたが、やはり想像を絶するほどの激痛に、呻き声が漏れる・・・・
全身を無数の針で同時に突き刺されるような激しさと、体中が焼かれているような熱さ、これが生き地獄というものなのかと思えてくる・・・・・
が、これで八咫烏の主力の一角を削ることができたのだから、まだいい方だろう・・・・・
しばらく電流を受けた後、二人して地面へと落ちてゆく・・・・・)
ドサッ・・・・・
桜空「・・・・・あ・・・・・りが、と・・・・・な・・・・・狼、谷・・・・・」
(風が吹き荒れたあの場所、狼谷と初めて出会ったあの小屋があった場所に転送したのは、本能がそうさせたのか、それとも狼谷が導いてくれたのかは定かではない・・・・・
だが、あの時確かに見えた狼谷の姿に、桜空は感謝の言葉を述べると、そのまま意識が落ちた・・・・・)
>>853
>>854
霞鴉
「……ぐ……うぅぅ………」
高所から地面に激突した痛みなど気にもならない程の激痛が電線から離れた今でも尚、全身を駆け巡っており、"無敵の鴉"と呼ばれた彼女の姿は何処にも無く、哀れなほどにボロボロになった霞鴉の姿だけがそこにある。
氷華
『貴方のその力は臆病者の力なんかじゃない、貴方の力は弱い者を悪人から隠し、守れる力。私は貴方を信じるわ。』
霞鴉の脳内で孤児院で出会った氷華の姿と言葉が蘇る。
幼い頃は霧になれると言う異能であった事であらぬ疑いをかけられたり、誰からも信頼されず孤立していた事から、
もし、氷華と出会っていなければ、自分は何者にもなれない、空っぽで空虚な存在で終わっていただろう。
そんな自分を認め、信じてくれた氷華がいたからこそ、自分は前任の三羽鴉を倒してその座を得る事で氷華に近付いた。
霞鴉
「はぁ……はぁ………
……ボクは……まだ倒れる訳にはいかない……こんなボクを……信じてくれた氷華を……失望させる訳にはいかないんだ……!!!」
霞鴉は全身を走る激痛に加え、落下の衝撃で体の至るところの骨が折れ、痛みと肉体の過度なダメージによって上手く異能が使えない状態になっているにも関わらず、立ち上がり、おぼつかない足取りだが桜空に近付き、右腕を大きく振り上げ、桜空の心臓目掛けてナイフの刃を突き刺そうとする。
その姿は、最初の頃のような不敵な雰囲気は無く、譲れないものをそれこそ命を賭けてでも必死で守ろうとしているように見える。
ガシッ・・・・・!
悠矢「はいはーい!そこまでそこまでぇ〜♪さっさと帰りますよー霧ちゃん♪」
(霧鴉が桜空にトドメを刺そうとしたその時、いきなり背後から悠矢が霧鴉の右腕を掴み、その動きを止めてアジトに連れて帰ろうとする・・・・・
「こぉんな手負いの雑魚をやったところで何になるのさ?最強の霧鴉の名が泣くよ〜?生かしておいたってどうせ何にもできないんだからこっち側としては問題無いし、とりあえず撤退しないと、ね?」)
>>855
>>856
霞鴉
「……この絶好のチャンスを逃す訳が無いだろう……!?」
霞鴉は桜空を仕留めるこの絶好のチャンスを逃す訳もなく、腕力で少し負けながらも、靴の爪先から小型の仕込みナイフを出し、それを蹴る勢いに乗せて倒れた桜空の腹部に突き刺そうとする。
悠矢「まぁ聞きなって、この時間帯、この辺りはもうすぐ警官が未成年を対象に歩道目的でパトロールするんだよ、俺達が見つかったらいろいろとやばいだろって話さ、氷華ちゃんの計画を無駄にしたくないだろう?」
(今は大人しく撤退するのが最善だということをなんとか告げる・・・・・
警官はおろか、一般人にもこんなところを見られては騒ぎになる、なるべくそのようなことを避けたいからか、今は撤退するように忠告をする・・・・・
「今回はまぐれさ、君ほどの実力があればこんなガキ、いつだってやれるだろう・・・・・?それとも、怖気付いたかな・・・・・?」)
>>857
>>858
霞鴉
「…………運のいい奴だね。キミは……」
霞鴉はならば問題になる前に片付けようとも考えるものの、蹴り出した仕込みナイフの付いた足を止め、氷華からの"極秘任務"を思い出すとその足を止め、周囲を軽く見渡すと、夜明けと共にパトカーのサイレントが鳴り響いて来ている事を聞き取る。
そこで悠矢の進言を聞いて、自分の右腕を霧に変えようとするが、部分的な霧化も出来ない程にダメージを受けた事を察し、即座の離脱や退避が出来ない事からこの場を立ち去る事を決める。
霞鴉
「……これをあげるよ。
口惜しいが…ボクがキミを仕留めきれなかった時にはそれをキミに渡すように言われている。」
霞鴉は自分のボロボロになったコートの内ポケットから布に包まれた映像記録媒体用のチップが入った特殊強化ケースを取り出し、そのチップケースを桜空の傍へ放る。
電線によって感電した際に布に包まれたこのチップケースだけは守っており、中にあるチップは無傷であると思われる。
霞鴉
「……じゃあね、運命に嫌われた者。」
悠矢「よし、それじゃあ行くとしますか、肩貸すからさ」
(霧鴉がやることはやってこの場から去ることを決めたのを見て、肩を貸しながらこの場から移動し始める・・・・・
その際、自分は知らないチップケースの存在と、もし霧鴉が桜空を仕留め切れなかった時はそのチップケースを渡すことになっていたという事実を初めて知り「で?あれは何だったのさ?」と、興味を抱き問いかける・・・・・)
>>859
>>860
霞鴉
「ああ、助かるよ、ありがとう。」
霞鴉
「アレは…血の繋がった者への"最後の情"と言うやつかな?」
チップに記録された情報について少しだけ触れると、悠矢の肩を借りて、登り始めた太陽から逃れるようにして夜闇の中へと消えていく…
悠矢「・・・・・へぇ、面白そうじゃん・・・・・」
(チップの内容についてわずかながらだがそれで十分だと言えるほどの情報を得れば、面白そうだと言いそのまま消えてゆく霧鴉を見つめながら、悠矢もまた闇夜に隠れるようにして去ってゆく・・・・・)
_______
桜空「・・・・・うっ・・・・・ぐ・・・・・」
(二人が去ってからしばらくし、桜空もまた目を覚ましてはゆっくりと立ち上がる・・・・・
「随分手荒くやっちまったが・・・・・なんとか助かったみてぇだな・・・・・」
正直、死ぬかと思ったがなんとか助かったことに安心しつつ、ふらふらした足取りで立ち上がる・・・・・)
【八咫烏 ???拠点】
氷華
「………そろそろ……ね。」
八咫烏の活動拠点の一つ。
そこでは普段なら日本各地を奔走し、休み無く各地にいる犯罪者や反社会勢力の殲滅を行っていた氷華が珍しく拠点内で休息を取っていた。
氷華は窓の無い拠点の一室にて、椅子に腰掛けていた。
目を閉じ、右手に持ったグラスの中に注がれた天然水を口に含むと、目を閉じて今後の展望について、明日に作り出す世界の罪悪浄滅装置……"地獄"の誕生における争乱を脳裏に描く。
この計画を実行すれば確実にこれまでのような平和な世界は永遠に戻ることはなくなるだろう……
悠矢「やっほー氷華ちゃん!お元気〜?」
(地獄の創造を脳裏に描いていたところに、ノックもなしに雰囲気を掻き乱しながら声をかける・・・・・
「氷華ちゃんさぁ・・・・・弟、いたの?」
と、単刀直入に聞いてみる)
>>863
>>864
氷華
「ええ、そうよ。」
入室して早々に自分に弟がいたのかと聞く悠矢の言葉に対しても氷華は表情一つも変えず、グラスに入った天然水を再び口に含みながら言葉短く応える。
悠矢「いいのかい?相手は弟なんだろう?本気のバチバチの〇し合いなんて普通は避けるもんだとは思うけど・・・・・」
(珍しく、まともなことを言う・・・・・
氷華の心情を察することは難しいが、普通の人間は兄弟同士での〇し合いはまず避けたいと考えるが、氷華はそういうのはあまり気にしない方なのだろうかという好奇心から質問話してみる・・・・・)
>>865
【気づくのが遅れましたすみません!】
>>866
氷華
「……怒りも悲しみも何も感じない。
躊躇いも迷いも今となっては私の中に存在していない。」
《パキパキパキパキパキ…》
心情を察することが出来ないのも無理はない…
氷華の心はとっくに凍り付いてしまっていたからだ。
自分の中に人間らしい感情や温かみは今となってはもう残っていないとだけ答えると、目を瞑ったまま氷華が手にした天然水の入ったグラスもろとも凍り付き始め始める。
悠矢「ま、確かに氷華ちゃんがたかが弟程度で動揺するわけないか・・・・・」
(氷華は相手が悪人とあらば誰であろうと決して容赦することなく手にかける・・・・・
今までがそうだったことから、たとえそれが弟だとしても動揺することはないのだろうと判断すると
「で?氷華ちゃんの弟ってことは、やっぱそれなりに強いの?弟君、かなり追い詰められてはいたみたいだけどさ、潜在能力もそこそこ高いの?ってか、離れて暮らしてたの?」
事情を知らないからか、氷華と桜空は今まで離れて暮らしていたのか、桜空も潜在能力は高いのかなど切り込んでゆく・・・・・)
>>867
>>868
氷華
「それはわからない……けど、彼と交戦した"霞鴉"が深傷を負った…
これにどの程度桜空が関係したのかはわからないけど決して低くは無いと言うことになるわ。」
氷華は中身の水もろとも綺麗に凍り付いたグラスに映った自分の顔を見ながら、霞鴉がやられた事から、桜空の力は決して弱くはないと考えている。
悠矢「でもさ、あっちだってかなり痛手を負ったはずだ、霞鴉はともかく、戦いで追い詰められてダメージを負う天才と、ダメージを一切負わない天才とじゃあ出来が違う・・・・・」
(あの霞鴉がボロボロになったことから、少なくとも凡才ではないことは確かであり、常人と比べれば天才の域に達して入るだろうと推測するものの、戦いでダメージを負うか負わないかでは同じ天才でもそもそもの出来が違うと話すと
「ま、こっちは氷華ちゃんがいるし、相手がどんな卑怯な手を使ってきても勝てるでしょ」
と、もう勝利した気でいる・・・・・)
>>869
>>870
氷華
「何があったにせよ……油断はしない、慢心もしない。」
《パキンッ》
氷華は目を閉じて八咫烏の最高戦力の一人であり、無敵を誇る霞鴉が満身創痍となって敗れた以上、自分はもう油断も慢心もしないと宣言すると、氷華の放つ冷気に耐えられなくなったりグラスが音を立てて砕ける。("割れる"ではない)
氷華
「一度"地獄"を作り出してしまえばもう誰にも止められない。
地獄の完成までは……一切手を抜かずに徹底的に潰す。」
氷華は椅子からゆっくりと立ち上がり、右手に付け凍ったグラスの破片を握り潰して粉雪のようにすると、室内であるにも関わらず、極寒の氷原のような肌を刺す程の冷気を放ちつつ、氷のように冷たく鋭い瞳で悠矢を見て、命令を下す。
氷華
「貴方も準備しなさい。そろそろ……地獄を創りに行くわよ。」
人の心を捨てれば捨てるほどに強くなるのが氷華の異能の特徴であるのなら……もはや人の域を超えた氷華は名実ともに正義を語る怪物、人外へと変貌してしまったのだろう。
終焉の時が刻一刻と近付いて来ている……
悠矢「お、いよいよか!りょーかいりょーかーい♪」
(氷華に準備するように言われると、部屋の中の寒さに表情一つ変えずに首をコキコキと鳴らしながら立ち上がる・・・・・
氷華の迷い無き瞳を見れば、改めてこれは面白いことになりそうだと思いながら、氷華を信じてついてきてよかったとも内心思う・・・・・)
>>871
>>ALL
【練馬駐屯地前】
《ドゴオォォォォォォォォッ》
日本の国防の要である陸上自衛隊の駐屯地であり、東京都内の防衛を行う第一師団の司令部がある練馬駐屯地の前にて、大爆発が巻き起こる……
焔鴉
「ハッハッハッ!漸く始まったな!!
罪を浄化するオレの炎で全てを焼き尽くしてやるよ!!」
体長20mにも及び、マグマが滴り落ち、その身に灼熱の業火を纏った、巨大な溶岩の巨人がごとき姿をした焔鴉がその身を構成するマグマを腕の一振によって周囲へ飛び散らせる事で迎撃に向かって来た自衛官達を焼き尽くし、そのまま駐屯地の司令部へ向かって歩き始める……
溶岩の巨人に向けて幾度も機銃やライフル、砲撃が加えられるものの、その分厚いマグマと強固な溶岩の鎧が衝撃を防ぎ、鉄壁の防御を成してしまっているため、殆んどダメージを受けていない。
これが地獄の始まりであり、八咫烏とファーストにおける最終決戦の序章でもある……
悠矢「ちょーっとほむほむー!少しは俺の獲物も残しておいてよー?」
(少し遅れて焔鴉に合流すると、独り占めするのではなく、自分が〇す用の人間も遺しておくように忠告をする・・・・・
駐屯地を襲撃するには確かに焔鴉を向かわせるのは最適かもしれないが、自分の獲物まで独り占めされるのは納得できず、もう少し焔鴉の好戦的かつ荒い性格ははどうにかならないものかと呆れながら)
>>873
>>874
焔鴉
「うるせぇ!俺は悪(クズ)や、悪に加担する奴、それを看過する奴が大嫌いなんだよ!とっととやらねぇとオレが全員を焼き尽くしちまうぞ!!!」
焔鴉の纏った溶岩の鎧の背面から新たに二本の腕が生え、その掌から溶岩の一部を砲弾のようにして撃ち出し、周囲の建物をも破壊し始める。
自衛官
「この……化物め!!!」
《ギュルルルルルルル…》
焔鴉
「効かねぇなァ!!!」
《バゴオッ》
自衛官の一人が銃弾や爆弾がまるで通じない事から、決死の覚悟で装甲車に乗ってフルアクセルで焔鴉に向かい、その大質量を用いて衝突するものの、焔鴉を吹き飛ばすことも叶わない……
そして、焔鴉が装甲車を四本の腕で掴むと、それを司令部がある建物に向けて投げ付け、建物の屋上からスナイパーライフルで狙撃しようとしていた自衛官の元まで投げ付け、そのまま建物の一角もろとも破壊して見せる。
悠矢「いい歳して自制心ってのが全くないんだから困っちゃうよなぁ〜・・・・・何歳か知らないけど」
(これじゃあ獲物はおあずけかと思いながら、巻き添えを喰らわないように少し離れると、そこで傷を負った自衛官の一人を見つけると、ニヤニヤしながらゆっくりと近寄っていく・・・・・)
自衛官「くっ、来るなぁっ・・・・・!」
悠矢「・・・・・見てて情けなくなってくるねぇ、武器も持っていない人間相手に、ここまで無力になるなんて・・・・・」
ブシャッ・・・・・
(そして、何の躊躇いもなく能力で血流を操作し、〇害する・・・・・
武器を持っていない人間相手に、大の大人が何人でかかってもこうも無力になることから、排除対象でありながらも同情すらしてしまうが、純粋な同情ではなく哀れだという気持ちからきている・・・・・)
>>875
【国会議事堂前】
氷華
「……まさか最後に私の前に立ちはだかるのが貴方とはね。
何処まで行っても私の邪魔をするつもりなのね?」
国会議事堂周辺は既に氷華が降らせたまるでビルのように巨大な氷柱によって壊滅状態にあり、議事堂の警備隊もほぼ一方的に打ち倒されたと言うように国家存亡の危機に陥っているのだが、
焔鴉が自衛隊を、劔鴉が警視庁を抑えていた事もあり、誰も氷華を止めることが出来ずにいた……
そんな中、反旗を翻した正義の化身、八咫烏とは対照的に、悪として蔑まれ、民衆の敵と認識されてきたファーストが対峙する……
桜空「当たり前だ、どこまでも邪魔してやるぞ・・・・・」
(幼少期、いつも仲良く一緒に過ごしていた姉弟が、今度は崩れゆく日本の中心とも呼べる場所で対峙する・・・・・
片や国を一度完全にリセットし、悪のいない世界を作るという思想の下動く歪んだ正義
片や歪んだ正義を食い止めるべく奮闘する悪人
この戦いに勝った者が、この先のこの国の命運を決めることとなる・・・・・)
>>877
>>878
氷華
「私の正義の遂行を……地獄の誕生を邪魔するのであれば容赦はしない。立ちはだかる障壁は全て排除する……!」
【氷蓮六華・寒烈の兆し 紅蓮凍土】
右腕を桜空に向けて翳し、人の域を超えた強烈な冷気を吹雪に変えて桜空にぶつけようとする。
放たれた吹雪は周囲の瓦礫や車両を軽々と吹き飛ばしており、まともに受けてしまえば吹き飛ばされるだけに留まらず、体が急速に冷え込み、薄氷に覆われてしまうだろう。
桜空「お前の勝手な自己満足に関係ない人間まで巻き込もうとしてんじゃねぇよ、アホが・・・・・」
グォッ・・・・・!
(今はなんとしてでも相手を食い止めなければならない、なるべく被害を抑えてこの戦いを終わらせるには、多少の建物の巻き込み(民間人及び周囲の人間は避難済み)をしてでも全力で戦うしかない・・・・・
桜空は、ワープゲートを利用して相手の冷気を逆に相手の方へとワープさせて返す・・・・・)
>>879
>>880
氷華
「善と悪が混在するこの世界から、悪を除くためには一度、徹底的なまでに悪を滅ぼす場を、"地獄"を作り出さなければならない。」
【氷蓮六華・罪断刀 尼頼部陀】
冷気を返されるのを見て、右手に氷で作り上げられた一振の刀を生成して返された吹雪に対して振り下ろすと、刀を振り下ろす動作に吹雪への操作も含んでいたのか、氷華を避けるようにして吹雪が二つへ別れて左右へ流れていく。
吹雪が通った後の地面は薄氷に覆われており、まるでシベリアの寒気をそのまま持ってきたかのような現象が起こっている。
氷華
「悪の居ない世界を作り上げるためには一度この世界をリセットしなければならない。」
手にした氷刀を手に、薄氷の上を滑るようにして高速で桜空に接近して手にした刀を振り下ろし、彼の体を切り裂こうとしてみる。
氷刀が纏う冷気もかなりのものであり、下手に受けてしまえば傷口が瞬時に凍り付き、出血はしないものの、傷口から氷が広がり、機動力が低下する上に、肉体の壊死が始まってしまうだろう。
桜空「なんとも頭の悪い考え方だな・・・・・」
スゥッ・・・・・
(ワープゲートを出現させては、そのままゲートの中へと消えてゆく・・・・・
氷華が完全に攻撃に特化した能力ならば、桜空は氷華ほどではないものの、攻撃、そして瞬時に別の場所へとワープすることによる防御に優れた能力と言えよう・・・・・
次、桜空がどこからゲートを出現させ反撃に出るのかは、どんなに強くても見極めるのは困難だろう・・・・・)
>>881
>>882
氷華
「それなら、貴方は別の道を見付けられたとでも言うの?」
ワープゲートが開かれるのを見て、そのゲートの中へ威力や硬度よりも速度に長けた氷柱(つらら)を多数撃ち込むことで移動したその先でもダメージを与えられるようにしようとする。
威力や硬さを犠牲にした即席の氷柱であるとは言え、容易く人体に突き刺さるだけの威力はあるため、放たれた氷柱の一本一本が致命傷になりうるだろう。
スゥッ・・・・・
(桜空は答えるよりも先に、相手の頭上にワープゲートを出現させる・・・・・
恐らく、力に差があり過ぎる相手にいきなりこんな真近から攻撃を仕掛けるなんて馬鹿な真似はしないという状況を逆に利用しての反撃だと思われる・・・・・)
>>883
>>884
氷華
「……答えられないのでしょう?」
頭上にワープゲートが開かれたのをその音からいち早く察知すると、瞬時にそのゲートから氷柱を返されたり、奇襲される可能性があると推測すると、薄氷に覆われた地を軽く蹴って素早くゲートの下から離れようとする。
スッ・・・・・
桜空「らしくねぇじゃねぇか、怖気付いたか?」
ドガッ・・・・・!
(頭上に展開されたワープゲートはダミーであり、今度は氷華の背後にゲートを出現させ、そのまま力を込めて蹴り飛ばす・・・・・
桜空は氷華ならゲートに向けてそのまま攻撃を瞬時にしてくると思っていたのか、ゲートから離れるのを見ればらしくないと呟く・・・・・)
>>885
>>886
氷華
「あら、答えはまだ出ないのかしら?
それに……怖じ気付いたのは貴方の方じゃないの?」
何処まで見えているのかは不明だが、生物の最大の死角である背後に対しては人一倍気を払っており、背後にゲートが開かれると、即座に手にした氷剣手に振り返ると同時に氷剣の一太刀を入れようとする。
数多の戦闘の中でも死角から攻撃を仕掛けて来る者が多く、その事から背後からの攻撃に対してはほぼ完璧に対応することが出来ると言うように、小細工は通用しないだろう。
ゲートによって逃げ回ってばかりの桜空の戦いかたに対して、怖じ気付いたのはどちらだと挑発も交える。
桜空「っ・・・!なるほど・・・・・流石百戦錬磨の鴉、不意打ちも死角からの攻撃も経験済みというわけか・・・・・」
ポタッ・・・・・パキッ・・・・・ポタッ・・・・・パキッ・・・・・
(桜空は肩に攻撃をかすってしまい、かすっただけでも地面に滴り落ちた血液が凍りつき、小さく歪な赤い氷の結晶が砕け散る・・・・・
どうやら、相手を甘く見すぎ、自分を過信しすぎていたようだ・・・・・)
桜空「わりぃな?少し手を抜き過ぎちまったか・・・・・?」
スタッ・・・・・
(ワープゲートから出ては、そのままゲートを閉じる・・・・・
桜空の能力は、攻撃にも使えるものの、どちらかというと逃げに適した能力なことから、氷華ほどの相手と戦う場合はそもそもの能力の面で不利になる・・・・・)
>>887
>>888
氷華
「これまで私は数多くの救い用の無い悪を裁いてきた……」
《シャッ》
掠り傷程度であれば周囲の冷気の影響で即座に出血が止まり、傷の悪化も多少凍傷に近いものになる程度で済むため、ある意味ではこれまでの敵よりも戦いやすいとも言えるかもしれない。
だが、氷華は直ぐ様桜空の傍にまで迫り、手にした氷剣ではなく、敢えて不意を突くように黒い手袋をした左手で桜空に掴みかかろうとしてみる。
氷華と対峙しているだけでも季節なんかはお構いなしに吐く息も凍るような極寒の地に変えている程であるのだが、そんなものを自在に操る氷華の体に直接振れてしまえば瞬時に全身の水分が凍り付いてしまうだろう。
桜空《早いっ・・・・・!》
スッ・・・・・!
(桜空はギリギリで掴みかかられそうだったところを避けることに成功する・・・・・
「言っておくが、死線をくぐり抜けてきたのは腐っても正義を名乗ってるお前だけじゃない、救いようのない悪というなら、自分勝手なクソみたいな考えで無関係の人間まで巻き込もうとするお前だって救いようのない悪だと俺は思うがな、正義の八咫烏さんよぉ・・・・・」)
>>889
>>890
氷華
「その事についての答えなら以前に話した。
大義を成すには犠牲が必要なのよ。それを躊躇う者は何も守れはしないし、変えることは出来ない。」
《パキパキパキパキパキ…》
【氷蓮六華・千貫氷槍 頞部陀】
瞬間凍結の効果を持った掴みかかりが避けられると、即座に地を蹴って後ろへと飛び退きつつ、右手に持った氷剣を振り上げて自分の周囲に千もの多数の氷柱を生成し、一斉に桜空へ撃ち込もうとしてみる。
その氷柱の一本一本が鉄板を容易く貫くだけの威力があり、直撃すれば人体など容易く貫けるだろう。
怒涛の勢いで繰り出される氷華が使う力。
『氷蓮六華』その力は何処までも果てが見えない……
桜空「次から次へと忙しい奴だな・・・・・!!!!!」
ゴガガガガガガガガガガッ・・・・・!!!!!
(桜空は巨大なワープゲートを展開させ、更にもう一つ氷華の頭上にゲートを出現させると、一斉に撃ち込んできた全ての氷柱を防御すると同時にゲートで転送することで逆に攻撃する為の道具として利用する・・・・・
氷華と比べれば何もかもがまだ未熟ではあるものの、上手く能力を駆使すれば防御と攻撃を同時にできる)
>>891
>>892
氷華
「自分の正義も持たない貴方が正義を語る資格なんて無い……」
まるで先程の意趣返しとでも言わんばかりに、いつの間にか桜空の背面に回り込んだ氷華が桜空の心臓を貫こうと氷剣を突き出して追撃しようとする。
先程放った大量の氷柱は視界を遮るための陽動であり、氷華自身はその氷柱に紛れることでゲートで氷柱を返されるところまで想定して動いており、氷柱を放つと同時に走って回り込んでいたと言うように、その推察能力と判断力はこれまで桜空が戦ってきた誰よりも優れている。
桜空「・・・・・!!!!!」
ザシュッ・・・・・!
(桜空はなんとか避けようもするものの、右腕に氷剣の斬撃を受けてしまい、服をも切り裂き痛々しい傷ができる・・・・・
氷華には不意打ちも奇襲もまるで通用しないとやっとわかったのか、表情にやや焦りが見え始める・・・・・)
>>893
>>894
氷華
「私は正義を成すために戦う。その一念だけは昔と変わらないわ。」
氷華は刺突による一撃が桜空の右腕に掠り、その傷口が周囲の極低温下にある影響によって瞬時に凍り付き、出血が止まるが、氷華は攻めの手を緩めることはなく、そのまま手にした氷剣を振るい、桜空の首を跳ねようとする。
今の氷華にはもはや一欠片もの慈悲や思いやりも無く、正義以外の全てを失った、脱け殻のようになってしまったと言っても過言ではないのだろう……
桜空 「その一念だけしか持ってねぇの間違いじゃねぇのか?」
スッ・・・・・!
(氷華の氷剣による一撃を、ワープゲートを出現させずに身体能力だけで避ける・・・・・
桜空の目には、氷華がただ自分勝手な「正義」とは名ばかりの無差別大量〇人鬼にしか映っておらず、その口で正義を語るなと言わんばかりに睨みつける・・・・・)
>>895
>>896
氷華
「貴方にはその一念すら持っていないのでしょう?」
《ゴオッ》
横凪ぎの斬撃を避けるにはしゃがむしか無い。
そのため、しゃがんで避けた事で回避力が低下したタイミングに丁度合わせるようにして鋭い蹴りを放ち、桜空を蹴り飛ばそうとする。
【回想】
劔鴉
「お前にしか頼めない……
金鵄を……いや、氷華を……救ってやって欲しい……」
警視庁の屋上にて繰り広げられた壮絶な死闘の末、腹部を突き刺された劔鴉が最後に自分がサブウェポンとして使っていた刀を、自分では叶えることの出来なかった願いと共に桜空へ託していた……
そのため、桜空の腰にも一振の刀がある。
その刀はかなり精巧に鍛え抜かれた業物であり、勢い良くぶつければ氷華が操る氷をも砕くことが出来るだろう。
桜空「くっ・・・・・!」
ガッ!!!!!
(桜空は決死の覚悟で刀を抜き、氷華の蹴りを刀の刃の逆の部分を構えることで防御することに成功する・・・・・
が、やはり百戦錬磨の八咫烏の長、蹴りだけでも刀が折れるのではないかと思えるほどに強い衝撃が刀を伝って体へと駆け巡ってゆく・・・・・)
>>897
>>898
《ヒュオッ》
息をつく暇すら与えないと言わんばかりに、蹴りによる一撃を防いだ桜空がまだしゃがんでいる事を利用して右腕を伸ばし、桜空の持つ刀を凍り付かせて破壊しようとする。
この場に留まっていれば、触れたものを瞬時に凍り付かせる事の出来る氷華によっていつかは捕まり、凍結させられてしまうだろう……
桜空「なめるなぁっ!!!!!」
スゥッ・・・・・!
(瞬時に相手の手を伸ばした先、つまり自分の目の前にワープゲートを出現させ、転送先を相手の背後にすることで自分で自分を触れて凍りつくように仕向ける・・・・・
こんな罠に引っかかるような相手ではないことは十分把握しているが、これで少しでも相手の動きに隙が出来るなら反撃のチャンスが生まれる・・・・・)
>>899