物語の舞台は現代日本
1万人に1人の割合で異能力者が生まれる世界
ある者は正義のために異能を使い
ある者は私欲のために異能を使う
異なる二つの信念が交錯する時、善悪をも超えた死闘が始まる
冷酷なまでに正義のために日夜犯罪者の粛清を繰り返す
日本の極秘特殊機関"八咫烏"と日本中の犯罪者達の死闘を描いた物語
>>2 ハウスルールと募集枠について
>>3 八咫烏について
>>4 キャラシートの作成例
>>5以降から募集開始&本編開始となります!
氷華
「そうかしら?」
自分の変化について気付き、変わったと言う緋染に対して氷華は短く一言で応える。その声や様子、雰囲気は何処か冷たいものの、これまでのように緋染に対して避けたり距離を取って様子を見ていると言うものではなく他者への無関心さから来ている。
その冷たさが氷華の冷静さと冷酷さをいっそう引き出しており、緋染の問いかけに対しても特に興味無さそうに応えている事から、これまで以上に人の心を失ったのだと言うことがわかる…
また、その氷華の持つ無関心は他者だけでなく、自分自身にさえ向けられている。
その姿はまるで正義と言う概念が形を成したかのようにすら見えるが、その正義の中に慈悲も慈愛も無くなってしまっている…
悠矢「・・・・・ま、いいけどさ、一つ言っておくよ、氷華ちゃん・・・・・」
(そう言うと「正義だろうと、悪だろうと、行き過ぎたら自分で自分の首を絞めることになるから、気をつけた方がいいよ」と、言葉を返す・・・・・
今までも氷華は悪人に対して容赦はなかったが、今回は容赦がどうのこうのというよりも、どこまでも行き過ぎた正義、もとい悪にも正義にもなりきれない何かになりつつあるように思える・・・・・)
>>700
【三羽の鴉】
蟲鴉が切り札として出した巨大蜈蜙によって倒壊した八咫烏のアジトの一角…
そこでは桜空が運良く気絶させた毒鴉と、中川と紀が二人がかりで挑んでも正攻法では倒せなかった水鴉と言う猛者が瓦礫の上に倒れている。
それに対し、十二鴉を二人同時に相手取っても尚、服の乱れ一つもすること無く佇むのは、ルインと呼ばれたあの黒衣に身を包んだ謎の仮面…
水鴉
「ゴホッ……!!?」
水鴉
「(どうなってやがる……毒刀、水圧レーザーと俺達の攻撃はどれもアイツに当たらねぇのに……アイツの攻撃は的確に水化した俺にも当ててくる……コイツの異能は何なんだ……!?)」
毒鴉が振るう毒刀はいずれも空振りし、水鴉の最速最強の攻撃技である水圧レーザーすらもルインに掠る事すらなく難なく受け流された。
まるで攻撃そのものがルインを避けているかのような……見えない壁に受け流されているような……そんな現象を目の当たりにし、二人の鴉が困惑している。
毒鴉
「て…テメェ……!!
何を考えていやがるッ!!テメェと俺らは協定を結んでいる筈だ!こんな事をすれば金鵄が黙っちゃいねぇぞ!!」
ルイン
「クフフッ、察しが悪いね?
今こうして僕が現れているのもや、君達の処刑をしているのも、その金鵄からのお達しがあったからだよ。『不純な正義を粛清せよ』ってね。」
仮面の人物は楽しそうな声色やテンションで話し手はいるものの、彼の身につけた不気味な笑顔の仮面と相まって異様な雰囲気を放っている……
そんな中でルインは毒鴉からの協定を元にした問いかけに対し、金鵄からの指示があった事を教えるとゆっくりと右腕を挙げる……
ルイン
「それじゃ、バイバーイ。」
水鴉
「ふざけ……!!!」
《グチャッ》
ルインが振り上げた腕を下へ降ろすと、水鴉と毒鴉の二人が反応する間も無く、見えない"何か"によって跡形もなく押し潰されて絶命する……
ルインが正義のために行動をしているのか…
それとも悪のために行動しているのかは不明…
更に、ルインがfirstの敵となるか、味方となるのかすらも謎に包まれている。
>>701
氷華
「……私は私の存在理由を果たすだけよ。
それ以上の大義もそれ以下の理由も必要ない。」
氷華は緋染の言葉に対し、自分は自分の正義を貫くだけであると応えると、倉庫に入り、倉庫内の木箱の上に座る……
氷華からは人間らしい感情の起伏も温もりも失われており、まさに動く氷像のように淡々と語る。
霞鴉
「やあ、二人とも。
深刻な話は終わったかい?」
氷華の背後に白い霞が現れると、それが徐々に人の形に変わり、氷華の座る木箱の後ろにあるコンテナの上に片足を立てながら座り、緋染と氷華の二人を見下ろしながら話は終わったのかと問いかける。
悠矢「ん?あぁ、話しなら終わったけど・・・・・いつからいたの?」
(恐らく今の氷華には何を言っても同じように氷のような反応しか返ってこないだろうと思っていたところに、いきなり現れた霧鴉を見ては、どうやら話し合いが深刻だということを知っていたらしいことから、一体いつからいたのかと問いかける・・・・・
自分も神出鬼没だということは自覚しているが、相手の能力を考えると、相手の方がもっとどこにでもいきなり現れることが出来るだろう・・・・・)
>>703
劔鴉
「悪いな、僕もいる。」
霞鴉の座ったコンテナの裏には劔鴉も待機していたのか、氷華の右隣へと移動しながら、自分の存在を話す……
意のままに自身の体を霞に変えることで無敵を誇る霞鴉に加え、その圧倒的なスピードと卓越した剣技を誇る劔鴉の二人…
この二人がいるだけで並みの組織どころか、小国の軍であれば瞬時に殲滅する事も出来るだけの圧倒的な戦力となっているのだが、そこへ更に……
焔鴉
「我らが金鵄の召集とあっちゃ来ねぇ訳にはいかねぇからァ。
テメェも久し振りだなァ、緋染。まだ鴉の名は持ってねぇのか?」
そこにいるだけでも強い熱気を放ち、氷華の周辺を除いて倉庫全体の気温が高くなっていく圧倒的な熱量と実力を持った焔鴉までその姿を見せる。
焔鴉はまさに生きた火山とでも言うべき存在であり、近代装備を備えた巨大な戦艦を一隻まるごと破壊し、中にいた軍人を殲滅したという噂がある程に圧倒的なパワーを持っている……
その破壊力やパワーは霞鴉と劔鴉すらも上回るだろう。
氷華
「緋染、貴方のくれたこのリスト…
これを手に入れた瞬間から次の計画に映すために予め三羽鴉に召集をかけておいた。貴方のお陰で計画から実行に移すことが出来る……」
氷華
「貴方には"二つの意味で"感謝するわ。」
氷華はリストにあった結の写真を思い出しながら、冷たく微笑み、二つの意味で感謝すると言う……
三羽鴉をわざわざ集結させたのは、"日本国を地獄へ変える計画"を実行するための最後の会議を開くためであり、国家崩壊のカウントダウンを開始したと言うことと同意でもある。
悠矢「あれまぁ、これまたお揃いで・・・・・」
(三羽鴉が全員集結していたことに気づかないほどに、自分の感覚は鈍かっただろうかと思いながらも、ここまでの実力者が揃っている中、自分はその中でも一番地位も実力も下っ端だが、怯むことなく三人を見渡す・・・・・
そして、鴉の名をまだ持てていないのかという焔鴉の言葉を聞けば「あぁ、俺は特に、なんとか鴉とか、なんちゃら鴉っていう肩書きにはこだわりないんでね、未来永劫このままで十分だよ」と返す・・・・・
そして、氷華から二つの意味で感謝すると言われれば「二つの意味・・・・・?よくわかんないけど、どういたしまして」と返した・・・・・)
>>705
________
【以下、リスト内結の項目における情報】
佐藤 結 (5)
捕獲動機:死体の再利用
実験台番号:310
死体再利用後個体名
緋染 悠矢
再利用には成功したものの、実力の面などで期待外れとみなされ、野放しにされる
本人には結の頃の記憶は無し
>>706
焔鴉
「ほう、となるとテメェには"表の名"は無いみたいだな。」
八咫烏内で使われている鴉と付く通り名は所謂コードネームのようなものであり、互いに互いの素性を第三者に伝える事を防止するための呼び方であり、敵対組織からの暗殺やプライベートな関係者に危険が迫るのを阻止する目的があるのだが、それを持たないと言うことはつまり、プライベートを持っていないと言うことになる。
その事から焔鴉は両腕を組んでコンテナに寄りかかかりながら緋染に対して表の顔を持ち合わせていないことを見抜き言う。
氷華
「三羽鴉も集まった事だから、これから作戦会議を始めるとしましょうか……」
氷華は三羽鴉全員が集まった事を確認すると、リスト内にあった結と緋染の二人が同一人物である事に対しても微塵の感情の揺らぎも無いままに淡々と作戦会議を行うと宣言し、地獄を編み出すための計画を始める……
これが後に惨劇をもたらし、国家の存亡すらも揺るがす壮絶な死闘の幕開けとなる……
【三羽鴉集結 終了】
【時を同じくして・・・・・】
ザアアアアァァァァァァ・・・・・
桜空「・・・・・」
(徐々に雨が降り出し始める中、アジトの外(敷地内)にて、俯きながら立っていた・・・・・
何故、自分はここまで無力なのか、戦って生きていかなければならない以上、所詮は力なのか・・・・・
「あああぁあぁぁぁぁぁぁあああああああああああああぁぁっ!!!!!」
桜空は、絶望と悲しみの雄叫びを上げる・・・・・)
>>708
朱音
「……こんなとこに居たら風邪をひくよ?
早く中に入りなよ。」
まるで空から叩き付けるようにして雨が降る中、独りで外に出て叫んでいる桜空に対し、藍色の傘を差しながら歩み寄り、建物の中に入るように言う。
狼谷が命を落とした事は聞いている……
自分は救出作戦が開かれた際に沖縄でファーストの部隊と共に別の作戦を行っていたため、駆け付けることが出来ず、慌ててこの場に到着した頃には既に全てが終わってしまっていた……
もし、自分がいれば……いや、仮に自分がいたとしても、八咫烏の最高戦力の一人である劔鴉に勝利するのは非常に困難だっただろう……
桜空「・・・・・ほっといてくれ・・・・・」
(桜空は、かつて家族を失い、孤児院に来たばかりの頃、後に仲良くなる薫先生にすら心を閉ざして反抗的な時期があった時と同じように、相手の言葉にも冷たくただ一言、ほっといてくれとだけ返す・・・・・
リーダーである分、仲間を守れなかった心の傷が深いのだろう・・・・・)
紀「無駄ですよ、もう数時間、ずっとあんな調子です、本人の言う通り、ほっときなさい・・・・・」
(雨が強まる一方で建物の中には入ろうとはしない桜空に対して心配して呼びかける朱音に、ここ数時間ずっとあんな調子で、多分今は何を言っても突き放してくるだろうと忠告をする・・・・・
「今はほっておくのが一番です、それよりも、ココアでも飲んで少し休憩なさい、長旅だったのでしょう?」
沖縄から急いで駆けつけたのだから、少しは休憩したらどうだと誘う)
>>709
>>710
朱音
「…………。」
普段ならここで反発して言い争いになり、力ずくでも建物内に引き戻そうとするのだが、今回ばかりは仲間を大勢失った事で精神的にも追い込まれてしまっている事を知っているため、強く出ることが出来ない…
紀の言うように、此処でどんな言葉をかけようと、気休めにすらならないと悟り、アジト内へと帰って行く…
紀「・・・・・まだまだ子供のクセして、背負うものが大きすぎるからこうなるんです、哀れな・・・・・」
(そう言いながら、ココアを飲む・・・・・
心配する朱音とは対照的に、紀は一見冷たいようにも見えるが、紀の性格上、今の桜空に対する冷静な接し方であるようにも見える・・・・・
「あれで、少しは強くなれるのであれば、一応はリーダーとして認めてはやりますがね・・・・・」
と、一言呟いた・・・・・)
【朱音が駆けつける少し前・・・・・】
ボス「今回の件は、あまりにも代償が大きすぎた・・・・・これで、多分八咫烏側も我々への敵対心がより一層強まったと思う、悪いが、あの子を・・・・・桜空のサポートを、任せてもいいかい?」
(朱音がファーストのアジトへと向かう少し前に、ボスが朱音に桜空のサポートについてもらいたいと頼み込む・・・・・
まだ15歳という若さで一つの組織のリーダーに任命してしまった罪悪感と、今回の件ですら指示を出したり駆けつけることすらもできなかった後ろめたさからだろうか・・・・・)
>>711
>>712
朱音
「え!?アタシが?
アイツとは度々意見がぶつかったりするから喧嘩ばっかになるかもしれないけど、それでもいいの?」
唐突に現れた上位組織のボスが直々に自分に桜空のサポートを申し出て来ると、驚き、回りを見渡して自分以外に誰もいないとわかると、少し顔をしかめながら自分を指差して言う。
確かに自分はファーストにおける幹部としての立場を持ってはいるものの、得体の知れない組織と付き合っていたり、あまりにも向こう見ずな行動を取る桜空と意見が衝突した事があるのは一度や二度じゃない。
今回の原因である桜空が霞鴉に連れて行かれたというのも、元を辿ればその組織とつるんでいたからであり、その事を知った朱音は桜空に文句を言う気満々だった。
ボス「あぁ、寧ろ君が一番サポート役には適していると思ったからこそ、こうやって頼んでいるんだ・・・・・」
(会う度に何かと口喧嘩をしている二人だが、ボスは寧ろそんな口喧嘩の相手である朱音こそ、桜空のサポート役には一番適していると述べる・・・・・
そして、今回の一件の元凶にもなったことについては「今は桜空にはそのことは絶対に言わないように、その組織についてはまた日を改めて説明させてもらうよ」と伝えると、その場から去ってゆく・・・・・)
>>713
>>714
朱音
「わかったよ。アンタがそこまで言うのなら手伝うわ。」
普通の組織ならば部下なり通信なりで任命したりするところ、朱音はボスからの直々の依頼と言うこともあり、無下には断ることができず桜空のサポートをする事を受け入れる。
ボス「感謝するよ、ありがとう・・・・・それと、口喧嘩も程々にな・・・・・」
バタン!
ブロロロロロロロロ・・・・・
(車に乗って走り去る寸前に、念の為に口喧嘩も程々にと忠告をする・・・・・
喧嘩するほど仲がいい、とは言うものの、別の組織絡みともなれば、もし口喧嘩に発展した場合いつも以上に辛辣な罵倒対決が始まってしまうと思ったが、同時に今の桜空にはそれすらする気力もないだろうとも考える・・・・・)
【そして、今現在・・・・・_____】
紀「うちのボスも何考えてるかわからない人ですね、あなた、あのガキとはしょっちゅう喧嘩しているでしょう?」
(まだ15歳という若さの桜空を一つの組織のリーダーにしたり、そのリーダーと仲の悪い人物をサポート役に任命したりと、相変わらず何を考えているのかがわからないとポツリと呟けば「・・・・・にしても、いつまであそこであぁやってしょげている気ですかねぇ」と、桜空を呆れたように見て)
>>715
>>716
朱音
「ああ言う時は外野は心の整理がつくまで放っておいておくのが一番よ。」
朱音もかつて警官時代に救えなかった命を前にした時に今の桜空と同じように一人で涙を流していた事があったため、紀と違い、彼の心情についてもわかっているため、今はこのまま彼が落ち着くまで一人にしておいてあげようと言う。
>>717
あれから自身を見直し、肉体と能力共に鍛え上げた。そしてたまにはメンバーに顔見せしようとアジトを訪れる。
「よう、美人が二人もいて目の保養だぜぇ」
神経を磨り減らしそうな緊張感を、程よく解(ほぐ)す声色で話し掛けた。
「ってか、九条の姐さんじゃないの。久しぶり〜」
二人の内、より大人びた方を見てやや驚く。彼女は狼谷と同じくFirst幹部の九条朱音だ。実力は折り紙付きである。
「姐さんが来るなんて珍しい。一体何があったのさ?」
純粋に以前の一件関連だろうか。欠員の補充ついでに桜空のメンタルケアと見るのが筋か。
【めっちゃ期間開けてすみません! どのタイミングで来ようか全然わからなかったもので……】
>>718
朱音
「おお!アンタか!少しぶりだなぁ!アンタは元気そうでよかったよ!
アタシが沖縄に行く前以来か?マイペースなのも変わってないな!」
朱音は紀との話しをしつつ、まだ外にいるであろう桜空の方を見て心配していた中、ふと聞き覚えのある声が聞こえた事でそちらへ振り返る。
自分が沖縄支部へ移動する前に知り合った中川であり、彼の「嬉しい事を言ってくれるね!」と、張り詰めた緊張感を取り払うように言葉をかけた彼の言葉に便乗するように陽気に応える。
朱音
「アタシの地位が上がりそうだな〜って事だよ。
うちのリーダーを支えてやれって言われてね。」
朱音は桜空のサポートをしてやって欲しいと言われた事を素直に話す。
狼谷が中川に桜空を支えてやって欲しいと言う言葉と合わさることで、桜空一人では無く、組織にいる者達で桜空を支えて行くと言う事になっている。
八咫烏を始め、大抵の組織では一人の指導者が権力の中枢を担い、構成員達は与えられる仕事をこなすだけなのだが、Firstの場合は、上下の隔たりを取り払う事になる。
一歩間違えれば内部分裂を引き起こす危うさを持っており、朱音と桜空は意見の衝突による喧騒が多いのだが、この判断が後に吉と出るか凶と出るのかはわからない……
【大丈夫ですよ!
自由に好きなタイミングで動いても大丈夫ですよ!
キャラに空きのある方が絡んでくれると思いますので!】
紀「普段喧嘩ばっかりしている割には、随分あのガキのことをわかっているような言い分ですね?」
(普段、顔を合わせればちょっとしたことで衝突しているような桜空と朱音だが、朱音が今の桜空の状況を見て、的確な判断をすれば普段喧嘩ばかりしている割には、よく相手のことを思いやっているように見えると呟く・・・・・
いや、寧ろ喧嘩ばかりしている者同士ほど、相手のことをよく理解している、ということなのだろうか・・・・・)
>>717
紀「あら、随分鍛え上げたようですね?」
(紀は、やってきた中川を見るやいなや、あの一件以降中川がかなりトレーニングに励んでいたということを見破る・・・・・
そして「言っておきますが、美人と褒めても何も出ませんからね?」と、美人と言われても特に喜んだり恥ずかしがったりする様子もなく、真顔で答える)
>>718
>>720
朱音
「ん?何を言っているんだ?
互いの事がわかっていないと喧嘩なんて出来ないじゃないか?」
朱音は桜空と意見の衝突をする際にも、相手の判断が気にくわないからと言ったように理不尽な感情によって反発するのではなく、自分には自分の考えがあり、それとは異なる判断をする相手であるからこそ、
意見の衝突を行っているため、善くも悪くも桜空についてはそれなりに理解しているつもりであるため、互いの事をわかっているからこそ、意見の対立があった際には気兼ねもなく喧嘩する事が出来るのだと応える。
紀「互いのことが分かっていたら、喧嘩に発展する前に対処するのでは?」
(互いのことが分かっている場合に起きる喧嘩は、互いのことが分かっているからこそ気兼ねなく喧嘩ができると言う相手に対して、互いのことを理解しているのならば喧嘩に発展する前に対処するのではないかと述べる・・・・・
が、紀自身は特に誰かと喧嘩をするということがない、というか、基本的に挑発的な態度であることが多いが紀に対して組織内に喧嘩腰でかかれる相手がいないので、喧嘩をちゃんとしたことすらあまりないのかもしれない・・・・・
「貴方と桜空、まるで姉弟のようですね」と呟く)
>>721
>>722
朱音
「あっはっはっ!確かにそうかもしれないねぇ……
だけど、理解している事と賛同することは別だ、相手の考えを知っているからこそ、何をしようとしているのかわかる。
詳しいところまでわかってしまうからこそ、賛成する事が出来なくなる事だってある……」
一般的に互いについて理解があれば喧嘩をする前に対処できる筈だと言う紀の的を射た発言を聞くと明るく笑い、その通りだと応えるものの、同時に相手についてわかっているからこそ、その真意に気付き、それに気付いてしまうからこそ、反対する事もあるのだとも言う。
朱音
「姉妹…か。
そう言えば、リーダーには生き別れの姉がいたんだっけ?
リーダーはあまり過去について話そうとしないからハッキリとした事はわからなかったけど。」
ふと、自分と桜空が姉弟のようだと言われると、髪の色も瞳の色も、性格も違うものの、たしかに相手を分かろうとしていたり、喧嘩をしている事から姉弟のようだと自覚する。
だが、桜空には生き別れの姉がいたと言うことを聞いたことがある…
過去について聞こうとしても桜空が語ることは無く、ずっと謎に包まれていたため、その詳細については朱音も知らない。
朱音
「ま、アイツの姉だ。
きっと何処かで元気にやってるだろうけどな!」
紀「いつもただ単に喧嘩しているだけだろうとは思っていましたが、そこまで考えていた上での喧嘩だった、と・・・・・まぁ、桜空に関しては、ただの意地で反抗しているようにしか見えませんが・・・・・」
(二人のいつもの喧嘩は、ただただ気に入らないから喧嘩していたというわけではないことに少し驚くものの、桜空に関しては恐らく朱音ほど考えているわけではなく、年相応に単なる意地っ張りなだけだろうと話す・・・・・
続けて、桜空の姉について朱音が言及すると「少し前にボスから聞いたことがありますが、死別の可能性もある、とか・・・・・桜空自身、姉の生死についてはよくわからないと聞いたこともありますが・・・・・」と言う)
>>723
>>724
朱音
「ま、それなりに長いこと一緒に居たからね。
だいたいの事はわかるよ。」
桜空の過去についてはあまり知らないものの、それを除いた現在の事であれば、それなりに長いことfirstに属していた事もあってわかるようになった。
紀から桜空の姉が死別している可能性もあると聞くと、「まだまだ若いのに嫌な事ばかりに直面しているのか…」と小さく呟き、桜空を蝕む宿命と業について考えを巡らせる。
自分が出来ることはそう多くはないだろう。
だが、このまま精神に負荷がかかるのを少しでも軽減したいとも考えている……とは言っても、おそらく喧嘩をする事は無くならないだろう……
紀「でもまぁ、裏社会という世界で生きていく以上、嫌なことの一つ二つで挫折していたら、こっちとしてもたまったもんじゃありませんが・・・・・」
(このメンバーの中では一番ファーストの一員として長い紀からすれば、この程度のことで挫折していたら、命がいくつあっても足りない、しかもそれが肝心のリーダーならば、組織の一員としてはたまったものではないと呟く・・・・・
桜空よりも辛い人生を歩んでいる人間なんて山ほどいる、裏社会で生きてゆく以上この程度で弱音を吐いていたらキリがない・・・・・)
桜空「・・・・・」
バタン・・・・・
(例の一件で精神的に追い詰められた他に、長い間豪雨に打たれて身体的にも限界を迎えたのか、桜空はそのまま地面に倒れる・・・・・
桜空自身、自分の限界にすら気づけずに倒れるほど、追い詰められていたのだろう・・・・・)
>>725
>>726
朱音
「あーあ、無理をしたから倒れた…
それじゃ、アタシらの大将を運んで来るよ。」
先ほどからずっと視線だけを窓の外にいる桜空に向けていたところ、土砂降りの中、地面が泥のようになってしまっているところへ意識を失った桜空が倒れ込むと、
桜空が倒れた事にいち早く気付いた朱音が傘に付いた雫を少し払い、再び外に繋がる扉を開いて桜空をアジト内に運ぶために向かおうとする。
>>727
「おっと姐さん、あんたの手を煩わせるまでもないぜ」
一連の様子を見ていた隆次が彼女の後ろに立つ。
そしてそこから動かずに鎖を形成、桜空の体へ器用に巻き付けると、そのまま中へと引き寄せた。
「洗濯物とか増やすのも、面倒だろ?」
びしょ濡れになって服の一部が透けるというのも乙なものだが、そういうのはごく個人的な範囲に留めておくべきだ。
>>728
朱音
「相変わらず便利な異能だなぁ。
アタシの異能はこういう時には役に立たないからね…
助かったよ!」
中川が鎖を生成し、開かれた扉の先で倒れた桜空を引き込むのを見ると、扉を閉めながら彼の利便性に富んだ異能を見て感心する。
自分が持つ異能は基本的に攻撃や索敵には有利だが、それ以外の日常生活ではほぼ使えない。
こう言った場面でも直ぐに対応できる彼の能力に素直に称賛送る。
>>729
「へへっ、誉めても何も出ないぜ姐さん」
確かに自身の能力とその練度に対しては、自負のようなものを持っている。しかしいざ面と向かって称賛されると中々にむず痒い。
「それで、今後はどうします? すぐにでも八咫烏へ攻め込みますか?」
声色を落とし、First構成員としての顔つきになる。
リーダーがこの有り様なので録な方針は定まっていないだろうが、朱音の頭には何らかのプランがあるかもしれないと踏んだ。
>>730
朱音
「勿論、奴らにも目に物を見せてやるつもりさ。」
朱音は狼谷のような作戦立案能力は無く、八咫烏内の情報を持っている構成員ももう居ない……つまり、これまで異常に八咫烏の動向を把握することが困難になってしまった事を意味している……
朱音は自身の異能によって腕力を強化し、意識を失った桜空を抱えながら応える。
朱音
「とは言っても……奴ら八咫烏がどう動くのかは読めないから、先手を打つことも出来ないし、私はあまり頭を使った事は苦手だから、その辺りは任せようかと思っている。」
救出作戦の舞台となった拠点は既に破棄されており、広大な地下空間もろとも半日で取り潰され、その足取りすら不明となってしまった。
八咫烏は少数精鋭と言うことであり、大規模な組織では無く、系列組織も無い。各メンバーは元々各自の判断で行動していたため、その行動を読むことは困難だ。
そもそも、今回のように組織的に行動したり戦力が集中する事自体が異常だと言える……八咫烏の中でも何かしらの変化が起きているのだろうか…?
桜空「・・・・・八咫烏との戦いは、数日後だ・・・・・あっちから出向いてくれる、それを待つ・・・・・」
(倒れてから意識もあるのかないのかもわからず、長い間豪雨に体を打たれていたことで冷たくなっていた桜空が、二人の会話を聞き、八咫烏との戦いは数日後、しかもあっちから出向いてくれるということを呟く・・・・・
目を開いた桜空の目は、今までの桜空とは違う、何かが宿ったような目だった・・・・・)
>>朱音、中川
>>732
朱音
「数日後だって?
これまた随分と唐突に言うけど、何か確証があるの?」
雨に打たれ過ぎたことで体力が無くなり、朦朧とする意識の中で何かの幻を見たのかと思い、桜空を抱えながらも、何か確証があるのかと問いかける。
もし、何かしらの情報を掴んでいるのであれば、それを元に作戦を練ることで対策を講じれるのだが……今の桜空はとても正常な状態であるようには見えない。
桜空「あぁ・・・・・あるさ、言っておくが、俺は別におかしくなったわけじゃねぇからな・・・・・?」
(朱音の目を見て、確証はあると、自分はおかしくなってこんなことを言っているわけではないと告げる・・・・・
付き合いがそこそこ長いと、相手が思ったことを全部言わずとも、大体のことはわかってしまう・・・・・
雨の中泣いていたのか、桜空の目は、少し赤くなっていた・・・・・)
>>733
>>734
朱音
「……それなら、私達はどう動く?
全戦力の三分の1が海外にいるけど、国内にいるfirstのメンバー全員を集めて戦力を強化しておくか?」
桜空が意識を取り戻した事で彼を床に降ろしながら、彼の言う数日以内の八咫烏の攻勢に対して自分達はどう動くべきかと問いかける。
数日だけでは海外で作戦を展開している構成員の召集には間に合わないものの、日本国内にいるfirstのメンバーであればそのほぼ全員を集めることが出来るため、それらを集めることで有事の際にも直ぐに動ける状態を確保しておくかと聞く。
>>734
「一任……ですか、こりゃ責任重大だなぁ」
とはいえ、こうなることは半ば予想できていた。
とすれば、地道な情報収集から始めようかと考えたがーー
「おや? お目覚めですかい、大将」
どうやら桜空が意識を取り戻し始めたようだ。
「ふむ、数日後ね……」
捕まっている間に情報を取ってきたのか、嘘や出任せではない声色に思える。
「OK、了解した」
他ならぬリーダーの言葉だ。軽々しく無碍には出来ない。
そして、あちらから来るというのなら好都合。わざわざ探し出す手間が省ける。
「ところで大将、能力の方はもう大丈夫ですかい? 問題なかったとしても、また対策される事態は十分あり得ますぜ」
Firstのリーダーだけあって彼の能力は強烈だ。これがあるとないとではパワーバランスや戦術の組み立てに大きく関わってくる。
そして、Firstのリーダーだけあって狙われやすい。なにしろ特定の施設内で彼の能力が使えないという事態が発生したのだ。これを応用した技術でこちら側の能力を封じてくる可能性は高い。
桜空「・・・・・今回の戦いは、俺一人で出向く・・・・・」
(今度の戦いでどう動くかという指示を待っている二人に、今回の戦いは自分だけで出向くと呟く・・・・・
「組織のメンバーを招集して強化することもない・・・・・能力の方は、なんとか上げることに成功したし、対策をされる前にこちらから動く・・・・・お前達には悪いが、ここで大人しくしてろ・・・・・」
桜空は、あの雨に打たれながら精神統一でもしていたのか、それとも悲しみから底知れぬ力の覚醒でもしたのかは定かではないが、ハッキリと本人の口から能力が上がったと言う・・・・・
しかも、他のメンバーを招集する必要もないとまで言い張る・・・・・)
>>735、736
>>736
朱音
「何を言って……たった一人でどうにかなるような奴らじゃないって事は知ってるだろ?」
精神統一や一朝一夕の鍛練でどうにかなるものじゃない。
多少の力の差はあれど、あの難敵、蟲鴉や水鴉クラスの十二鴉が少なくともあと十羽(正確にはルインに粛清されたり、ファーストとの戦いを避けた素鴉を除いて七羽)いる上
たった一人で五十人以上いたファーストの攻撃部隊を一方的に壊滅した剱鴉に、一度桜空を圧倒した霞鴉に加え、その剱鴉と霞鴉と同格の存在がもう一人存在している上に、その三羽鴉をも超える金鵄もいる……
ファーストの全戦力をぶつけて漸く互角か、少し劣勢ぐらいの戦力差であるにも関わらず、それにたった独りで挑むなど無謀としか言いようがない。
朱音は少し呆れながら応える。
>>737
「……!?」
耳を疑った。
何故この状況でそんな言葉が出てくるのか。
実は雨風でとっくに頭がやられていたのではと考えてしまう。
当然ながら九条も異を唱える。しかし、
しかし……
「待ちな姐さん、ここは大将の言う通りにしてみましょうや」
桜空の可能性に、賭けた。
こういう事を言い出した彼が止まらないのはもう十分身に染みている。
それに、上手くは言えないが今の彼にはただならぬ『何か』がある。
それならば下手に反対せず、背中を押してやるのが上策だと判断した。
「但し、俺達はバックアップが出来る立ち回りをさせて貰いますよ。いいですね、大将?」
ここは譲れない。Firstの一人として、狼谷から託された者として役目は全うしなければならないのだ。
桜空「あぁ、わかってるさ・・・・・俺だって馬鹿じゃない、お前達からすれば無謀にも程があるってことだろ?」
(朱音の反論に、いつもなら少し怒り気味で反論するのだが、今の桜空は朱音の反論にも落ち着いた様子で対応している・・・・・
いつも喧嘩に発展するのは、お互い相手の意見が間違っている、もしくは気に入らないという感情からであり、今喧嘩になっていないのは桜空自身も無謀なことだとわかってのことなのだろう・・・・・)
>>738
桜空「例えば、それはどんなことだ・・・・・?」
(バックアップが出来る立ち回り、と聞けば、それは例えばどんなことなのかと問いかける・・・・・
今の桜空は、できるだけ仲間達を巻き込みたくないという強い意志が、戦いから仲間達を遠ざけ、自分だけでも八咫烏という立ちはだかる巨大な壁に挑む気でいる・・・・・
もし、中川達にも危険が及ぶようなことであれば、この時点でストップをかけておかなければいけないと考えている・・・・・)
>>739
>>739-740
朱音
「とても正気だとは思えないけど………
アンタらがそこまで言うのならアタシもアンタらの考えに乗るよ!」
桜空一人が言うのであれば、とても賛成し難い事なのだが、そこへ、この中では比較的冷静に状況分析の出来る中川まで賛成した事から、二人の中には何かしらの考えがあると思い賛成する。
自分は昔から一人で敵陣に突っ込んで成果を上げ続けて来た、叩き上げの存在であり、戦術や戦略を組み立てると言った器用な事は出来ない。
他力本願のような形になってしまっているが、二人の実力と秘策に賭けることを決めたのには、この無謀とも言える戦いの中でも諦めない、自信を感じたからだ。
>>740
桜空は朱音の反論に対しても感情的にならず、平静に対応してみせた。あの時とはまるで別人である。
「そうですね、今回の場合は集団戦になるから、索敵が主になるでしょう。あとは、大将が万一倒された時、大将を運んでの撤退ですね」
勝率は問題ではない、ここで重要なのは『桜空本人以外が想定し得る、最悪の事態』に対処する為の保険の存在だ。
そして、自分の能力ならばこのどちらもこなせる。
「無論、大将が奴らを全員倒し、俺の考えが杞憂に終わればそれが理想的です」
だが未来はどうなるかわからない、故に事前に打てる手は打っておきたいのだ。
桜空「・・・・・前もって、これをお前達に渡しておこう」
スッ・・・・・
(今回ばかりは相手が悪すぎることから猛反対されるかと思っていたものの、腕を組み、真剣な表情でただ話を聞いている紀を除き、二人共賛同してくれたこのタイミングで、桜空はズボンのポケットから、何かを取り出す・・・・・
それは茶封筒であり、茶封筒には『遺書』と書いてあった・・・・・)
>>741、742
>>743
朱音
「おお!何か金一封か何か入っているのか?
………って、んんんん!!?」
二人の意見に賛同し、その開始を待っている最中、桜空が茶封筒を差し出して来たため、それを意気揚々と受け取る。
餞別か作戦の指示書を渡してくるのかと思いきや、封筒に書かれた"遺書"の二文字が目に飛び込んで来ると、あまり物事を深く考えない朱音であったものの、流石にこれには驚く。
朱音
「おいおいおいおい、こんな縁起の悪いものを渡されても士気が下がるだけなんだけど?死ぬ気満々じゃないか。」
桜空「死ぬ気満々だと?ふざけるな!元より死ぬ気なんてサラサラねぇよ!!!!!」
(狼谷を亡くしたばかりで死ぬというワードにかなり敏感になっているらしく、いつもとは違って落ち着いた様子だった桜空は、それまでとは打って変わって急に怒鳴り声を上げる・・・・・
「俺はいつだってお前達の身を案じながら自分だって生き延びることを考えて今までリーダーのしてやってきたんだ!だが今回の戦いでもしかしたら命を落とすかもしれない、そんな気持ちが生まれるほどに今回は相手が悪い!だからもしもの時の為にこうやって言い残しておくべきことを書いたんだ!これは保険だ!もともと死ぬ気なんかない!!!!!」)
>>744
>>745
「……わかりました。貴方の覚悟と配慮、確かに聞きました」
桜空の悲痛な叫びを聞き、自身も改めて気を張り直す。
狼谷の旦那に報いる為にも、つまらない失敗はできない。
「ああ、それと……」
「言葉一つでいちいちヒスってるようじゃ、返り討ちで犬死にだ。小僧」
血も凍るような声色で釘を刺す。
「……けど、そうならないように俺達も死力を尽くしますよ。まあ大船に乗ったつもりでいて下さいな」
しかしまたすぐにいつもの軽薄男に戻り、人懐っこい笑顔で締めた。
「姐さんもそれでいいですね? なーに心配はいらないっすよ、終わったら俺が一杯くらい奢ります」
朱音の不安を拭うように明るい口調で説得を試みる。また、封筒の中身が金銭でなかったことに対するフォローも入れておく。
>>745
朱音
「黙って聞いていれば……!!
死ぬ気の無い奴が遺書なんか書くか!!
もしかしたらも、万が一も無い!必ず生きて帰る!それだけ言えば充分だろうが!!」
自分が二人の考えに乗ったのは、二人が必ず果たすという覚悟と自信を感じられたからだ。にも関わらず、弱気や弱音を聞いて、その覚悟や決意が揺らぎうるものであるとわかると、怒りを露にしていく。
>>746
朱音
「……アタシはもう知らん。」
桜空の渡そうとした遺書を受け取らずに近くのテーブルの上に置くと、両腕を組んで壁に背を預け、自分はもう止めもしないと言う。
先程までの自分は必ず生きて帰る、必ず勝利する。
始めから勝率の無い戦いだ、虚飾とは言えど、それを掲げられるだけの勇気と意思を感じたから警察官と言う立場と肩書きを捨ててまでこの組織に来た。
政府の上層部にいる者達は己の利権と利益のために腐敗を容認し、自らの意思や信念も無く、己の手が届く範囲しか干渉しなかった……
そんな連中では決して持ち得ない強い信念を感じており、それがあれば世界をも変えられると信じていたからだ……
だが、先程の桜空の言動は明らかにそれを反語にするものだった。
自分は叶わないかもしれない、力及ばず命尽きるかもしれない、自分が命を落としたら……と言ったように臆病風に吹かれたような、半ば自暴自棄なものであったからだ。
だからこそ、朱音は失望と落胆を隠すことなくそう応える……
桜空「・・・・・あぁ、任せた・・・・・」
(今まで聞いたことのない中川の声色に少し驚くも、すぐさま任せたと一言だけ呟く・・・・・
ヒスっている、か・・・・・と内心思うも、かなり精神的に追い詰められている今の自分は、この言葉には流石に逆らえなかった、これは紛れもなく事実でしかないからだ・・・・・)
>>746
桜空「お前に何がわかる!政府の闇がどうたらこうたらなんてちょっと知ったくらいでこの組織に入ったような奴がわかったようなことを言うな・・・・・!!!!!」
(桜空自身、この組織のリーダーになってからは、メンバーのことをいつでも思って生きてきた・・・・・
メンバーの過去も全て受け入れ、前に進んできた・・・・・
だが、今この瞬間、ついカッとなって突発的に心にもないことを朱音に言ってしまう・・・・・)
>>747
>>749
朱音
「………!?
………ああ、そうかよ……それならもうアンタの好きにしな……」
しかし、自分がファーストに入る際のきっかけや理由については話していなかったにも関わらず、それを知っていた事に驚きながらも、失望した朱音は足早にこの場を立ち去って行く……
普段ならばここでヒートアップして大論争になったりするのだが、それをせずに立ち去る事からもう話す余地も無いと判断したのだろう……
八咫烏との決戦の前に朱音は姿を消してしまう……
桜空「・・・・・」
(朱音が立ち去った後、言い過ぎてしまったと立ち尽くしながら後悔する・・・・・
だが、一人でも今回の戦いに関わる人間が減ったことは、逆によかったのかもしれない・・・・・
内心、自分はクズだと思うが、これが最善の策とも思えてしまう自分がいる・・・・・)
>>750
>>751
「あっちゃー……」
舌の根も乾かぬ内にこの体たらく。
流石の隆次もこれには呆れ果てた。
狼谷の遺志を放り投げてしまいたくなる。
(いや……ここ最近で立て続けに状況変化の連続だからな。完全に冷静さを保てってのも酷な話か)
何とか自分を押さえ思い留まる。そうだ、ここで自分が冷静にならなくてどうする。今朱音が去ってしまった以上桜空のブレーキ役は自分しかいないのだ。
「行っちまったもんは仕方ないですぜ大将。俺がやれるだけやってみますよ」
そして、一歩引いた視点で見れば桜空は見事彼女を危険な前線から遠ざけた。
もしかすると無意識の内に、仲間を死地に行かせない為の最適解を選んでいたのかもしれない。
桜空「・・・・・あぁ・・・・・」
(桜空は一言だけ上記を呟くと、そのまま自室へと戻ってゆく・・・・・
かなり追い込まれているが、戦闘へ向けての最終準備をしなければならない、だからこそ、ここでただただ落ち込んでいるわけにはいかない、桜空は今するべきことをしなければならない・・・・・
歪み切った正義に立向かう為に・・・・・)
>>752
【First神奈川第二支部】
桜空の救出作戦が決行され、狼谷が死亡した二日後…
桜空が捕らえられていた八咫烏の拠点への進行準備をしていたファーストの拠点を含めた、神奈川県内に点在していたファーストのアジトが次々と壊滅されていく……
襲撃されたアジトにいた少数の生き残り達は口々に
"何処から攻撃されたのかわからない"
"霧が出たと思ったら音も気配もなく仲間が次々とやられた"
"霧の中に入った奴は誰も助からない"
と言ったように、まるで命を奪う化学兵器が使われたかのように、生き残った者達はその謎の霧に怯えてしまっていた……
壊れ、捻れ、歪んだ正義を掲げる氷華が率いる八咫烏による日本全土を地獄へと変える序章はこの時点から始まる……
紀「まさかここまでやるとは、完全にしてやられましたね・・・・・」
(八咫烏による本格的な悪人粛清が始まったことを知り、紀は別の班がいるアジトへと赴いたものの、そこの光景は悲惨の一言に尽きるものだった・・・・・
よほどの悪人でもここまではしないだろうと言えるほどに、上半身や頭部を失っている死体や、原型を留めていない死体など、地獄絵図が広がっている・・・・・)
>>754
>>755
???
『君はFirstの主要戦闘員の一人だね……?』
紀が現場に訪れ、その惨劇を目の当たりにしたところで、周囲には薄い靄のようなものが広まり始め、視界を奪い始める……
そして、周囲の靄の中から小さく反響するように中性的な声が聞こえ、紀が主要戦闘員の一人かと問いかける。
紀「・・・っ・・・・・!・・・・・えぇ、いかにも、私はファーストの者ですが・・・・・」
(戦闘において大事なのは、取り乱さずに冷静さを保つこと・・・・・
冷静でいれば負けることはない、ということはないが、こういう時こそ落ち着いて対処せねばならない・・・・・
見たところ、相手の能力はさしずめ霧に化ける、といったところだろうか・・・・・)
>>756
>>757
???
『フフッ、やっぱりか……
丁度いい、剱鴉が逃してしまった君を"ボク達"が代わりに葬るとしよう。』
《バキバキバキバキバキ…》
相手が霧に化ける異能であると予測した紀の考えを裏切るように紀の背後から、尖端が鋭利な刃物のようになっている紫色の無数の枝が伸び、紀を背後から不意打ちをしようと迫って来る……
紀「不意打ち、ですか・・・・・使い古されたやり方ですね・・・・・」
グォッ・・・・・!
(裏社会の人間である以上、紀は不意打ち程度であれば仕掛けられることに慣れているのか、咄嗟にジャンプして身体能力の高さを活かした回避をする・・・・・
「貴方の言い方からして、一人ではないですよね・・・・・?出てきたらどうです?」)
>>758
>>759
《ヒュオッ》
紀が避けた先を狙い済ましていたかのように鋭利な刃物のような羽根が複数同時に紀が着地したタイミングを計って撃ち出される……
周囲は靄に包まれているため、次に何処からどのような攻撃が飛んでくるのかはわからない上に、どれだけの敵がこの霞の中に潜んでいるのかはわからない……
生存したファーストのメンバーが霧を異常に恐れていたのは、この得体の知れない攻撃によるものなのだろう。
紀「くっ・・・・・!」
バッ・・・・・!
(紀は能力で地面の瓦礫を浮遊させ、羽の猛攻をなんとか防ぐ・・・・・
辺りが霧に包まれていることが、どこから攻撃を仕掛けてくるのかわからないという攻撃を仕掛けられる側としてはかなり厄介な状況を生み出している・・・・・)
>>760
>>761
《グオッ》
横を薙ぎ払うようにして茨のように無数の棘が生え、複数の枝や蔦が絡まり、大木のようになった巨大な枝が紀に向けて迫って来る。
今度は瓦礫による防御は期待できない上に、地を払うようにして振るわれた一撃である事から飛び上がる他に回避する手段は無い……
先程の槍のような枝の異能の作用によるものであるが、何処にも術者の姿が見えず、何処からどのようにして攻撃しているのかはまるで見えない…
息をもつかせぬ猛攻。
霧は濃さを増しており刻一刻と周囲の状況は悪化を辿っている。
ヒュオッ・・・・・!
紀「姿も見せずにただただ攻撃とは、とんだ卑怯者ですね・・・・・」
(紀はファーストのメンバー、当然世間で言うところの悪人だ・・・・・
だが、悪人にも悪人なりの美学がある、姿も見せずに次から次へと獲物を仕留める為だけにただただ攻撃を繰り出してくる者は、紀の美学に反する卑怯者として認定される・・・・・)
>>762
>>763
霞鴉
『フフッ、相手の手の内がわからないのに素直に攻撃を仕掛ける訳がないだろう?』
霞鴉は冷静沈着な性格をしている。
常に相手の手の内を分析し、情報を集め、相手の異能について把握した上で、最も相手にとって効果の高い技や攻撃だけを繰り返す……
紀と直接戦った蟲鴉も水鴉も死亡した今、実戦以外で情報収集する方法が無い…だからこそ、部下達に攻撃をさせているのだろう。
霞鴉は油断も慢心もしない。
最適解のみを求め、情報を重視する
こうして戦ってきたからこそ、苛烈な戦場において怪我の一つもせずに勝ち続け"無敵の名"を得るに至った…
大鴉
「ハッハッハァーッ!!」
《ヒュオッ》
眼前から迫る樹木の鞭を飛び上がって回避した紀に向かって両腕が翼になり、足が鋭利な鉤爪の生えた鳥類のような脚となった逆立った黒髪の男が飛びかかる。
空中では動きが大きく制限され、その動きは単調なものになってしまう。
それを突くようにこのタイミングで攻撃を仕掛けて来たのだろう。
彼の脚の鉤爪はナイフのようであり、捕まってしまえば動きを封じられるだけでなく、大量の出血を強いられてしまうだろう……
紀「っ!!!!!」
グッ・・・・・!
(紀は能力で相手の動きを止めると、そのまま地面へと猛スピードで落下させる・・・・・
こうなったら、自分の体への負荷なんていちいち考えずに、制限時間ギリギリまで能力を行使して戦い尽くすしか道は残されていない・・・・・)
>>764
>>765
《ギラッ》
紀が地面に落とした黒髪有翼の男は周囲を包む濃霧の中へと消え、自然落下し始めた紀の足元には無数の棘が生えた茨によって床の一部が覆われ、即席の棘床を形成している……
もし、このまま落下してしまえば、両足に棘が突き刺さり、機動力を封じられてしまう事になる。
更に、機動力を削がれた状態では霧に潜む者達からの攻撃を防ぐ事は出来なくなってしまうだろう
視界の悪さと人数の優位性を利用した巧みな戦術構築能力、そしてそれらさえも単純な戦力としてだけでなく、情報分析として用いる機転、これこそが霞鴉が三羽鴉たる由縁
紀「っ・・・・・!!!!!」
グッ・・・・・!
《危なかった・・・・・一秒でも反応が遅れていたら、全身に突き刺さっていた・・・・・》
(地面に落ちる寸前、自分自身を浮遊させてなんとか一時的に難を逃れる・・・・・
流石は八咫烏のメンバーの上位に位置する三羽鴉、といったところだろうか・・・・・
だが、こちらもやられているばかりではない・・・・・)
紀「そろそろ、こちらも反撃させていただくとしましょうか・・・・・」
>>766
>>767
霞鴉
『フフッ、少しは抵抗してくれないと面白くないからね?
さあ……君の足掻きを見せておくれ。』
濃霧の中に潜む霞鴉はそう言葉を告げる……
すると、その次の瞬間、紀の視界の端で小さく何かが光ると、その光に向けるようにして無数の羽根弾と鋭利な槍のような枝が紀の左右から迫る。
この濃霧の中では、敵味方の区別がつかず、同士討ちを起こしてしまいそうな状況でありながら、それが起こらなかった理由……
それは光の反射と拡散を調整する事で紀の背後や死角を発光させる事で目印とし、そこを中心に範囲攻撃を仕掛けさせたり、動きや位置を予測しているのだろう。
相手が感知しにくい、死角に小さな閃光を起こす事で同士討ちを避けつつ、相手の位置を相手には悟られないように知らせる………
これが霞鴉の戦力運用の法則の一つだ。
紀「くっ・・・!この程度で負けるわけには・・・・・っ・・・・・」
ぐぐぐっ・・・・・!
(左右からの攻撃を能力でギリギリ当たる寸前で磁石が反発するようにぐらつきながらも停止させることに成功する・・・・・
が、紀の体への負担が、じわじわと大きくなり始める・・・・・
だが、今の光で何故霧の中でも自分の位置がわかるのか、やっと理解出来た・・・・・
となれば、これを利用するという手もある・・・・・)
>>768
>>769
《ググググ…》
左右から迫る枝槍と羽根弾の数と威力が少しずつ増加している…
相手の攻撃のタイミングや位置把握方法がわかったとしても、それを活用する方法は限られている…
攻撃に専念する事の出来る八咫烏とは違い、防御と回避を行うだけでなく、現状を打開するための策を練り、実行しなければならない……
時間の経過と共に力の消耗は激化していく中、過剰な異能使用によるデメリットや反動が起きる前に打破しなければ…その先には死しか待っていない。
紀「・・・っ、あ゙あっ!!!!!」
グォッ・・・・・!
(左右から迫り来る攻撃をなんとか別方向へと跳ね除ける・・・・・
「いいでしょう・・・・そこまでして私を怒らせたいのであれば、望み通り地獄を見せてやりましょう・・・・・!」
紀は限界を迎える前にやれるだけのことをやり、そして早い所ここから立ち去ろうと考える・・・・・
「さぁ、来るなら来なさい・・・・・」)
>>770
>>771
霞鴉
『面白いことを言うね。
地獄にいるのはキミだと言うのにね?』
次の瞬間、再び紀の左右から無数の枝槍と羽根弾が放たれる…
しかも、攻撃箇所を悟られないように場所を移動しながら攻撃をしているため、不規則に攻撃方向が変化しており、それが結果として周囲のあらゆる方向からの同時攻撃に繋がっている。
視力が使えない濃霧の中、一方的に攻撃される…
この不安と恐怖に押し潰される前に打開する術はあるのか…!
紀「随分派手にやってくれるじゃないですか・・・・・」
カッ・・・・・!
(紀は霧の中で感覚を研ぎ澄まし、攻撃を紙一重で避けながら空中に向かって何かを投げる・・・・・
すると次の瞬間、辺り一帯が激しい光に包まれる・・・・・
恐らく閃光弾を投げたのだろう・・・・・)
>>772
霞鴉
「(この瞬間的な発光……
閃光弾……か。なるほど、光の反射をしやすい濃霧を利用して閃光の威力を引き上げたか……)」
霞鴉もまた、一時的に身体を完全に霞に変え、そこから身体を再構築する事で視界を回復させつつ、冷静に戦況の分析を行う。
霞鴉
「(けど……それが吉に出るとは限らないよ?
なにせ……突然視界を奪われた者は見えない敵を恐れて周囲を攻撃し始めるのだからね)」
霞鴉の読み通り、樹木使いと、有翼の異能力者の二人が周囲に無数の枝槍を振り回し、または羽根弾を放ち続け、互いに自滅し合うことさえも厭わずに無差別に攻撃を撃ち出して行く……
仲間意識が低いからこそ、互いに攻撃が及ぶことさえも厭わずに視界を奪われた瞬間に周囲への攻撃を行っている。
だが、肝心の二人の位置……
特に樹木使いの位置はこの濃霧に紛れて巧妙に隠されており、周囲を攻撃する枝槍も遠隔操作可能なものとなっている。
紀「無差別攻撃、ですか・・・・・ナメないでもらいたい、私が幼少期過ごしたところなんて、こんな四方八方周囲への無差別な攻撃なんて当たり前、は日常茶飯事だった・・・・・」
(紀は幼少期、毎日が常に死と隣り合わせのスラム街、それも周りは砂埃で覆われることもあれば、銃を片手にうろつく大人がいることも珍しくない場所で孤独に育った・・・・・
霧の中でもある程度対処ができていたのは、幼少期に過ごした場所での経験が活きている証拠なのだろう・・・・・
常人ならばまず確実に避けることはありえない量の攻撃を、ひょいひょい避けてゆく・・・・・
「元戦争孤児を、ナメないでいただきたい・・・・・」)
>>774
>>775
《ガッ》
霞鴉
『遅いなぁ、判断も反撃も……
チャンスがあるのなら直ぐに攻撃しないと、こうして攻撃チャンスも潰されちゃうよ?』
紀は羽根弾と枝槍による無差別攻撃を避ける事が出来ていたものの、
反撃のためではなく、回避に専念してしまった娘とが仇となり、紀の背後に部分的に具現化された霞鴉の手が紀の襟を掴んで羽根弾や枝槍の方向へと強引に引き寄せる事で
その動きを封じ、そのまま羽根弾と枝槍による無差別な攻撃を紀に当てようとする…
紀「わざわざそちらから来て下さるとは、ありがたい・・・・・」
ジー・・・・・
スウウゥゥゥッ・・・・・
(襟を掴まれた紀の首には、服で隠れていたものの何やら監視カメラのようなものが付いたベルトのようなものが巻かれており、次の瞬間、紀に向かっていた攻撃がいきなり現れた謎のゲートのようなものに入っては、もう一つ出現したゲートのようなものから出てきて、来た方向をスピードを維持したままそのまま戻り始める・・・・・
「貴方が霧になれるのであれば、私達もそれ相応の対処をさせてもらいます・・・・・私達のリーダーは、もうあなた達をロックオンしました・・・・・」)
>>776
>>777
霞鴉
『へぇ……その対策がどこまで通じるのか試してみなよ。』
枝槍と羽根弾の二つを空間転移によって返された事で事実上無効化されると、掴んでいた紀の襟から手を話し、掴んでいた霞鴉の左手が再び霧散する。
また、一度や二度返しただけでは濃霧に紛れた相手には当たらず、再度左右から羽根弾と枝槍が迫って来る……
この場にいる二体の鴉も少しずつ視力が回復して来たのか、命中精度も再び上がり始めており、幾らか閃光に対する対策も取って来てしまうだろう。
紀「これは・・・・・思っていた数倍はキツイ戦いになりそうですね・・・・・」
(すると「どうです?提案なんですが、私は能力を使わずに戦います、ですからそちらも能力を使わずに戦う、というのは・・・・・仮にも表向きは名だけの正義を語る者達が、ただただ悪人を数人係で、しかも視界を遮ってまでボコボコにするというのはそこらのチンピラよりもよっぽどタチが悪いと思いますが・・・・・?」と、能力は使わずにお互い、人数の差は出るものの正々堂々と戦わないかと提案する・・・・・)
>>778
>>779
霞鴉
『フフッ、敵に対して提案するなんて愚かだね。
その提案に乗る輩なんて存在するのかい?』
次から次へと枝槍と羽根弾による波状攻撃が続く中、霞鴉は紀の提案を一蹴する……霞鴉に挑発や罠は通用しない……何故なら、自らの優位性を維持するために常に冷静沈着に戦況を分析し続け、相手の一挙手一投足に至る全てを"観察"しているからだ……
霞鴉
『いいか?正義を語れるのは勝ち続けた者だけだ。
敗者の語る理想は須く悪となる…
悪に等しいと糾弾されようと、独善的だと蔑まれようと、正義を語り続ける以上は勝ち続けなければならないんだ。一度でも敗北してしまえば……それはもう正義とは呼べない……呼ばれない。』
霞鴉は自らの正義に対する価値観を語る。
霞鴉が何故ここまで慎重に戦うのか……その理由は正義である事を維持するためだ。
善悪の価値観など幾らでも逆転してしまう事を霞鴉は知っている。
どれだけ心優しい者であっても……善人の行う善行だろうと、それと正義がイコールになるとは限らない。
悪人が善人を悪であると大衆に語り、力によって善人を捩じ伏せる事でその汚名の一切を押し付けることが出きると言うことを霞鴉は知っていた。
だからこそ、勝ち続けるために手段を選ばないようになったのだろう。
紀「なるほど・・・・・価値観が古いですね・・・・・ごふっ・・・・・!」
(紀は能力の制限時間に突入し、吐血し始める・・・・・
勝ち続けた者だけが正義になるのなら、どんな悪でも勝ち続けたなら正義になるだろう・・・・・
正義も悪もどこまでが、どこからかという判別は難しいが、万条の一致の悪人ですら勝ち続ければ正義となりうる・・・・・)
>>780
>>781
霞鴉
『フフッ、何事も新しいモノだけが正しいとは限らないのさ。』
異能の過剰使用の反動によって吐血する紀を見ている霞鴉は濃霧の中、周囲の空間を静かに反響するような声量で何事も新しいモノだけが正しいとは限らないと応える。
霞鴉
『さあ、時間稼ぎはもういいかな?
ボク達の方はもう充分に稼げたよ。』
紀の話しに乗って正義について語った行為も、紀が何かを仕掛けるための時間稼ぎであったと察した上のもであったようで、視力の回復した翼腕の男が紀の背後から巨大な鈎爪のような脚を持って紀の体を捕らえようとする。
同じ手は二度も通じない……
もう閃光弾では視力を奪うことは出来ないだろう……
紀「えぇ、やっとここまで来てくれました・・・・・」
スウウゥゥゥゥッ・・・・・!
(襲い来た翼腕の男が迫ってきたその時、先程と同じように男と紀の間に桜空の遠隔操作するワープゲートが出現する・・・・・
桜空「ようこそ・・・・・」)
シュンッ・・・・・!
・・・・・・
(桜空は男が迫ってきたその時に合わせてゲートを出現させることで相手の意思に関係なくゲートの向こう側へ来るように仕向け、そしてゲートを閉じた・・・・・
氷華の弟というだけあるからなのか、それとも狼谷の死が影響を与えたのか、明らかに以前よりもワープゲートの出現までの時間が短くなっている、つまりゲート展開が早くなっており、そして同様にゲートを閉じるのも早くなっている・・・・・)
>>782
>>783
霞鴉
『へぇ……そのワープゲートは少し厄介だったけど……
キミ達のリーダーでは彼を仕留められるだけの力は無いだろう?』
空中から滑空している状態であったため、速度が速いものの、その旋回力は低下しており、桜空のワープゲートを通じて彼の目の前へ移動させられると、そのまま桜空へ飛び掛かり、一気に制圧しようとする。
霞鴉
『それに……本命はこっちだ。』
《バッ》
紀の眼前に無数の枝槍が迫る……
濃霧に紛れているせいで何処に術者がいるのかわからない上に、遠隔で幾らでも攻撃できるため、霞鴉の力と相性が良い。
だからこそ、翼腕の鴉がこの場から消えてもまるで気にしておらず、平気で紀に対して追撃を加えて行く……
>>783
ここで桜空が来たとあらば、もう一人忘れてはならない男がいる。
「へっ、漸く出番ってか?」
アーミーグリーンのモッズコートをたなびかせ、桜空のワームホールの一つをくぐり抜けた。
「よう、皆さんお揃いで。これだけ豪華な面子で紀ちゃん一人お出迎えとは、サービス精神旺盛ですなあ」
ミュージカルでもしているかのような仰々しい仕草をしながらの軽口。しかしその内に秘めたる闘志と怒りは、確かに彼の中で渦巻いている。
「んじゃ、こっちも相応の礼儀を尽くさねえとなぁ?」
瞬間、虚空を掴む。
否、掴んだのは虚空ではない。その手には既に形成された棒術用鋼鉄棍が握られていた。
それを風切り音と共に一通り振り回し、構える。
「そらよっ!」
そして目にも止まらぬ速さで踏み込み、紀に迫っていた枝槍を全て粉砕。
「おーっとっと、ちょいとやり過ぎたかねぇ?」
素人にはほぼ見切れない程の動きをしたにも関わらず、息は全く切れていない。
【暫く出番がなかったので、独断で『桜空と一緒にきた』ということにさせて頂きました。もし展開的にまずいようなら直ぐ撤退させます】
>>785
霞鴉
『へぇ……これで手数の優位性は崩れた訳か……』
霞鴉
『フフッ、でも残念だったね。
増援が来るのなら……あと数万は用意しないとこの"数的優位性"は崩せないよ?』
《シャッ》
あくまでも霞鴉は視界を奪い、部下の姿を隠す事に専念している。
まだ自分が戦うべきではないと考えているから、それとも霞鴉自身は霧化と濃霧生成しか異能の範疇に無いからなのか……
その真相は謎だが、中川が新しく増援として現れた事で、無数の枝槍が今度は中川の足元のコンクリートを突き破って伸び、中川の体を貫こうとする。
ドゴォッ・・・・・!!!!!
桜空「ほらほらどうしたデカブツ、こっちだこっち」
(桜空の身体能力が、意見よりも増している・・・・・
相手の行動を先読みしたかのように華麗に避けては、腹部への強烈な一撃をおみまいする・・・・・
桜空の目には氷華とはまた違った強い意志が宿っている・・・・・)
>784
桜空「中川、俺はこいつを何とかする、悪いがお前は紀の助っ人になってくれ、片付き次第手助けへ行く、くれぐれも〇すなよ?」
(桜空は翼腕の男をゲートの先で何とかするので、そっちは紀の手助けになってくれと言う・・・・・
「言っておくが、マジで危険だと判断したらすぐに止めに入るからな・・・・・」
ゲートを閉じる寸前に中川へ忠告をしておく・・・・・)
>>785
>>707
【桜空vs鳥人の鴉】
鳥人の鴉
「この野郎……!!!」
最初の掴みかかりを避け、更にカウンターとして強力なボディブローを受けるが、小柄な桜空では物理攻撃において最も重要な体重が無いため、決定打にはならず、
空中へその衝撃を逃す事でダメージを最小限に抑えた上に、距離を取り、反撃として無数の羽根弾を打ち込んで桜空を撃ち抜こうとする。
桜空には相手を殺傷するつもりは無くとも、それを知らない鴉は、敗北=死と言う事を認識しているため、死に物狂いで抵抗してくるだろう……
>>786、787
(……来る!)
僅かながら伝わるコンクリートからの振動。偶然地震が起こったなどという能天気な認識は持たない。
「前に俺が使ったのと似たような手だな!」
故に対処はしやすい。鋼鉄棍を一瞬でスレッジハンマーに変え、思い切り振り下ろす。
豪快な一撃が枝槍を全て砕いた。
「まだだぜ?」
それだけに留まらず、直ぐ様スレッジハンマーを無数の細長いドリルに変化させ、先端の砕かれた枝槍全てに掘削させ始める。
(こいつは見たところどう見ても枝だ。てことはそれを伝って掘り進んでいけば本体にたどり着ける筈)
鋼鉄の螺旋錐は異形の樹木に食い込み、食い荒らす。
「ん? ああ、わかってますよ大将」
桜空からの非殺傷に徹しろという命令を快諾する。もう彼が生半可な覚悟でないことは思い知らされた。ならばその信念の為に尽力するまで。
(尤も……『非殺傷による不利益』も受け入れる覚悟を持ち合わせてない場合は、その限りじゃねえけどな)
その時は躊躇なく反旗を翻し、狭量な独裁者を討とう。
桜空「・・・・・さて、これで思う存分やり合えるってわけだ・・・・・」
ズッ・・・・・!
(桜空はゲートを出現させ、もう一つの転送先に繋がるゲートを相手の方向へ、だがギリギリで当たらない位置に相手の羽根弾を跳ね返す・・・・・
「どうした?見た目だけじゃなくおつむの方も単細胞か?」)
>>788
紀「気をつけなさい、奴らこの霧を最大限に活かして攻撃を仕掛けてくる・・・・・」
(駆け付けてくれた中川に忠告をする・・・・・
どう転んでも八咫烏側が有利なこの状況、ファースト側に一人加勢したところで逆転できるほど甘い戦いではなく、二人まとめてやられる可能性も十分にある・・・・・)
>>789
>>790
【中川vs樹木使い】
《メキメキメキメキメキ…》
術者に近づけば近付くほどに樹木は強度を増しており、その根本を掘り進める速度や、螺旋錐の磨耗も激しくなってしまう……
更に、その樹木そのものに高い再生力と生命力があるようで、空洞になった箇所も僅か十秒足らずで埋まってしまう上に、砕かれた箇所から細長い鞭のような枝が生え、硬度や殺傷力は落ちるが、その手数と一本一本の速度によって中川に反撃しようとする。
中川の読み通り、この樹木の根元には、樹木と半信が一体化した術者が潜んでいる。
また、この異能はあくまでも一本の樹木を介して攻撃を行うといった性質のものであり、複数の樹木を同時に生成して操るのでは無く、一本の樹木の枝を分裂させたり増殖させる事で攻撃をしている。
>>790
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「ふざけやがって!この餓鬼がァ!!」
翼腕の鴉は遠距離攻撃は効果が無いと言うことや、挑発を受けて頭に血が登った事で近接攻撃を仕掛けようと、両足の巨大な鈎爪を剥き出し、それによって桜空に向けて再度飛び掛かる。
翼を持ち、自由に空を飛べると言うことからその速度はかなりのものだが、その分動きも単調になってしまっている……
空間移動させる事が出来れば相手の攻撃を無力化させる事も出来ると思われるものの、それだけでは相手を倒す事も出来ない。
更に……この鴉の後には霞鴉も控えているため、悪戯に異能を使うのは得策とは言えないだろう。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
『部下二人は暫くは使えないか……
仕方がない、こうなればボク自身も戦うとしよう。』
《ザアァァァァァァァァァァァァァァ……》
霞鴉は紀の前、6m程前方にて、周囲を覆う濃霧の一部が集束し始め、人の形を成すと、そこにはカランビットナイフを持った綺麗な白髪に碧色の瞳をし、右目が髪で隠れ、黒いスーツのような服に身を包んだ霞鴉が現れる。
漸く霞鴉が姿を見せたのだが、彼女の先程の発言から霞鴉一人で幾万人分の戦闘能力を持っている事がわかるため、無策で現れた訳ではないのだろう。
桜空「お前が猫だとするなら俺はネズミだが、ネズミはちいせぇ分動きが早いらしいな、正に今の俺とお前じゃないか・・・・・」
スッ・・・・・
(桜空は小さい分、その小ささを戦闘で活かし、攻撃を見切って避ける以外に身軽さで攻撃を避けるということも出来る・・・・・
体格差という部分では桜空の方が一歩も二歩も有利なような気もするが、相手は相手でその凶暴さと爪を活かした猛攻で攻めてくる・・・・・
桜空の目的は相手を〇すことではなく、相手の動きを完全に止めることであり、タイミングを見計らって不意打ちを仕掛け気絶でもさせることができればいいのだが・・・・・)
紀「やっとお出ましですか・・・・・」
(こちらはもう能力のせいでかなりボロボロなのに、相手はやっと姿を現したことから、相手にとっては今までは単なるお遊び程度であり、これからが本当の地獄の幕開け、といったところか・・・・・)
>>792
>>793
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「ふん、俺は空を舞う大鷲だ!
鼠も猫も俺にとっちゃ餌でしか無い!!」
顔に血管を浮かべながら、爪による捕獲を避けられると、それを最初の回避の時点である程度予見していたため、爪を避けられて直ぐに刃のような両腕の翼を桜空に向けて至近距離で振るう事で追撃を加えようとする。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「キミだけは私の手で葬った方が安定すると思ってね。
なに、キミを葬った後、残りは全て部下達に任せるさ。」
《ヒュッ》
紀を観察し、彼女の異能でサポートをされると厄介であると思ったからか、部下の二人がそれぞれ敵対者と戦い始めた事で自分の手で後方支援に長けた紀を先に潰すと言う。
そして話し終えた瞬間、霞鴉は右手に持ったカランビットナイフではなく、左手を紀の顔に向けて伸ばす。
人間は反射的に目の前に高速で迫るモノを見ると後ろへ仰け反る癖がある。その反射的に相手が後方に下がるだろう事を見越し、一気に紀を地面へと押し倒し、回避も防御も出来ない状態へ持ち込もうとする。
今この場で霞鴉を倒す事が出来れば……
三羽鴉の一羽を失わせ、圧倒的に不利な現状を覆す転換点にする事が出来るだろう。
桜空「その餌に遊ばれてるようじゃあ、空を舞う大鷲が聞いて呆れるな・・・・・」
ドガッ・・・・・!
(自分の足元にゲートを出現させ、相手の頭上に移動するとそのまま踵落としをおみまいする・・・・・
そして、相手からの反撃が来る前にまたゲートで別の場所へ移動するという、自分の能力を最大限に活かした戦い方をする・・・・・
こうしている間にも桜空は、相手を〇さずにどう倒すかを考えている・・・・・)
紀「言っておきますが、タダでは捕まりませんからね・・・・・」
グサッ・・・・・
(忍ばせていたナイフを能力で操り、相手の右手を貫通するように猛スピードで突き刺す・・・・・
紀自身、戦闘経験だってかなりある、自分が後方に下がったところを何かするつもりなのだろうということは大体わかる、体を霧にできる相手にこの攻撃が通用するかどうかはわからないが、相手の予想から少しでも逸れた結果になるのなら、徐々に相手の戦いの策を崩すことも少なからず可能だろう・・・・・)
>>794
>>795
【桜空vs翼腕の鴉】
《ガッ》
翼腕の鴉
「餌が生意気に動き回ってんじゃねぇよ……!」
《メキメキメキメキメキ…》
桜空の一撃が鴉の頭に直撃するが、やはり致命傷には至っておらず、それどころか右翼の一部の異能を解除して桜空の左脚を掴み、翼の代わりに顔の一部を黒い嘴に変えて桜空の頭を突き刺そうとする。
だが、これは逆に鴉の高速移動や飛行と言った機動力を自ら捨てて攻撃に転じているため、ここで強力な一撃を逆に加える事が出来れば勝利出来るかもしれない。
【紀&霞鴉】
霞鴉
「フフッ、キミの異能は既に把握しているよ。」
紀の放ったナイフが霞鴉に向けて勢いよく飛び出すものの、霞鴉は身体の一部を即座に霧に変えることでナイフを避けると、そのまま伸ばした左手で紀の顔を掴んで一気に押し倒す。
既に先程の戦いで、部下達を介して紀が遠隔で物体を動かす異能であると言うことは把握していた。それに対して自分は瞬時に体を霧に変えることが出来る異能を持つ。
相性におけるジャンセンでは既に勝っていると言っても過言ではないだろう。
霞鴉
「一矢報いる事が出来るなんて思わない方がいい。
何せボクは……"無敵の鴉"なのだからね……!」
そのまま霞鴉は逆手持ちになっているカランビットの刃を殴るようにして突き出す事で紀の喉元を切り裂いて絶命させようとする……
桜空「くっ・・・・・!?」
グッ・・・・・!
(脚を掴まれるものの、その身軽さで相手の攻撃を頬に掠る程度でギリギリで避けると、相手の片目に指を突っ込む・・・・・
自分の力ではまともなダメージを与えることは難しい、だが人間誰もが急所である部分を攻撃すれば、大抵の者は一時的に怯む・・・・・)
>>796
ぐぐぐっ・・・・・!
紀「・・・・・っ・・・・・!」
(能力で、相手の腕の動きを止めるものの、完全に止めるというよりかは、何とか力を振り絞ってやっと片腕を止めることが出来る程度なのか、磁石同士が反発するような感じで相手の攻撃を止めている・・・・・
悪足掻きとは正にこのことか・・・・・)
>>797
>>798
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「ぐああああああッ!!?
テメェ………!!!」
片目を潰された事でますます怒り狂い、今度は両足で桜空の両足を掴み、両足に備えた鈎爪によって桜空の両足を潰し、完全にその機動力を潰そうとする。
急所だけじゃない、突然の激痛によっても人は怯む。
それを知らしめるようにして反撃を加えて行く……
翼腕の鴉
「片目を潰した程度で図に乗るなよ……!!!」
《グアッ》
そして、ここで再び嘴によって桜空の頭を割ろうと、ヘッドバンドをする要領で頭を突き出す。
片目を潰されようと、既に至近距離にいて、攻撃のほぼ全てが通るようになった今では、視力を潰されようと相手の位置を常に把握していられる……
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「へぇ?目が見えなくても使えるんだ?
だけど無駄だよ、既に部下達との戦いでかなり消耗したと言うのはわかっている。"これ"もいつまで持つかな?」
霞鴉は馬乗りの状態である事を活かして右肘を少し折って右腕に全体重をかけ、そのまま紀の異能による制止を押し切って紀の喉元を切り裂こうとする……
霞鴉の左手は未だに紀の顔を抑え続け、その視界を遮り続けているものの、既にカランビットナイフの刃は紀の喉に当たっており、一瞬でも気を緩めてしまえばそのまま喉を切り裂かれてしまうだろう。
>>791
紀一人の状態から自分達が加勢したことにより、頭数だけは五分五分へと持ち込めた。
問題はやはり紀の消耗具合である。彼女にも気を配りながら戦わなければならない。
「その為にも……」
巨大な鋼の扇子を作り出し、横溜めに構える。
「どおおおりゃあああああっっ!!!」
凄まじい勢いで振り抜く。鍛え上げられた己の筋肉だけでなく、能力で扇子自体も加速させることで超高速の一閃を実現する。結果、周囲を覆っていた濃霧は暴風に退かされ始める。
「うし、これでくっきりはっきり見えるようになるだろ」
扇子を足元に突き立て、ニカッと笑う。
いまいち視認し辛かった桜空と紀の様子が一目瞭然となる。とりあえずはどちらも致命的な事態にはなっていないようだ。
「おおっとと、こっちも火の粉を払いますかねえ!」
瞬時に鋼鉄棍を再形成。
既に目前まで迫っていた新たな枝を、残らず叩き落とす。
「さーて、そろそろ本体の樹が見えてくる筈だけどな……」
風圧により掻き分けられていく濃霧。鋼鉄棍を肩に乗せ相手の出方を窺う。
「っておいおい! 割りとシャレにならねえ事になってんな!」
ふと紀の方へ視線を向けると、なんと霧の者に今にも止めを刺されそうになっている最中だった。
少し目を離した隙にこれか。あの霧の奴、思った以上にやるようだ。
「させるかよ!」
すかさずパチンコ玉の指弾を撃つ。
こういった緊急事態には、予備動作も使用リソースも少ないこの技が便利である。
銃弾と遜色ない速度で飛ぶ小鉄球は、そのナイフを持つ腕を貫かんと迫る。
「桜空っっ!!!! 仲間が殺されそうになってるぞ!! どうするんだ!!」
喉がはち切れんばかりの勢いで叫ぶ。
非殺傷を通し抜き八咫烏の殺戮行為を許すか、それとも仲間を助ける為に殺しに手を染めるか。
桜空の、選択はーー
>>801
《グアッ》
周囲の濃霧を払い、視界をある程度確保した事で紀の危機状況が判明したものの、戦場において不用意に周囲へと注意を分散するのは直面した敵対者に対する注意が欠如するため、悪手にしかならない……
打ち砕いた枝の一本一本にはそれほど異能による強化が施されていないと言うことはつまり、幾らでも即座に再生可能と言うことであり、砕かれた次の瞬間にはもう再生し終え、再生したばかりの枝槍がほぼ全方位から中川の体を貫こうと迫る。
また、そろそろ術者のいる根元へ近付けたと思いきや、術者が近いこともあり、根元部分と言う局所的にだが、異能か集中している事もあり、鋼をも超す硬度となった樹木によって阻まれてしまう。
樹木使い
「………!!」
だが、絶望的なままと言うわけではなく、紀と霞鴉の姿が見えたと同時に、その奥にある濃霧の中に地面に両手を付けた人影が見える。
位置的にもその人影こそがこの樹木使いの本体であるのだが、中川と樹木使いまでの距離は優に20mはある上に、何処から新しい枝槍を生やして来るかわからない……
>>802
戦場において頭数が減るのは、そのまま敗北への一歩。故に周囲の仲間を、余裕のある内に気遣っておくのは寧ろ定石といっても過言ではない。目の前しか集中できないようでは、それこそ早死にが待っているだけである。
「! くそ、壊したそばからこれかよ……!」
即座にコイル式ジャンプ台を形成、空高く飛び上がった。
恐ろしい再生速度だ、普通のやり方ではジリ貧になる。
(……仕方ねえ『修行の成果【おくのて】』の一つを使うか!)
今こそ虎の子を白昼に晒す時。
「そうらっ!! 手足のどっかは覚悟しな!」
意を決し、円盤型のブレードを生成、フリスビーの要領で空中から投擲する。数は2つ、樹木使いと霧使いの両方を狙った。
丸鋸、ソーサーなどの通称を持つそれは、高速回転を以て彼らを襲う。
……と、これだけならば強化された樹木で防げるだろう。
(けどこいつはそうもいかねえぜ?)
何故ならその円盤刃の刃先部分はある鉱物で出来ていた。
黒曜石。
外観は黒または茶色の半透明。ガラスとよく似た性質を持ち、脆いという欠点はあるが、割ると非常に鋭い破断面(貝殻状断口)を示すことから先史時代より世界各地でナイフや鏃(やじり)、槍の穂先などの石器として長く使用された。
(で、その凄ぇ切れ味の理由ってのが……)
刃先が単分子レベルの厚みしかないのだ。この特性により、他に類を見ない程の切断力を発揮する。
これが『修行の成果【おくのて】』の一つ。徹底的な己の見直しと鍛練の結果、黒曜石をも支配下に入れるに至った。
>>803
樹木使い
「…………ッ!!」
樹木使いは両手を樹木そのものに変えているため、一度異能を解除しない限りは動くことが出来ない。かと言って立ったまま両腕を樹木に変えるとその樹木そのものの重さからいずれにせよ動けなくなる……これが樹木使いの持つ異能の代償の一つ。
中川の投げた黒曜石の円盤に対し、その刃の側面を何百何千と同時に殴るようにして地中から次々と夥しい数の枝槍……いや、これまでのように貫くのではなく、命中するための面積を広げ、打撃力を引き上げた強化した樹木を大量に伸ばすことによって、自分と霞鴉に向かった黒曜石の円盤を叩き割り破壊しようとする。
黒曜石の硬度はモース硬度に換算して"5"
これは通常の石と大差無い硬度であるため、黒曜石は脆く、割れやすい。この打撃を受けてしまえば成す術もなく砕かれてしまうだろう……
更に、薄さに特化した事が仇となり、物質そのものの密度も低く、一度砕かれてしまえば実質的に無効化する事が出来る。
もし、これが相手の不意を突くような形で繰り出していれば……或いは防御技を持たぬ者に対してであれば読み通りに撃破する事が出来ていただろう。
樹木使い
「こんなところで死ぬ訳には行かない……!
悪がいるからみんな苦しみ悲しむ……
何人にも金鵄様の邪魔はさせない……!!」
樹木使いもまた死に物狂いでそう簡単に勝ちは拾えない。
名も無い鴉にも守りたいもの、譲れない信念がある。
だからこそ、最後の最後まで足掻き、限界を超えてでも自らの力で抵抗し続ける。
樹木使いが戦う理由はたった一つ。
"誰も苦しまない、悲しまない世界にする"
金鵄がもたらすその世界こそ、自分の命を捨ててでも叶えたい理想だ。
故に樹木使いは反撃に転じる。
両腕の一部である樹木から再生した無数の枝に無数の棘を備えさせ、貫くだけでなく、それに触れるだけでも裂傷するように茨へと変異させた上で、空中に飛び上がった後、自由落下して来るだろう中川を追うようにして無数の茨を伸ばす。
樹木使い
「お前達には何の信念も理想も無いだろう!?
あったとしても他者を未来永劫苦しめるだけの欲望だ!!
そんな奴らに……邪魔はさせない!!!」
【八咫烏の過去】
氷華
「私の望みはただ一つ。
苦しみも悲しみも無い楽園のような世界にする事だ。」
樹木使いの脳裏にはかつて、氷華が金鵄になって直ぐに開いた就任式の際の演説の一部が蘇る。
氷華
「私はかつて、悪によって両親、故郷、弟を失った……
この場にいる者の中にも何かを奪われた者も多いだろう。」
氷華
「だが、私は単に全てを奪った悪に対して復讐がしたい訳じゃない。
私と……いや、私達と同じような悲惨な目に合い、人間として生きられただろう時間を、人生を奪われる者が現れないような世界を作り上げる。」
氷華
「例え私が命を落とすことになろうと……私はこの悲劇の連鎖を絶ち切り、何者にも奪われる事の無い、苦痛も、恐怖も、絶望も、悲しみも無い未来を創る……!」
樹木使いと、翼腕の鴉の二人も、この時の氷華の語る理想に、自分の理想を重ね、心の内に誓った。
"このお方と共に、このお方の理想を叶えよう"と……
樹木使いも、翼腕の鴉も、過去に理不尽な悪に人生を狂わされた者の一人であり、復讐に取りつかれ、闇雲に悪とされた者達を葬り続けてきた……
だが、氷華の持つ圧倒的な力と才、そして頑なな信念が二人の心を掴んだ。
この二人の目から見えた氷華は、先の見えない復讐と憎悪の闇を彷徨っていた二羽の鴉に進むべき道を教え、暗闇を照らしてくれた存在。
それはまさに闇を払う"太陽"のように……
桜空「っ!!!!!ぁぁあああああぁあああああああああああぁぁぁぁああっ!!!!!」
バキバキバキボキボキィイイッ!!!!!
(両足を潰され、骨が折れていくのがわかる・・・・・
そして、更なる追撃として頭突きを御見舞してこようとする相手に桜空は・・・・・
「っっ!!!!!」
ゴッ・・・・・!
桜空も負けじと頭突きをし、威力を相殺して何とかしようとする・・・・・)
>>799
紀「・・・・・っ」
《もう・・・・・ダメ・・・・・》
ぐっ・・・・・ぐっ・・・・・!
(紀も、能力の限界を超え何とかギリギリで抵抗していたものの、とうとう自分の死を悟り始める・・・・・
が、最後にとことん抵抗してやろうという意思はまだ残っており、その執念が自分の首とナイフの先端の間を数ミリ空けることに成功する・・・・・)
>>800
「中川!!!!!私の生死よりも目の前の的に集中なさいっ!!!!!」
絶体絶命とも言える中、中川に自分が今死にそうになっているこの状況に気を取られずに、目の前の敵をねじ伏せることに集中するように叫ぶ・・・・・
本来ならばもう大声など出せないはずだが、最後の火事場の馬鹿力というやつか・・・・・)
>>801
【一応、今桜空は紀や中川さんがいる場所とは別の場所で戦っているということになっています!わかりづらくてすみません!】
>>中川さん本体様
>>806
翼腕の鴉
「ぐがッ……!!?
こ…の……石頭が……!!」
鴉の繰り出した嘴と桜空の額が激突すると、鴉の嘴が砕け、頭突きの衝撃を諸に頭部に受けてダメージを受けるが、それは桜空も同じであり、高い硬度を誇る嘴と激突した事で彼の額にも致命傷にはならないものの、少なからず傷が出来る。
だが、桜空の両足には鴉の巨大な鉤爪が深々と突き刺さっており、総ダメージ量で言えばまだ鴉の方に分がある……
翼腕の鴉
「俺はまだ負けねぇ……!
負ける訳にはいかねぇんだよ!!」
とは言え、少しでも距離を空けられれば鴉から桜空へ攻撃する手段が無いため、再び両腕を翼に変え、至近距離から無数の羽根弾を撃ち込んで一気に桜空を仕留めようとする。
鴉にも負けられない理由がある。
こんなところで死ぬ訳にはいかない、何が何でも氷華の理想を叶える……そのために自分達はいるのだから。
【紀vs霞鴉】
《ザアァァァァァ…》
霞鴉
「惜しい……」
あと一息で紀の首を斬れたにも関わらず、紀の最後の最後、執念から成る異能によって少し押し返されたところに、中川の打ち出した小鉄球の風切り音を聞いて、自身の体を一瞬にして霞に変える事でその攻撃を透過して回避する。
霞鴉
「助かった……って思っているところ悪いけど……
次は無いよ?」
霞鴉は紀から10m離れた場所で新たに霞の中から具現化すると、まるで今のように追い詰める事など何時でも出来ると言わんばかりに不敵な笑みを浮かべて紀に対して言う。
また、自身の体を一旦霞に変えた後から、中川が吹き飛ばした濃霧が再び戦場に戻り始めており、現在霞鴉の立っている場所はまさに戻り始めた濃霧がある場所となっている。
桜空「それは俺だって同じだ・・・・・!!!!!」
スゥッ・・・・・!
(桜空は再びゲートを出現させ、転送先を真上にすることで自分に攻撃が当たるのを阻止する・・・・・
が、やはり防御に使用している辺り、桜空自身も自分の能力では相手を倒すことは出来ないと薄々察知しているようにも見える・・・・・)
>>807
紀「あなたもしつこい人ですね・・・・・」
(もう力がほとんど残っていない紀は、精神的にもかなり追い詰められており疲れ切った笑みを浮かべては霧鴉のことをしつこい人だと評価する・・・・・
相手のまだまだ余裕と言わんばかりの表情に怒りが湧いてくる・・・・・)
>>808
>>809
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「ハハハッ!それじゃあ……この距離ならどうだ!!」
《ググググ……》
ゲートによって大きく広げた翼から放つ羽根弾を全て頭上へ転移させられると、広げた翼を盾にして防ぎつつ、桜空の両足を食い込む鴉の両足に力を強め、そのまま桜空の両足の筋肉をも握り潰そうとする……
羽根弾を防ぐことは出来ても、既に接触している箇所からの攻撃には対応のしようが無いだろう……
だが、鴉の方も無傷では無く、翼で防ぎきれなかった羽根弾によって鴉自身もダメージを受けており、身体中に裂傷が出来ている。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「言っただろう?ボクは勝ち続けるためには手段を選ばないと……」
《スッ》
【霧幻爪(ファントムクロウ)】
霞鴉は周囲の濃霧に溶けるようにしてその姿を消した次の瞬間、紀の右後ろに現れ、殴り付ける勢いに乗せて紀の首を切り裂こうと襲い掛かる。
体の霧化と実体化を瞬時に繰り返す事で瞬間移動するようにして相手の近くへ移動し、相手の死角から斬撃を繰り返す……
手負いの紀を相手にこれだけの手段を用いることから、霞鴉には正攻法で戦いをするつもりは毛頭無いのだとわかる。
>>804
(くそ、やっぱここからじゃ遠すぎるか……!?)
周囲に本人の姿が見当たらない状況では、流石に声は届きはしないか。
「うげぇ、これも駄目かよ……」
貴重な手札の一つを切って尚、事態は好転しない。胸中に焦りが募る。
そんな中、樹木使いの言葉に耳を傾ける。
「……」
悪がいるから。
理想。
欲望。
「自惚れんな」
射抜き殺さんばかりの視線を向けた。
脊髄に熱が走る、神経が機敏になる。
魂が奴を赦すなと叫ぶ。
空中で手甲と脚絆を形成、刺で手足が傷付かないよう対策する。
「てめえらのソレは信念でもなんでもねえ」
目で追うのがやっとの速さで拳打と蹴りを打ち込む。刺の枝は悉く打ち砕かれ、着地を許してしまう。
返す刀でアッパーカットを放ち、また枝の一つをへし折る。
続けて流れるように回し蹴り。更に一本ひしゃげさせた。
「ただの自己陶酔だ」
枝が強くなっているなら、こちらも同じこと。それも手甲と脚絆という、体に密着するものの関係上、強度も『馬力』もこちらが優位である。
言い換えれば、この手甲と脚絆は、防具とマッスルスーツを兼ねていた。
……しかし、
「しゃらくせえ!」
それでも、押し切れない。膠着状態から競り勝ってはいるのだが、いかんせん『押し』が遅すぎる。こうしている間に仲間が死んでは意味がない。それに加え、こちらも徐々にかすり傷などを付けられ始めていた。
(これでも駄目だ、もっと別の方法を……!)
そう判断するやいなや、手甲と脚絆を円形盾に変化させる。枝の濁流が押し寄せ早々に軋みを上げた。あと数十秒もすれば無惨に破壊されるだろう。
「さぁて、いっちょ試してみますか!」
ある合金を紐状に無数に形成、高速で蛇が這うような動きで全ての枝に絡みつかせた。
すると……
3000℃もの火花が枝の表面を包んだ。
その金属の正体はフェロセリウム。
鉄とセリウムの合金である。木の肌のような表面が荒い物で高速で擦ると、高温の火花を起こす。UN1323(クラス4.1(可燃性物質)容器等級 II)に分類され、輸送する際には定められた容器や方法を用いなければならない程の代物。
瞬く間に枝が燃え上がり始める。ここまで高い温度では最早霧による湿度も、ましてや強度など関係ない。
加えて、全ての枝を隆次一人に向けていたことが事態を加速。
火の手はあっと言う間に燃え広がり『隆次の周囲』というごく狭い空間にしか展開していなかった枝達は、ものの数秒で全て炎上する。
「いくら理想が崇高でも、そこに至る道程が間違ってちゃ意味ねえんだよ」
【畏まりました、ではそのように描写します】
>>主様
>>811
【中川vs樹木使い】
樹木使い
「……………なッ!!」
手数でも物量でも此方が勝っている上に、じきに霞鴉が紀を仕留めて此方へ増援に来る。そうなればもはやこの優位性が崩れることは無く、圧勝できると考えていた矢先、生成した無数の枝の全てが瞬く間に焼き尽くされて行くのを見て驚愕する。
予め、バオバブの樹のように水分を樹木の中に蓄え、更に周囲の濃霧から水分を常時補充することで山火事に合おうとも耐えきれる程の耐火性能も備えていたのだが、それも3000℃の業火を前に意味を成さず、瞬く間に燃え散って行く。
樹木使い
「ぐ………ああぁぁぁぁぁぁッ!!!」
樹木と一体化していた事が仇となり、地中に伸びていた樹木本体と、樹木と一体化していた両腕を介して樹木使いの全身にまで炎が燃え移り、地面を転がりながら全身を覆う炎を必死で消そうとする。
こうなった以上、もはや勝敗は決した。
中川が巻き起こした炎によって周囲の建物にまで燃え広がり、窓ガラスや建物の壁をも焼き焦がし、風と共に周囲へと炎は勢いを止めること無く燃え広がって行く……
悪とされる組織を潰して回っていた鴉達と、街や、そこに住む人々を危険に晒し、実害を出してまで正義とされる鴉を倒そうとする中川……
この様子を端から見ればどちらが悪なのか判別できる者はいないだろう……
【あれ?そう言えば自然界にあるモノしか操れないんじゃなかったんですか?合金とかは明らかに人工になっていますよw】
【セリウムも立派な金属なので、鉄との合金状態での使用も問題ないと判断しました。また、先程自分でプロフを確認したところ『石、砂、金属、宝石といった、地面に由来する物質を生成、操作出来る。』とあったのでやはり問題はないかと。どうしてもまずいようなら直前の投下を書き直します】
>>主様
>>813
【流石に合金とかもありとかになると分子操作や原子操作レベルも可能になるので、合成とかにも生成できるサイズや、数に限界があるか、それを使う度に生死に関わるような代償がかかるようにして下されば特に問題は無いですよ。
また、地面に由来するモノであれば無条件で操れるとなると、普通にボスキャラである三羽鴉以上になるので、そこを調整して頂けると幸いです】
桜空「ぐっ・・・・・!?」
(意識を保っていられるのが不思議なくらいの強烈な激痛・・・・・
しかし、桜空は激痛に耐えながら「俺ばかりに気を取られていたようだな・・・・・!」とニヤリとして言い放つ・・・・・
直後、天井の蛍光灯が割れ、破片が相手めがけて落ちてきた・・・・・
桜空が転送先を上に向けて攻撃を回避していたのは、これが狙いだったのだ・・・・・)
紀「徹底的に相手を叩き潰すそのやり方、敵ながら評価します、ですが・・・・・」
ゴッ・・・・・!
(相手が実体化し右後ろに出現するのとほぼ同時に、紀は右後ろへと振り返ることなく拳を振るう・・・・・
実体化した状態から、また体を霧に変えて溶け込んでゆくその前に、こちらから反撃に出る・・・・・
相手は最後の最後まで抵抗してくる自分を仕留めるためならば、仕留めるには絶好のやり方である背後からの不意打ちも仕掛けてくるだろうと、霧鴉が離れた直後にどの角度で攻撃されても対応できるよう、覚悟を決め感覚を研ぎ澄ましていた・・・・・)
>>810
【ありがとうございます!】
>>中川さん本体様
>>815
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「なに……!!?」
天井の割れた蛍光灯の破片が桜空の展開したゲートによる空間移動を介して振ってくると、咄嗟に両腕の翼を交差させて頭上からの衝撃に備えるものの、それによって腹部がガラ空きにとなる。
また、桜空の両足を鉤爪で突き刺している関係上、翼腕の鴉の俊敏さや機動力も自らの封じてしまっているため、今ここで桜空が渾身のボディーブローを打ち込めばダウンさせる事が出来るかもしれない。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「………!!」
連続して全身を霧に変えるにはある程度の間隔を開ける必要があるのか、このまま再び全身を霧に変えればいいにも関わらず、それをせずに迎撃をしようと考え付く。
だが、此方へ振り向かずに裏拳を放つのを見て、右手に装着したカランビットナイフの刃先を紀の拳に向けて迎え撃つようにして突き出す事で逆に紀の拳をナイフで貫こうとする。
少しずつ見え始めた霧の先
霞鴉と言う得体の知れない無敵の存在が見せた小さな綻び…
これを確固たる反撃の目に出来るかどうかは紀次第……
桜空「っ・・・・・!」
(今しかない、今、この時しか・・・・・
なんとか戦うことは出来ても、能力を使っても倒すことはできない相手を倒すにはチャンスは今しかない・・・・・
桜空は、力を振り絞って全力の一撃を繰り出す・・・・・
「っぉおらぁぁあああっ!!!!!」)
ドボォオンッ!!!!!
>>816 (翼腕の鴉)
紀「そんなに私が仕留めやすそうに見えますか?」
グォンッ・・・・・!
(紀は自分の拳を貫くことに気を取られて一瞬生まれた隙を見逃さずに、そのまま先ほどと同じように体を霧に変えられる前に相手のこめかみめがけて回し蹴りをする・・・・・
無敵にも等しい霧鴉の隙を突けたのはかなり大きいだろう・・・・・)
>>816 (霧鴉)
>>817
【桜空vs翼腕の鴉】
翼腕の鴉
「ぐぉ……ォ………!!?」
《ドサッ》
頭上から落ちて来た蛍光灯を頭上に振り上げた両腕の翼によって防ぐものの、桜空を渾身の一撃が鴉の腹筋をも打ち抜いて殴り飛ばし、翼腕の鴉はそのまま桜空の両足を突き刺していた鉤爪もろとも吹き飛んで行く。
そして、今の一撃をもろに受けた事によって翼腕の鴉は意識を失い、そのまま地面に倒れ、異能も解除される。
【紀vs霞鴉】
《ドスッ》
霞鴉
「フフッ、よくわかっているじゃないか。」
霞鴉は裏拳を止めて回し蹴り
回し蹴りは威力が高いものの、その分、大振りに動かなければならず、その攻撃に必要な動作は先程の裏拳よりも大きい事から、拳を突き刺すために構えていたナイフの刃先を紀の脚に向ける。
更に、カランビットナイフを持った右腕を更に押さえ、蹴りの威力を緩和させるために左腕で右腕に交差させるようにして構える。
これによって回し蹴りを放つ紀に対して逆にその勢いと攻撃を利用して紀自身が自らナイフに突き刺さり、そのままの片足を潰すことになる……
だが、ナイフによって片足が潰れる事を恐れずに蹴りを放つ事が出来れば、まだ霧化する事の出来ない霞鴉に対して少なからずダメージを与えることが出来るだろう。
>>812
「ん?」
(なんで火事なんか起こってんだ!?)
周りを見ると、建築物まで火が燃え移っていた。
「いやなんでそんな広ーく燃えてんの!?」
今しがた燃やした範囲はせいぜい半径5m以内。それがどうして離れた位置にある建物まで燃え広がっているのか。
『何故か』炎が燃え広がり、
『何故か』それに自分は気付かず、
『何故か』スプリンクラーなどの消火設備は作動しなかった。
「枝か? あいつの枝がそこらじゅうに張り巡らされてたのか!?」
「……ああもう! 考えてる暇はねぇ!」
即座に土を覆い被せ、消火を行う。酸素の供給さえ絶ってしまえば簡単なものだ。
「だが規模がそれなりにデカい、ちょいとしんどいな」
暫くの間、隆次は消火の為駆け回ることになる。
ーーーーーーーー
「ふぃ〜っやぁっと終わっ……!?」
「うっ……ぐ……!!」
一段落ついた途端、形容し難い脱力感が襲ってくる。
堪らずその場で膝を付き、やがて倒れた。
「あぁ〜やっぱキッツ……」
無理に体を動かそうとすればする程、余計に重くなるような感覚。
たったあれだけ、たったあの量でこのザマだ。もし数分以上かつトラックみたいな大容量を使っていたらどうなっていたことやら。
「能力を切った瞬間ダレるってわけじゃねえのは、助かるっちゃ助かるが……」
『合金』などというある種原子操作、分子操作にも片足を突っ込む領域である以上、寧ろこの程度の代償で済んでいると考えるべきなのか。
そして合金以外でも、完全に無条件というわけではない。一気に大量に使えばすぐ疲弊するし、地震や地割れなんてのは土台不可能。要は合金を使えば消耗度合いが極端に大きくなるのだ。
(こうしてる間にも、二人が危ねえかもしれねえってのに!)
直ぐに助けにいけない自分に歯噛みする。
(にしても……)
(もしそこらじゅうに張り巡らせてた枝が燃えてたんなら、そもそも樹木の野郎が不法侵入みてーなことしてたってことじゃねえか?)
【成る程、わかりました。では消耗が大きいという方向性で書かせていただきます】
>>主様
>>819
戦いの決着は付いた
樹木を使う相手に火は確かに有効だ
だが、ここは街の中にあるファーストのアジト
火花程度のものであるとは言え、3000℃もの火が出て、地中を覆うようにしてアジト全体に張り巡らされていた樹木使いの枝を介して燃え広がってしまった影響は大きい。
術者が倒れた事で樹木との一体化が解除され、形成されていた樹木も急速に朽ち始め、消えて行くものの、一度作り出された炎は風や可燃物に乗って運ばれ、その被害は拡大していく。
鉄やコンクリートと言ったものは燃えることは無いものの、アジト内にあるカーテンやカーペット、木製品はもちろん、アジトの周辺にある木造家屋等も可燃性の物である上に更にアジト内には霞鴉達によって殺害された遺体もあるため、アジトの内外にまで炎は燃え広がってしまう……
もし、このままアジト内に炎が蔓延し、火薬庫に引火してしまえば……
それこそ大惨事が起きてしまうだろう。
樹木使い
「霞鴉様……金鵄様……
私は……ここで……終わりますが……この者達に………少しでも……」
更に樹木使いは自身がこのまま中川に葬られるぐらいなら、最後の最期まで、業火に包まれていた樹木使いは、神経が焼かれた事で痛みすら感じなくなった事で、新たなる足掻きを思い付く。
自身の体を焼く炎を使うべく、自身の身体中から無数の枝を周囲へと新たに伸ばし、それによって中川の奔走によって鎮火しかけていたアジト内へと更に火種を増やし、再度アジト内を火の海へと変え始める。
自分の命ある限り、自分を焼く炎がある限り、少しでもファーストへ被害を及ぼそうとする……
もし、中川がファーストの信条の通り、炎に包まれた相手の命を助けるため、相手の体にある炎を先に消していれば……もしくは樹木使いの誤りを正すことが出来ていれば……
樹木使いも、本来ならば守るべき無垢の民を守るために火を消すために協力していたかもしれない。
桜空「はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・」
(かなり体力を消耗してしまった・・・・・
だが、これでとりあえずしばらくは相手も目を覚まさないだろう・・・・・
今は、仲間達の身の安全を優先しなければならない・・・・・)
紀「あまい・・・・・!」
ドガッ!!!!!
(紀は何の迷いも躊躇いもなく霧鴉に回し蹴りを食らわせる・・・・・
今更、足を負傷することなど怖くもなんともないのだろう・・・・・)
>>818
>>
【桜空vs翼腕の鴉 決着】
翼腕の鴉
「ぐ……あ……金……鵄………様……」
既に意識を失い、床に倒れて気絶しているものの、それでも尚、金鵄の事を呼ぶようにして、彼女の名前を呟く……
例え氷華の理想が歪んだものであったとしても、それを信じ、悲しみも苦しみもない世界を渇望し、そのために命を賭けて戦う意思のある賛同者もいる……
桜空の両足には翼腕の鴉の鉤爪によって骨にまで届くほどの重傷を負わされていることもあり、この状態で霞鴉に挑むのは無謀だとも言えるだろう。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「な………ッ!!?」
《ドガッ》
カランビットナイフを構え、紀の脚に向けてナイフの刃先を向けつつ、紀の視線や手足の動きを読み、その動きを予測している。
例え避けられたとしても、自分が再び霧化するまでの時間が稼げる。
回避しようと攻撃の手を止めようと、自分の計算通りであり、自分の優位性は崩れない……そう確信していた。
だが、その霞鴉の予想を裏切るように、ナイフが脚に突き刺さる事も厭わずに蹴りの威力を落とすことなく放った事で、始めて霞鴉にダメージを与えることに成功する。
霞鴉
「……ぐ………ぅ…………
賢いとは言えないね……そんな深傷を負った状態では……まともに動くことすら出来ないだろう?」
《ザアァァァァァァァ》
霞鴉はいきなり予想に反した事をした事に驚きつつも、直ぐに自分の体を霧化させて紀から30m離れた場所へ逃れると同時に紀の脚から即座にナイフを抜く。
今の一撃で紀の片足が使い物にならなくなった筈であり、この状態であれば充分に距離を取った自分の前に移動する事は出来ない、このまま距離を取ったまま攻撃し続ければそれで自分は勝てる。
そう考えた霞鴉は30m先で自分の周囲の霧を多数の槍へと具現化させ、それを紀に向けて撃ち出すことで遠距離からの攻撃で仕留めようとする。
>>820、822
『かもしれない』は『かもしれない』でしかないのだ。決して確定ではない。
(なんでこんな、道を外しまくった奴相手に気を遣いまくらなきゃいけないのかねぇ)
そもそも、樹木使いに正気が残っているなら、どこかしらのタイミングで八咫烏を抜けている筈である。
そうでもないのに相手の善意を信じるというのは、単に危険なだけでなく無責任そのものといえる。
更に言うなら、彼らはこれが明確な殺戮行為であることを理解した上で実行に移し、且つそれが正しいと信じ込み、おまけに途中で迷うこともなかった。そんな人間をどうして『土壇場で改心するだろう』と思えるだろうか。
そして対処するにあたり、中学生レベルの感情論をねじ込み、やれ○すな、やれ相手と同じになるだのとほざく自陣営のトップ。
(改めて考えるとホント頭おかしいことしてんな俺ら……)
ブラック企業にも通ずる部分がある。
「とはいえ……」
樹木使いに土を大量に被せ、即座に鎮火。無論新たに燃え広がった部分もだ。またも襲う疲労感は気合いで耐える。
先程といい、何故か被害拡大しやすい風が、八咫烏にとって都合よく吹いていたのは気掛かりだが、今はおいておこう。
おかしな挙動を起こした時点で生成の用意はしていた。そのお陰で被害は最小限に収まる。
「一度やり遂げるって断言しちまったからなあ」
今更それをねじ曲げるのも癪だ。
「ここまできたら、行けるとこまでいくしかねえか」
身の振り方を変えるにしろ、それからでも遅くはないだろう。
(それに……)
やはり自分は八咫烏とは反りが合わない。共感できるのは本当に理想だけであり。その為の過程や方針はどうにも受け入れられないと再確認。たとえFirstを抜けるとしても、八咫烏に鞍替えすることは有り得ない。
加えて、桜空の理念についても、彼自身がその責任を取れないようなら、その瞬間反逆すると心に決めている。その点も現状維持を選んだ理由である。
「とりあえず、後で大将に謝っとく必要はあるな」
完全に相手に非があるのは確かだ、しかし桜空からの命令が『○すな』であったのも事実。ならばここは頭を下げるのが筋であろう。
「それはさておき」
仲間の助太刀に向かわねば。
一分一秒が惜しい。早速巨大扇子を再び作り出し、渾身の力で振るう。
「でりゃああああっっ!!!」
濃霧は蜘蛛の子を散らすように逃げ去り、紀の様子が露になる。案の定窮地に陥ったままで、風前の灯といった体だ。
「まだ生きてるみてぇだな! とりあえずは安心だぜ!」
言うが早いか、砂利のショットガンを放つ。
小粒の群体は全ての槍に襲い掛かり、横殴りの形で軌道を逸らした。
>>823
霞鴉
「……二人ともやられたようだね。
これは少し予定外だったけど……予想を超えるものでは無いね。」
霞鴉
「(まあいい、霞鴉を払う事が出来るようだけど、対処法方はそう難しいものじゃない…)」
【霧幻騎士(ミストブレイカー)】
《ザアァァァァァァァ…》
中川の背後に両手に長剣を持った人型の分身体が現れ、具現化された霧の剣先を振り下ろすことで彼を背後から切り裂こうとする。
先程中川が振り払った事で周囲に霧はもう無くなっていたのだが、何もナイフ空間から新たに霧を生成して操る事が出来るようで、周囲は再び視界をも遮る濃霧に満たされ始めてしまう。
霞鴉の作り出したそれは分身と呼べるほど精巧なものではなく、人の形をしてはいるものの、その顔や細かい姿は再現されておらず、人の上半身を持った霧そのものとなっている。
桜空「・・・・・」
スゥッ・・・・・
(このまま放っておいても大丈夫だろうとは思ったものの、ここまでやられても尚氷華への揺るぎなき忠誠心を見せつけられた桜空は、何を思ったのか翼腕の鴉を治療マシンの中へと転送する・・・・・)
紀「・・・・・あまいですね、中川・・・・・」
(こんな状況で、まだ仲間を助けようだなんて考えている中川に対してあまいというが、その直後に「とりあえず、礼は言っておきます、ありがとう・・・・・」と言い、ふらつきながらも立ち上がる・・・・・)
>>822、823
>>825
霞鴉
「キミは油断大敵と言う言葉を知るべきだ。」
《ヒュオッ》
中川の妨害によって紀に向けて放った霧の槍が全て逸らされるものの、依然として紀と霞鴉の間には30mも離れているため、幾らでも攻撃するチャンスがある。
そこから、霞鴉は中川に向けて繰り出した霧の分身を生み出した時と同じように、今度は紀の頭上に濃霧を作り出し、紀の頭上から多数の霧の槍を降らせて不意討ちを兼ねて攻撃しようとする。
ズウゥッ・・・・・!
(いきなりワープゲートが出現し、全ての槍を仲間の以内場所へ転送すると、桜空が顔を覗かせる・・・・・
「お前のお遊びもここまでだ・・・・・」
桜空は霧鴉に向けて宣戦布告すると
「中川、紀、お前達はアジトに戻ってろ・・・・・」
と言い、強制的にゲートで二人を転送しようとする・・・・・)
>>826
>>827
霞鴉
「フフッ、一度ボクに敗れ、今も両足に深傷を負った状態で勝てるとでも思っているのかい?」
ワープゲートを介して姿を見せた桜空が紀と中川の二人に撤退を進め、自分に挑もうとしているのを見て、以前に彼が自分と戦って敗れ去り、捕縛された事を指摘する。
桜空「物覚えが悪いもんでね・・・・・やれるところまでやってやるよ・・・・・」
(自信満々・・・・・いや、元より力も自分よりも上で、しかも自分は両足を負傷しておりこの有様だ、自信満々なのではなく、これが当たり前の反応だろう・・・・・
「先行を譲ってやるよ、霧野郎・・・・・」)
>>828
>>829
霞鴉
「フフッ、威勢がいいのは結構だけど……キミに悲報だ。
もうキミは生きて捕らえるよりも始末した方が良いと判断したよ。」
【霧幻騎士(ミストナイト)】
《ザアァァァァァァァ…》
桜空の背後に霞が発生し、その中から両手に大剣を持った騎士の上半身が現れ、桜空の背後から交差するようにして両手に持った大剣を振り下ろして切り裂こうとする……
>>824、827
「なっ!?」
後ろに違和感を感じ視線を向けると、剣を持った人間?が振りかぶっていた。
「くっ!」
振り向いて反撃……間に合わない。
(じゃ、これしかねえな!)
直後、霧の分身体は強烈な打撃で吹き飛ばされていた。
鉄山靠(テツザンコウ)
背中で体当たりを繰り出す八極拳の技の一つ。蟲鴉との戦いでも披露した技だ。
「あの時の戦闘は知らされてねえのか? 俺の後ろを取っても無意味だぜ?」
口ではそう言うものの、内心では焦っていた。
(さっきからなんなんだコイツの能力は!? 霧を操るだけじゃねえのかよ!?)
自身を霧に変えて攻撃を無効化。これだけでも十分『ぼくのかんがえたさいきょうののうりょく』といえるが、まあいい。まだ理解できる範疇である。
問題は次だ。霧から衣服だけでなくナイフや槍まで作り出している。一体どういう仕組みなのか。
(霧っていったら小さい水滴じゃねえのかよ!? それが繊維や金属に変わるなんて、ご都合主義もいいとこだぜ!)
まるで合金を無条件無制限に使える自分自身、いやそれでも足りないと思える程に、この能力は脅威だった。
(……まさか、霧を使うってのは偽装で、実際には原子や分子を直接操作してんのか?)
脳裏に、ある恐ろしい可能性がよぎる。この状況で決して考えたくはない、あって欲しくない、そんな可能性。
しかし……もしも、万が一そうだとすれば、これまでの矛盾点が解消されてしまう。
こめかみを嫌な汗が流れる。
「紀ちゃん、あいつの能力、見た目通り霧に限定したものだと思うか?」
「っ!?」
そこまでだった。どうやら桜空が無理矢理自分達を転送させるつもりらしい。
「おい!! 大将っ!!」
霧使いのことで頭が一杯になっていたせいで反応が遅れ、ゲートに飲み込まれてしまう。
「……!……!!」
食ってかかろうとするがその努力も空しく、転送は完了した。
ーーーーーー
【Firstアジト】
「ふざけんな!! 何考えてやがる!!」
怒りの余り壁に拳を叩き付ける。
能力抜きでも、鍛え上げられた筋肉から放たれるそれは非金属製の壁を容易くへこませた。
「くそ! くそ!」
尚も殴打を止めない。
ただただ悔しかった。桜空から実質的に信頼されていないことが、そしてこれから彼が討たれてしまうであろうことが。
ここまで離れていては最早何を生成しても間に合わない。それこそどんな合金であっても。
(せめて、あの樹木使いをもっと早く倒せていれば……)
顔を片手で覆う。
もっといい戦果を残していれば、桜空は自分を強く信頼し、霧使い相手に共闘できていたかもしれない。
(……いや、よそう)
そこまでで思考を止めた。
現実に『たられば』はないのだ。
『かもしれない』は『かもしれない』でしかない。決して確定ではないのだから。
桜空「そいつは面白い、俺が能力の限界でくたばるのが先か、お前にやられるのが先か、それともお前がやられるか、勝負といこうじゃないか・・・・・」
ブォンッ・・・・・!
(桜空はワープゲートを再度出現させると、騎士の振り下ろした剣がワープゲートの先、桜空ではなく別の場所に当たることで桜空は攻撃を回避する・・・・・
「お前も反則レベルの能力だから、俺が能力でどんな回避しても文句はねぇよな?」)
>>830
紀「・・・・・桜空の奴、どこまでも私達をコケにするつもりのようですね、ガキが・・・・・」
(結局は能力で自分達を避難させるという結果になった、戦わせるのか待機させるのか、正直ハッキリとさせてもらいたいところではあるが、何より自分達が弱く見られているような気がして納得がいかない・・・・・
「中川、貴方さっき、敵の能力が霧に限定したものかどうかと聞いてきましたね?」)
>>831
>>832
【桜空vs霞鴉】
霞鴉
「フフッ、自分の生まれ持った異能をいかにして上手く使えるかだうかじゃないか?ボクの方がキミ達の異能を上手く使えるかもしれないね。」
霞鴉は手の内を明かすことを嫌う。
霞鴉は再び周囲の濃霧に紛れ込みながら、桜空の後方だけでなく、正面にも新たに霧の騎士を作り出し、挟み撃ちにするような形へと変えて行く。
正面にいる騎士は桜空に向けて正面から突くようにして大剣を突き出し、背後にいる騎士はワープゲートから剣先を引き抜き、桜空の左右から挟み込むようにして大剣を振るうことで三方面からの同時攻撃を行おうとする。
霞鴉は巧みに異能の本質を隠し続ける。
霧化と霧の具現化が主軸となっているのだが、その上限がどれほどまでのものなのかはまだわからない……
>>832
「……ああ、どうにも気になったんだ。小さい水滴から金属に変わるなんて、どう考えてもおかしいぜ」
いつまでも嘆いているわけにもいかないので、紀に質問の続きをする。
「俺の杞憂だったらいいんだが……ありゃ原子・分子操作の可能性もあり得るぞ」
だとすれば桜空の勝率が更に低くなる。
桜空「使えない能力に対する上手く使えるかもしれないって発言は控えるんだな・・・・・」
スゥッ・・・・・!
(桜空は、今度は自分自身を転送することで攻撃を回避する・・・・・
しかし、アジトへ逃げたりはせずに、この霧が満ちているフィールド内に限定しての移動転送であり、不利とわかっていながらもまだ相手に立ち向かう・・・・・
桜空が幼少期に見た、怯まずに見ず知らずの子をいじめるいじめっ子を助ける為に立ち向かっていた氷華を理想のヒーロー像としているのか、桜空自身もまた、歪んだ正義感を持つ八咫烏には怯まずに立ち向かってゆく・・・・・)
>>834
紀「それか、霧の能力であるというのが嘘ではない可能性も・・・・・」
(紀は続けて「もし私の想像が現実ならばどうやってるかはわかりませんが、複数の能力を持っていて、それを使い分けている、という可能性もあります・・・・・基本、能力者は一つの能力しか持っていない、でも中川は霧以外の能力なんじゃないかと感づき始めたあの霧野郎がもし複数能力持ちだったとしたら、それを仄めかすようなことを自らするとも思えません・・・・・」と言う・・・・・
ファーストのアジトに治療マシンなどという万能マシンがあるのと同様、複数の能力を持たせることくらいは八咫烏に出来てもおかしくはないはずだと紀は考える・・・・・)
>>834
>>835
霞鴉
『フフッ、あのまま逃げればよかったものを。
むざむざやられるためにこの場に留まるだなんて愚かとしか言いようがないね。キミももっと賢くなりなよ?』
霞鴉は辺りを満たす濃霧の中に潜み、新たに現れた桜空に対して、中川を仕留めるために生成したものを含めた三体もの霧の騎士達を向かわせ、前後左右の三方向から同時に斬りかからせようとする。
霞鴉はまさにその名の通り、全てにおいて霞に巻くような言動や戦闘スタイルをしている……
しかも……霞鴉の余裕の様子や、桜空の異能を目の当たりにしても尚、余裕を維持している事から仮に空間転移によって逃げ切れたとしても、それが幸を成すかはわからない。
霞鴉は現状、霧に姿を変えているため、このまま霧になったまま、霧の騎士を使って戦いをされている限り反撃の糸口すら掴めなくなってしまうだろう。
何とかして霧となった霞鴉の本体が出てこざるを状況を作り出すことが出来ればその糸口が見えるようになるかもしれない。
桜空「悪かったな、頭が悪くて・・・・・」
スゥ・・・・・
(桜空は自分の下にゲートを出現させ、落ちるようにして騎士達から10mほど離れた場所へ移動する・・・・・
桜空自身も、何も考えずに攻撃の回避に回っているのではない、常に考えて行動している、だが相手は一歩も二歩も先を読んでいるかのように、隙のない攻撃を仕掛けてくる・・・・・)
>>838
>>839
霞鴉
『その愚かさが故に悪に至った訳なのかい?』
《ザアァァァァァァァ…》
騎士達の振るった大剣が空振りに終わるものの、10m離れた桜空の前へと瞬時に騎士達も移動し、何度でも斬りかかろうとする。
徹底して隙を見せず、常に自分が有利な状態を作り続ける……これが霞鴉の頭脳が生み出す必勝の戦術なのだが、もし、桜空が巨大なゲートを開き、それを高山の山頂やビルの最上階と言った突風の吹き荒れる場所へ繋げる事が出来れば
霞鴉は濃霧もろとも吹き飛ばされる事を阻止するために実体化するかもしれない。
桜空「愚かで悪に至ったからこそ、生きてこれた・・・・・」
スゥ・・・・・
(家族を悪人に奪われ、孤児院での大切な日々と大切な人も奪われた自分は、悪人として生きることになったからこそ、今まで生きてこれたのだと告げる・・・・・
ゲートを出現させるにも、風が強い場所、ビルの最上階は桜空の転送能力を持ってしても身の危険が付き纏う、山などはほとんど行ったことがなく、桜空は他にいい場所はないかと頭をフル回転して考える・・・・・)
>>840
>>841
霞鴉
『そして、今ここで果てる……と言ったところかな?』
【霧幻騎士団(ミストナイツ)】
《ザアァァァァァァァ……》
霞鴉に剥けて振るわれた大剣の斬撃に対して回避も防御もしなかった事から次々と桜空の体が斬り裂かれてしまう。
そんな中、霞鴉の生み出せる霧の騎士の数は三体が上限ではないようで、百人にも及ぶ大軍団が瞬く間に生み出されていく……
これこそが中川達が参戦した際に霞鴉の言っていた"数的有利"の正体なのだろう。
霞鴉
『茶番は終わりにしよう。
キミには一筋の勝機も見せない。』
霞鴉は自身の創造した百を超える騎士の大軍団を桜空に向けて突撃させ、その圧倒的な物量によって桜空を今度こそ勧善に葬ろうとする……
桜空「がっ・・・・・!?」
ビシャッ・・・・・!
(反応が少し遅れた、たったそれだけのことだが、生死をかけた戦いにおいては、致命的ミスとなる・・・・・
攻撃を受けたことにより桜空の体から血が飛び散るが、転送の為のワープゲートが開き、どこかの山奥に場所が変わる・・・・・
不気味な小屋がただそこにポツンとあるだけであり、とても逆転勝利できるようには見えない・・・・・)
>>842
>>843
《ザアァァァァァァァ……》
霞鴉
「もう逃げることは出来ないよ?」
桜空がワープゲートを介して山奥の小屋へ移動するものの、その桜空が開いたワープゲートに濃霧の一部と共に入り、桜空の背後で再び姿を現すと、右手に持ったカランビットナイフを桜空に向けて殴る勢いに乗せて押し出し、一気に決着を付けようとする。
最初は突撃させている霧の騎士達を送り込もうとも考えたが、霧の騎士達の移動速度ではワープゲートの開閉に間に合わない。そのため、霞鴉自身が霧となって高速でワープゲートを通り抜ける事で桜空に先回りを仕掛けていた。
奇しくも霞鴉が姿を見せ、厄介な霧化も数秒の間使えない状況にする事が出来たものの、両足がまともに動かせない桜空ではこの一撃を回避するのは困難だろう……
仮に再びワープゲートを作って移動しようとも、至近距離にいる霞鴉もそれに合わせて即座にゲートを通って追撃を仕掛けて来るだろう…
>>836
複数の能力持ち、紀の口からそれを聞いて納得する。
「なるほど、確かに能力は一人一つなんて、誰が決めたわけでもないしな」
目から鱗とはこのことだろう。
荒れていた感情も幾らか静まり返る。
現時点での情報を統合すれば、霧操作主体で原子・分子操作を補助的に使う、といった具合か。
桜空「・・・・・」
(もはやここまでかと、桜空らしくもなく覚悟を決める・・・・・
死にたくない、戦わなければならない、でも体が動かない・・・・・
意志とは対照的に、体は動かすことが出来ないという、覚悟を決めるしか道は残されていなかったその時・・・・・)
ビュォッ・・・・・!
(強烈な突風が吹き荒れる・・・・・
まるで、桜空に味方するように・・・・・)
>>844
紀「まぁ、憶測の域ですが・・・・・」
(これは推測でしかなく、実際はどうなのかはわからない・・・・・
だが、能力者が存在する以上、可能性としてはゼロではないはずだ・・・・・
どの道、相手が悪すぎた、桜空はもうダメだろうと思っている・・・・・)
>>845
>>846
狼谷
『おちおち死んでもいられねぇな。』
これは夢か幻か、黒いボサボサの髪に、不健康そうな肌、特徴的な丸い眼鏡をかけた男……狼谷が桜空の横に現れ、霞鴉に向けて右腕を翳すと同時に巻き起こった突風によって霞鴉の異能の主軸となっていた濃霧が掻き消される。
彼は確かに死亡した筈であり、
この狼谷の姿も桜空にしか見えない幻のようなものなのかもしれない……
霞鴉
「…………ッ!!
サーマル……いや、山風か……!?
だけど……今の状況ならこのナイフ一本で充分……!!」
突如巻き起こった突風によって纏っていた濃霧が掻き消されてしまうものの、満足に動くことの出来ない桜空一人を仕留めるにはナイフ一本で充分であると判断している。
普段の彼女であれば距離を取って様子を伺うなり、再度濃霧を展開する事を選択するのだが、ナイフが突き刺さる事も厭わずに蹴りを繰り出した紀の姿と言うイレギュラー要素を目の当たりにした事で勝ちを急いでしまっていた。
吹き込んだ突風に、霞鴉の選択ミス。
この二つの大きな要因が桜空に味方をする。
桜空「・・・・・!」
(いきなり吹き荒れたこの風は、もういないはずの狼谷の協力か、それとも極限状態が見せた幻か、どちらにしても桜空は今ここでやれという狼谷の言葉を受け取ったような気がした・・・・・)
桜空「させ・・・・・ねぇよ・・・・・!!!!!」
グォンッ!!!!!
(桜空は残りの力を振り絞り、この戦いでは最後になるであろうワープゲートの展開をする・・・・・
転送する際に吹き荒れる強風も一緒にゲートを通しており、霧鴉を包むように通っている為霧を掻き消したまま転送することに成功する・・・・・
ゲートの先がどこに出るかは、桜空しか知らない・・・・・)
>>847
>>848
霞鴉
『言ったろう?逃がしはしないと……!』
桜空がワープゲートを生成したのを見て、彼の左肩を掴んで一緒に空間移動すると同時に、手にしたカランビットナイフの刃先を桜空の喉に向けて押し出し、桜空の喉を掻き斬って絶命させようとする。
桜空「くっ・・・・・!」
ズブッ・・・・・!
(桜空は自分の右腕を喉元の防御の為に突き出して敢えてナイフを刺させることで防衛する・・・・・
「いいぜぇ・・・・・!そんなに逃がしたくないなら、仲良く一緒に餌食になろうや・・・・・!」
転送先、あまり人も通らない夜道に出ると、落ちてゆく二人を待つのは、電線だった・・・・・)
>>849
>>850
霞鴉
「……!!!
これは少しばかり分が悪い……ここは撤退させてもらおうかな?」
繰り出したナイフの刃によって桜空の右腕を切り裂くものの、そこから更に追撃するためには。眼前の脅威である電線に対応しなければならない事や、このまま行けば両足だけでなく右腕にまで重篤なダメージを負った桜空であればその電線だけでも充分に自滅させられると考える。
直ぐにナイフを引き抜き、再び霧化して逃れようとする。
だが、他者に触れている状態では霧化が使えないのか、直ぐには霧にならず、先ずは離れようとしている。
桜空「大丈夫だ、俺もお前も、この程度で死にはしねぇだろっ・・・・・!」
ぐっ・・・・・!
(桜空は相手の体に抱きつくようにして逃がさないように力を強める・・・・・
とても手負いの状態とは思えないほどに力が強い、よく聞く「火事場の馬鹿力」というやつか・・・・・
自分も電線の餌食になってでも、相手を倒す気でいる・・・・・)
>>851
>>852
霞鴉
「……ッ!!
やめ……ろ…!」
まさか自分の能力による有効範囲が、自分が直接触れている無機物に限定される。だからこそ、最初に出した部下二人も霧化させる事が出来なかった……
その事を知っていたのかどうかは知らないが、自分に抱き付くようにした事で完全に能力が封じられる形となり、必死にもがいて脱出しようとするものの、
決死の力を振り絞る桜空に、体術をあまり鍛えていなかった霞鴉では逃れる事が出来ず、電線に触れてしまう……
霞鴉
「ぐッ!?
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
電線に触れた瞬間、霞鴉の体に凄まじい高圧電流が走り、霞鴉と桜空の二人に激痛が襲い掛かる……
桜空「がっ・・・・・ぁ・・・・・!あ・・・・・」
(覚悟はしていたが、やはり想像を絶するほどの激痛に、呻き声が漏れる・・・・
全身を無数の針で同時に突き刺されるような激しさと、体中が焼かれているような熱さ、これが生き地獄というものなのかと思えてくる・・・・・
が、これで八咫烏の主力の一角を削ることができたのだから、まだいい方だろう・・・・・
しばらく電流を受けた後、二人して地面へと落ちてゆく・・・・・)
ドサッ・・・・・
桜空「・・・・・あ・・・・・りが、と・・・・・な・・・・・狼、谷・・・・・」
(風が吹き荒れたあの場所、狼谷と初めて出会ったあの小屋があった場所に転送したのは、本能がそうさせたのか、それとも狼谷が導いてくれたのかは定かではない・・・・・
だが、あの時確かに見えた狼谷の姿に、桜空は感謝の言葉を述べると、そのまま意識が落ちた・・・・・)
>>853
>>854
霞鴉
「……ぐ……うぅぅ………」
高所から地面に激突した痛みなど気にもならない程の激痛が電線から離れた今でも尚、全身を駆け巡っており、"無敵の鴉"と呼ばれた彼女の姿は何処にも無く、哀れなほどにボロボロになった霞鴉の姿だけがそこにある。
氷華
『貴方のその力は臆病者の力なんかじゃない、貴方の力は弱い者を悪人から隠し、守れる力。私は貴方を信じるわ。』
霞鴉の脳内で孤児院で出会った氷華の姿と言葉が蘇る。
幼い頃は霧になれると言う異能であった事であらぬ疑いをかけられたり、誰からも信頼されず孤立していた事から、
もし、氷華と出会っていなければ、自分は何者にもなれない、空っぽで空虚な存在で終わっていただろう。
そんな自分を認め、信じてくれた氷華がいたからこそ、自分は前任の三羽鴉を倒してその座を得る事で氷華に近付いた。
霞鴉
「はぁ……はぁ………
……ボクは……まだ倒れる訳にはいかない……こんなボクを……信じてくれた氷華を……失望させる訳にはいかないんだ……!!!」
霞鴉は全身を走る激痛に加え、落下の衝撃で体の至るところの骨が折れ、痛みと肉体の過度なダメージによって上手く異能が使えない状態になっているにも関わらず、立ち上がり、おぼつかない足取りだが桜空に近付き、右腕を大きく振り上げ、桜空の心臓目掛けてナイフの刃を突き刺そうとする。
その姿は、最初の頃のような不敵な雰囲気は無く、譲れないものをそれこそ命を賭けてでも必死で守ろうとしているように見える。
ガシッ・・・・・!
悠矢「はいはーい!そこまでそこまでぇ〜♪さっさと帰りますよー霧ちゃん♪」
(霧鴉が桜空にトドメを刺そうとしたその時、いきなり背後から悠矢が霧鴉の右腕を掴み、その動きを止めてアジトに連れて帰ろうとする・・・・・
「こぉんな手負いの雑魚をやったところで何になるのさ?最強の霧鴉の名が泣くよ〜?生かしておいたってどうせ何にもできないんだからこっち側としては問題無いし、とりあえず撤退しないと、ね?」)
>>855
>>856
霞鴉
「……この絶好のチャンスを逃す訳が無いだろう……!?」
霞鴉は桜空を仕留めるこの絶好のチャンスを逃す訳もなく、腕力で少し負けながらも、靴の爪先から小型の仕込みナイフを出し、それを蹴る勢いに乗せて倒れた桜空の腹部に突き刺そうとする。
悠矢「まぁ聞きなって、この時間帯、この辺りはもうすぐ警官が未成年を対象に歩道目的でパトロールするんだよ、俺達が見つかったらいろいろとやばいだろって話さ、氷華ちゃんの計画を無駄にしたくないだろう?」
(今は大人しく撤退するのが最善だということをなんとか告げる・・・・・
警官はおろか、一般人にもこんなところを見られては騒ぎになる、なるべくそのようなことを避けたいからか、今は撤退するように忠告をする・・・・・
「今回はまぐれさ、君ほどの実力があればこんなガキ、いつだってやれるだろう・・・・・?それとも、怖気付いたかな・・・・・?」)
>>857
>>858
霞鴉
「…………運のいい奴だね。キミは……」
霞鴉はならば問題になる前に片付けようとも考えるものの、蹴り出した仕込みナイフの付いた足を止め、氷華からの"極秘任務"を思い出すとその足を止め、周囲を軽く見渡すと、夜明けと共にパトカーのサイレントが鳴り響いて来ている事を聞き取る。
そこで悠矢の進言を聞いて、自分の右腕を霧に変えようとするが、部分的な霧化も出来ない程にダメージを受けた事を察し、即座の離脱や退避が出来ない事からこの場を立ち去る事を決める。
霞鴉
「……これをあげるよ。
口惜しいが…ボクがキミを仕留めきれなかった時にはそれをキミに渡すように言われている。」
霞鴉は自分のボロボロになったコートの内ポケットから布に包まれた映像記録媒体用のチップが入った特殊強化ケースを取り出し、そのチップケースを桜空の傍へ放る。
電線によって感電した際に布に包まれたこのチップケースだけは守っており、中にあるチップは無傷であると思われる。
霞鴉
「……じゃあね、運命に嫌われた者。」
悠矢「よし、それじゃあ行くとしますか、肩貸すからさ」
(霧鴉がやることはやってこの場から去ることを決めたのを見て、肩を貸しながらこの場から移動し始める・・・・・
その際、自分は知らないチップケースの存在と、もし霧鴉が桜空を仕留め切れなかった時はそのチップケースを渡すことになっていたという事実を初めて知り「で?あれは何だったのさ?」と、興味を抱き問いかける・・・・・)
>>859
>>860
霞鴉
「ああ、助かるよ、ありがとう。」
霞鴉
「アレは…血の繋がった者への"最後の情"と言うやつかな?」
チップに記録された情報について少しだけ触れると、悠矢の肩を借りて、登り始めた太陽から逃れるようにして夜闇の中へと消えていく…
悠矢「・・・・・へぇ、面白そうじゃん・・・・・」
(チップの内容についてわずかながらだがそれで十分だと言えるほどの情報を得れば、面白そうだと言いそのまま消えてゆく霧鴉を見つめながら、悠矢もまた闇夜に隠れるようにして去ってゆく・・・・・)
_______
桜空「・・・・・うっ・・・・・ぐ・・・・・」
(二人が去ってからしばらくし、桜空もまた目を覚ましてはゆっくりと立ち上がる・・・・・
「随分手荒くやっちまったが・・・・・なんとか助かったみてぇだな・・・・・」
正直、死ぬかと思ったがなんとか助かったことに安心しつつ、ふらふらした足取りで立ち上がる・・・・・)
【八咫烏 ???拠点】
氷華
「………そろそろ……ね。」
八咫烏の活動拠点の一つ。
そこでは普段なら日本各地を奔走し、休み無く各地にいる犯罪者や反社会勢力の殲滅を行っていた氷華が珍しく拠点内で休息を取っていた。
氷華は窓の無い拠点の一室にて、椅子に腰掛けていた。
目を閉じ、右手に持ったグラスの中に注がれた天然水を口に含むと、目を閉じて今後の展望について、明日に作り出す世界の罪悪浄滅装置……"地獄"の誕生における争乱を脳裏に描く。
この計画を実行すれば確実にこれまでのような平和な世界は永遠に戻ることはなくなるだろう……
悠矢「やっほー氷華ちゃん!お元気〜?」
(地獄の創造を脳裏に描いていたところに、ノックもなしに雰囲気を掻き乱しながら声をかける・・・・・
「氷華ちゃんさぁ・・・・・弟、いたの?」
と、単刀直入に聞いてみる)
>>863
>>864
氷華
「ええ、そうよ。」
入室して早々に自分に弟がいたのかと聞く悠矢の言葉に対しても氷華は表情一つも変えず、グラスに入った天然水を再び口に含みながら言葉短く応える。
悠矢「いいのかい?相手は弟なんだろう?本気のバチバチの〇し合いなんて普通は避けるもんだとは思うけど・・・・・」
(珍しく、まともなことを言う・・・・・
氷華の心情を察することは難しいが、普通の人間は兄弟同士での〇し合いはまず避けたいと考えるが、氷華はそういうのはあまり気にしない方なのだろうかという好奇心から質問話してみる・・・・・)
>>865
【気づくのが遅れましたすみません!】
>>866
氷華
「……怒りも悲しみも何も感じない。
躊躇いも迷いも今となっては私の中に存在していない。」
《パキパキパキパキパキ…》
心情を察することが出来ないのも無理はない…
氷華の心はとっくに凍り付いてしまっていたからだ。
自分の中に人間らしい感情や温かみは今となってはもう残っていないとだけ答えると、目を瞑ったまま氷華が手にした天然水の入ったグラスもろとも凍り付き始め始める。
悠矢「ま、確かに氷華ちゃんがたかが弟程度で動揺するわけないか・・・・・」
(氷華は相手が悪人とあらば誰であろうと決して容赦することなく手にかける・・・・・
今までがそうだったことから、たとえそれが弟だとしても動揺することはないのだろうと判断すると
「で?氷華ちゃんの弟ってことは、やっぱそれなりに強いの?弟君、かなり追い詰められてはいたみたいだけどさ、潜在能力もそこそこ高いの?ってか、離れて暮らしてたの?」
事情を知らないからか、氷華と桜空は今まで離れて暮らしていたのか、桜空も潜在能力は高いのかなど切り込んでゆく・・・・・)
>>867
>>868
氷華
「それはわからない……けど、彼と交戦した"霞鴉"が深傷を負った…
これにどの程度桜空が関係したのかはわからないけど決して低くは無いと言うことになるわ。」
氷華は中身の水もろとも綺麗に凍り付いたグラスに映った自分の顔を見ながら、霞鴉がやられた事から、桜空の力は決して弱くはないと考えている。
悠矢「でもさ、あっちだってかなり痛手を負ったはずだ、霞鴉はともかく、戦いで追い詰められてダメージを負う天才と、ダメージを一切負わない天才とじゃあ出来が違う・・・・・」
(あの霞鴉がボロボロになったことから、少なくとも凡才ではないことは確かであり、常人と比べれば天才の域に達して入るだろうと推測するものの、戦いでダメージを負うか負わないかでは同じ天才でもそもそもの出来が違うと話すと
「ま、こっちは氷華ちゃんがいるし、相手がどんな卑怯な手を使ってきても勝てるでしょ」
と、もう勝利した気でいる・・・・・)
>>869
>>870
氷華
「何があったにせよ……油断はしない、慢心もしない。」
《パキンッ》
氷華は目を閉じて八咫烏の最高戦力の一人であり、無敵を誇る霞鴉が満身創痍となって敗れた以上、自分はもう油断も慢心もしないと宣言すると、氷華の放つ冷気に耐えられなくなったりグラスが音を立てて砕ける。("割れる"ではない)
氷華
「一度"地獄"を作り出してしまえばもう誰にも止められない。
地獄の完成までは……一切手を抜かずに徹底的に潰す。」
氷華は椅子からゆっくりと立ち上がり、右手に付け凍ったグラスの破片を握り潰して粉雪のようにすると、室内であるにも関わらず、極寒の氷原のような肌を刺す程の冷気を放ちつつ、氷のように冷たく鋭い瞳で悠矢を見て、命令を下す。
氷華
「貴方も準備しなさい。そろそろ……地獄を創りに行くわよ。」
人の心を捨てれば捨てるほどに強くなるのが氷華の異能の特徴であるのなら……もはや人の域を超えた氷華は名実ともに正義を語る怪物、人外へと変貌してしまったのだろう。
終焉の時が刻一刻と近付いて来ている……
悠矢「お、いよいよか!りょーかいりょーかーい♪」
(氷華に準備するように言われると、部屋の中の寒さに表情一つ変えずに首をコキコキと鳴らしながら立ち上がる・・・・・
氷華の迷い無き瞳を見れば、改めてこれは面白いことになりそうだと思いながら、氷華を信じてついてきてよかったとも内心思う・・・・・)
>>871
>>ALL
【練馬駐屯地前】
《ドゴオォォォォォォォォッ》
日本の国防の要である陸上自衛隊の駐屯地であり、東京都内の防衛を行う第一師団の司令部がある練馬駐屯地の前にて、大爆発が巻き起こる……
焔鴉
「ハッハッハッ!漸く始まったな!!
罪を浄化するオレの炎で全てを焼き尽くしてやるよ!!」
体長20mにも及び、マグマが滴り落ち、その身に灼熱の業火を纏った、巨大な溶岩の巨人がごとき姿をした焔鴉がその身を構成するマグマを腕の一振によって周囲へ飛び散らせる事で迎撃に向かって来た自衛官達を焼き尽くし、そのまま駐屯地の司令部へ向かって歩き始める……
溶岩の巨人に向けて幾度も機銃やライフル、砲撃が加えられるものの、その分厚いマグマと強固な溶岩の鎧が衝撃を防ぎ、鉄壁の防御を成してしまっているため、殆んどダメージを受けていない。
これが地獄の始まりであり、八咫烏とファーストにおける最終決戦の序章でもある……
悠矢「ちょーっとほむほむー!少しは俺の獲物も残しておいてよー?」
(少し遅れて焔鴉に合流すると、独り占めするのではなく、自分が〇す用の人間も遺しておくように忠告をする・・・・・
駐屯地を襲撃するには確かに焔鴉を向かわせるのは最適かもしれないが、自分の獲物まで独り占めされるのは納得できず、もう少し焔鴉の好戦的かつ荒い性格ははどうにかならないものかと呆れながら)
>>873
>>874
焔鴉
「うるせぇ!俺は悪(クズ)や、悪に加担する奴、それを看過する奴が大嫌いなんだよ!とっととやらねぇとオレが全員を焼き尽くしちまうぞ!!!」
焔鴉の纏った溶岩の鎧の背面から新たに二本の腕が生え、その掌から溶岩の一部を砲弾のようにして撃ち出し、周囲の建物をも破壊し始める。
自衛官
「この……化物め!!!」
《ギュルルルルルルル…》
焔鴉
「効かねぇなァ!!!」
《バゴオッ》
自衛官の一人が銃弾や爆弾がまるで通じない事から、決死の覚悟で装甲車に乗ってフルアクセルで焔鴉に向かい、その大質量を用いて衝突するものの、焔鴉を吹き飛ばすことも叶わない……
そして、焔鴉が装甲車を四本の腕で掴むと、それを司令部がある建物に向けて投げ付け、建物の屋上からスナイパーライフルで狙撃しようとしていた自衛官の元まで投げ付け、そのまま建物の一角もろとも破壊して見せる。
悠矢「いい歳して自制心ってのが全くないんだから困っちゃうよなぁ〜・・・・・何歳か知らないけど」
(これじゃあ獲物はおあずけかと思いながら、巻き添えを喰らわないように少し離れると、そこで傷を負った自衛官の一人を見つけると、ニヤニヤしながらゆっくりと近寄っていく・・・・・)
自衛官「くっ、来るなぁっ・・・・・!」
悠矢「・・・・・見てて情けなくなってくるねぇ、武器も持っていない人間相手に、ここまで無力になるなんて・・・・・」
ブシャッ・・・・・
(そして、何の躊躇いもなく能力で血流を操作し、〇害する・・・・・
武器を持っていない人間相手に、大の大人が何人でかかってもこうも無力になることから、排除対象でありながらも同情すらしてしまうが、純粋な同情ではなく哀れだという気持ちからきている・・・・・)
>>875
【国会議事堂前】
氷華
「……まさか最後に私の前に立ちはだかるのが貴方とはね。
何処まで行っても私の邪魔をするつもりなのね?」
国会議事堂周辺は既に氷華が降らせたまるでビルのように巨大な氷柱によって壊滅状態にあり、議事堂の警備隊もほぼ一方的に打ち倒されたと言うように国家存亡の危機に陥っているのだが、
焔鴉が自衛隊を、劔鴉が警視庁を抑えていた事もあり、誰も氷華を止めることが出来ずにいた……
そんな中、反旗を翻した正義の化身、八咫烏とは対照的に、悪として蔑まれ、民衆の敵と認識されてきたファーストが対峙する……
桜空「当たり前だ、どこまでも邪魔してやるぞ・・・・・」
(幼少期、いつも仲良く一緒に過ごしていた姉弟が、今度は崩れゆく日本の中心とも呼べる場所で対峙する・・・・・
片や国を一度完全にリセットし、悪のいない世界を作るという思想の下動く歪んだ正義
片や歪んだ正義を食い止めるべく奮闘する悪人
この戦いに勝った者が、この先のこの国の命運を決めることとなる・・・・・)
>>877
>>878
氷華
「私の正義の遂行を……地獄の誕生を邪魔するのであれば容赦はしない。立ちはだかる障壁は全て排除する……!」
【氷蓮六華・寒烈の兆し 紅蓮凍土】
右腕を桜空に向けて翳し、人の域を超えた強烈な冷気を吹雪に変えて桜空にぶつけようとする。
放たれた吹雪は周囲の瓦礫や車両を軽々と吹き飛ばしており、まともに受けてしまえば吹き飛ばされるだけに留まらず、体が急速に冷え込み、薄氷に覆われてしまうだろう。
桜空「お前の勝手な自己満足に関係ない人間まで巻き込もうとしてんじゃねぇよ、アホが・・・・・」
グォッ・・・・・!
(今はなんとしてでも相手を食い止めなければならない、なるべく被害を抑えてこの戦いを終わらせるには、多少の建物の巻き込み(民間人及び周囲の人間は避難済み)をしてでも全力で戦うしかない・・・・・
桜空は、ワープゲートを利用して相手の冷気を逆に相手の方へとワープさせて返す・・・・・)
>>879
>>880
氷華
「善と悪が混在するこの世界から、悪を除くためには一度、徹底的なまでに悪を滅ぼす場を、"地獄"を作り出さなければならない。」
【氷蓮六華・罪断刀 尼頼部陀】
冷気を返されるのを見て、右手に氷で作り上げられた一振の刀を生成して返された吹雪に対して振り下ろすと、刀を振り下ろす動作に吹雪への操作も含んでいたのか、氷華を避けるようにして吹雪が二つへ別れて左右へ流れていく。
吹雪が通った後の地面は薄氷に覆われており、まるでシベリアの寒気をそのまま持ってきたかのような現象が起こっている。
氷華
「悪の居ない世界を作り上げるためには一度この世界をリセットしなければならない。」
手にした氷刀を手に、薄氷の上を滑るようにして高速で桜空に接近して手にした刀を振り下ろし、彼の体を切り裂こうとしてみる。
氷刀が纏う冷気もかなりのものであり、下手に受けてしまえば傷口が瞬時に凍り付き、出血はしないものの、傷口から氷が広がり、機動力が低下する上に、肉体の壊死が始まってしまうだろう。
桜空「なんとも頭の悪い考え方だな・・・・・」
スゥッ・・・・・
(ワープゲートを出現させては、そのままゲートの中へと消えてゆく・・・・・
氷華が完全に攻撃に特化した能力ならば、桜空は氷華ほどではないものの、攻撃、そして瞬時に別の場所へとワープすることによる防御に優れた能力と言えよう・・・・・
次、桜空がどこからゲートを出現させ反撃に出るのかは、どんなに強くても見極めるのは困難だろう・・・・・)
>>881
>>882
氷華
「それなら、貴方は別の道を見付けられたとでも言うの?」
ワープゲートが開かれるのを見て、そのゲートの中へ威力や硬度よりも速度に長けた氷柱(つらら)を多数撃ち込むことで移動したその先でもダメージを与えられるようにしようとする。
威力や硬さを犠牲にした即席の氷柱であるとは言え、容易く人体に突き刺さるだけの威力はあるため、放たれた氷柱の一本一本が致命傷になりうるだろう。
スゥッ・・・・・
(桜空は答えるよりも先に、相手の頭上にワープゲートを出現させる・・・・・
恐らく、力に差があり過ぎる相手にいきなりこんな真近から攻撃を仕掛けるなんて馬鹿な真似はしないという状況を逆に利用しての反撃だと思われる・・・・・)
>>883
>>884
氷華
「……答えられないのでしょう?」
頭上にワープゲートが開かれたのをその音からいち早く察知すると、瞬時にそのゲートから氷柱を返されたり、奇襲される可能性があると推測すると、薄氷に覆われた地を軽く蹴って素早くゲートの下から離れようとする。
スッ・・・・・
桜空「らしくねぇじゃねぇか、怖気付いたか?」
ドガッ・・・・・!
(頭上に展開されたワープゲートはダミーであり、今度は氷華の背後にゲートを出現させ、そのまま力を込めて蹴り飛ばす・・・・・
桜空は氷華ならゲートに向けてそのまま攻撃を瞬時にしてくると思っていたのか、ゲートから離れるのを見ればらしくないと呟く・・・・・)
>>885
>>886
氷華
「あら、答えはまだ出ないのかしら?
それに……怖じ気付いたのは貴方の方じゃないの?」
何処まで見えているのかは不明だが、生物の最大の死角である背後に対しては人一倍気を払っており、背後にゲートが開かれると、即座に手にした氷剣手に振り返ると同時に氷剣の一太刀を入れようとする。
数多の戦闘の中でも死角から攻撃を仕掛けて来る者が多く、その事から背後からの攻撃に対してはほぼ完璧に対応することが出来ると言うように、小細工は通用しないだろう。
ゲートによって逃げ回ってばかりの桜空の戦いかたに対して、怖じ気付いたのはどちらだと挑発も交える。
桜空「っ・・・!なるほど・・・・・流石百戦錬磨の鴉、不意打ちも死角からの攻撃も経験済みというわけか・・・・・」
ポタッ・・・・・パキッ・・・・・ポタッ・・・・・パキッ・・・・・
(桜空は肩に攻撃をかすってしまい、かすっただけでも地面に滴り落ちた血液が凍りつき、小さく歪な赤い氷の結晶が砕け散る・・・・・
どうやら、相手を甘く見すぎ、自分を過信しすぎていたようだ・・・・・)
桜空「わりぃな?少し手を抜き過ぎちまったか・・・・・?」
スタッ・・・・・
(ワープゲートから出ては、そのままゲートを閉じる・・・・・
桜空の能力は、攻撃にも使えるものの、どちらかというと逃げに適した能力なことから、氷華ほどの相手と戦う場合はそもそもの能力の面で不利になる・・・・・)
>>887
>>888
氷華
「これまで私は数多くの救い用の無い悪を裁いてきた……」
《シャッ》
掠り傷程度であれば周囲の冷気の影響で即座に出血が止まり、傷の悪化も多少凍傷に近いものになる程度で済むため、ある意味ではこれまでの敵よりも戦いやすいとも言えるかもしれない。
だが、氷華は直ぐ様桜空の傍にまで迫り、手にした氷剣ではなく、敢えて不意を突くように黒い手袋をした左手で桜空に掴みかかろうとしてみる。
氷華と対峙しているだけでも季節なんかはお構いなしに吐く息も凍るような極寒の地に変えている程であるのだが、そんなものを自在に操る氷華の体に直接振れてしまえば瞬時に全身の水分が凍り付いてしまうだろう。
桜空《早いっ・・・・・!》
スッ・・・・・!
(桜空はギリギリで掴みかかられそうだったところを避けることに成功する・・・・・
「言っておくが、死線をくぐり抜けてきたのは腐っても正義を名乗ってるお前だけじゃない、救いようのない悪というなら、自分勝手なクソみたいな考えで無関係の人間まで巻き込もうとするお前だって救いようのない悪だと俺は思うがな、正義の八咫烏さんよぉ・・・・・」)
>>889
>>890
氷華
「その事についての答えなら以前に話した。
大義を成すには犠牲が必要なのよ。それを躊躇う者は何も守れはしないし、変えることは出来ない。」
《パキパキパキパキパキ…》
【氷蓮六華・千貫氷槍 頞部陀】
瞬間凍結の効果を持った掴みかかりが避けられると、即座に地を蹴って後ろへと飛び退きつつ、右手に持った氷剣を振り上げて自分の周囲に千もの多数の氷柱を生成し、一斉に桜空へ撃ち込もうとしてみる。
その氷柱の一本一本が鉄板を容易く貫くだけの威力があり、直撃すれば人体など容易く貫けるだろう。
怒涛の勢いで繰り出される氷華が使う力。
『氷蓮六華』その力は何処までも果てが見えない……
桜空「次から次へと忙しい奴だな・・・・・!!!!!」
ゴガガガガガガガガガガッ・・・・・!!!!!
(桜空は巨大なワープゲートを展開させ、更にもう一つ氷華の頭上にゲートを出現させると、一斉に撃ち込んできた全ての氷柱を防御すると同時にゲートで転送することで逆に攻撃する為の道具として利用する・・・・・
氷華と比べれば何もかもがまだ未熟ではあるものの、上手く能力を駆使すれば防御と攻撃を同時にできる)
>>891
>>892
氷華
「自分の正義も持たない貴方が正義を語る資格なんて無い……」
まるで先程の意趣返しとでも言わんばかりに、いつの間にか桜空の背面に回り込んだ氷華が桜空の心臓を貫こうと氷剣を突き出して追撃しようとする。
先程放った大量の氷柱は視界を遮るための陽動であり、氷華自身はその氷柱に紛れることでゲートで氷柱を返されるところまで想定して動いており、氷柱を放つと同時に走って回り込んでいたと言うように、その推察能力と判断力はこれまで桜空が戦ってきた誰よりも優れている。
桜空「・・・・・!!!!!」
ザシュッ・・・・・!
(桜空はなんとか避けようもするものの、右腕に氷剣の斬撃を受けてしまい、服をも切り裂き痛々しい傷ができる・・・・・
氷華には不意打ちも奇襲もまるで通用しないとやっとわかったのか、表情にやや焦りが見え始める・・・・・)
>>893
>>894
氷華
「私は正義を成すために戦う。その一念だけは昔と変わらないわ。」
氷華は刺突による一撃が桜空の右腕に掠り、その傷口が周囲の極低温下にある影響によって瞬時に凍り付き、出血が止まるが、氷華は攻めの手を緩めることはなく、そのまま手にした氷剣を振るい、桜空の首を跳ねようとする。
今の氷華にはもはや一欠片もの慈悲や思いやりも無く、正義以外の全てを失った、脱け殻のようになってしまったと言っても過言ではないのだろう……
桜空 「その一念だけしか持ってねぇの間違いじゃねぇのか?」
スッ・・・・・!
(氷華の氷剣による一撃を、ワープゲートを出現させずに身体能力だけで避ける・・・・・
桜空の目には、氷華がただ自分勝手な「正義」とは名ばかりの無差別大量〇人鬼にしか映っておらず、その口で正義を語るなと言わんばかりに睨みつける・・・・・)
>>895
>>896
氷華
「貴方にはその一念すら持っていないのでしょう?」
《ゴオッ》
横凪ぎの斬撃を避けるにはしゃがむしか無い。
そのため、しゃがんで避けた事で回避力が低下したタイミングに丁度合わせるようにして鋭い蹴りを放ち、桜空を蹴り飛ばそうとする。
【回想】
劔鴉
「お前にしか頼めない……
金鵄を……いや、氷華を……救ってやって欲しい……」
警視庁の屋上にて繰り広げられた壮絶な死闘の末、腹部を突き刺された劔鴉が最後に自分がサブウェポンとして使っていた刀を、自分では叶えることの出来なかった願いと共に桜空へ託していた……
そのため、桜空の腰にも一振の刀がある。
その刀はかなり精巧に鍛え抜かれた業物であり、勢い良くぶつければ氷華が操る氷をも砕くことが出来るだろう。
桜空「くっ・・・・・!」
ガッ!!!!!
(桜空は決死の覚悟で刀を抜き、氷華の蹴りを刀の刃の逆の部分を構えることで防御することに成功する・・・・・
が、やはり百戦錬磨の八咫烏の長、蹴りだけでも刀が折れるのではないかと思えるほどに強い衝撃が刀を伝って体へと駆け巡ってゆく・・・・・)
>>897
>>898
《ヒュオッ》
息をつく暇すら与えないと言わんばかりに、蹴りによる一撃を防いだ桜空がまだしゃがんでいる事を利用して右腕を伸ばし、桜空の持つ刀を凍り付かせて破壊しようとする。
この場に留まっていれば、触れたものを瞬時に凍り付かせる事の出来る氷華によっていつかは捕まり、凍結させられてしまうだろう……
桜空「なめるなぁっ!!!!!」
スゥッ・・・・・!
(瞬時に相手の手を伸ばした先、つまり自分の目の前にワープゲートを出現させ、転送先を相手の背後にすることで自分で自分を触れて凍りつくように仕向ける・・・・・
こんな罠に引っかかるような相手ではないことは十分把握しているが、これで少しでも相手の動きに隙が出来るなら反撃のチャンスが生まれる・・・・・)
>>899
>>900
氷華
「」
【氷蓮六華・泰山氷槍 臛々婆】
氷華は自分の伸ばした手の先にワープゲートが開かれ、背後から同様にゲートの開く音を聞くと、伸ばした手を桜空ではなく、地面に変え、地面に手を付けると技を発動する。
地中に張り巡らされた水道管を凍らせ、100mを超える巨大な氷柱を無数に伸ばし、桜空を足元から貫こうとする。
氷華を戦況によって瞬時に技の切り替えを行い、氷剣によるリーチを生かしきれない至近距離になると即座に蹴りや凍結に回ると言うようにその判断能力はかなりの脅威となるだろう。
>>900
氷華
「悲しいわ、己の信じるべき正義すら持たない空虚な存在へ成り下がってしまっただなんてね。」
【氷蓮六華・泰山氷槍 臛々婆】
氷華は自分の伸ばした手の先にワープゲートが開かれ、背後から同様にゲートの開く音を聞くと、伸ばした手を桜空ではなく、地面に変え、地面に手を付けると技を発動する。
地中に張り巡らされた水道管を凍らせ、100mを超える巨大な氷柱を無数に伸ばし、桜空を足元から貫こうとする。
氷華を戦況によって瞬時に技の切り替えを行い、氷剣によるリーチを生かしきれない至近距離になると即座に蹴りや凍結に回ると言うようにその判断能力はかなりの脅威となるだろう。
桜空「お前に俺の何がわかるってんだよ・・・・・っ!!!!!」
スッ・・・・・!
(ワープゲートで移動することで、何とか間一髪で攻撃を避けるものの、桜空の息が切れ始める・・・・・
己の正義すら持たない、確かにそうかもしれない、自分は裏社会というアンダーグラウンドの世界でしか生きられない、生きることのできない悪人だ、そもそも正義なんて持ち合わせない・・・・・
「でもよ、無差別に命を奪いまくる自分勝手な正義と、正義は持ち合わせていなくてもそれを阻止しようとする悪党とでは世間はどっちの肩を持つだろうな・・・・・?教えてくれよ、正義の味方さんよ・・・・・」)
>>902
>>903
氷華
「その質問に意味は無いわね。
世間は……いえ、世界はまもなく変革の時を迎える。
あまねく悪はその悉くが滅び、絶対正義の下で新たなる平穏な世界が誕生する。」
【氷華六華・無間牢樹 臛々婆】
《パキパキパキパキパキ》
氷華は地面に右手を当てたまま、更に地中から伸びる巨大な氷柱に念を送ると、天まで届く巨大な氷柱から、新たに多数の氷柱がまるで成長する樹木のように複雑に分岐し、周囲の空間そのものを埋め尽くすような勢いで伸びていく。
巨大な氷柱から伸びた数十本の氷柱が新たに数百の氷柱へと分岐を繰り返し、その分岐した氷柱から新たに数千もの氷柱が生えると言ったように時間の経過と共に逃げ場が失われてしまうだろう。
氷華
「代償を払う覚悟があり、揺るぎ無い一つの信念のために全てを捨てられる者と捨てることの出来ない者…そのどちらがより大きく世界に影響を与えられると思う?」
桜空「意味の有無についてじゃねぇ、どう思うかを聞いてるんだ・・・・・だが、答えられないってことは本気でわからねぇか、もしくはわかっている上での無回答か・・・・・」
ガッ・・・・・!!!!!
(桜空は息を切らしながらも、剣を片手に氷柱を切断してゆく・・・・・
どんな相手であろうと、命を奪ったり生死に関わるようなことは避けたい為、話し合いによる説得を少なからず望んではいたものの、それも実現は不可能だと相手の殺意を全身で感じては改めて思い知る・・・・・)
>>904
>>905
《タンッ》
《ヒュオッ》
桜空が劔鴉から託された刀で迫り来る氷柱を斬り砕く中、いつの間にか桜空の頭上へ飛び上がっていた氷華が体を縦に一回転すると、そのまま踵落としを放って桜空を地面に叩き付けようとする。
先程の無間牢樹は複雑に枝分かれした氷柱を攻撃や逃げ場封じをするだけでなく、こうして相手の頭上、つまりは桜空の死角へと移動するための足場としていた。
桜空「なっ・・・・・!?」
(この攻撃は自分の逃げ場を無くす為の攻撃だと思っていたからか、まさか対応している隙を突かれ図上という死角を取られるとは思っていなかったこともあり、反応が遅れ、得意のゲートの展開も間に合わない・・・・・)
>>906
>>907
氷華
「貴方の移動範囲がどの程度なのかは知らないけど……これはどうかしら?」
《パチンッ》
【氷蓮六華・巨星総滅 嗢鉢羅】
自分の足元に小さな氷の足場を作り、空中へ移動する中、左手で指を鳴らすと、天を覆うような巨大な氷の星を形成し、それを地上へ激突させることで議事堂もろとも周囲一帯を氷柱の樹海もろとも丸ごと消し飛ばそうとする。
しかも、立ち上がるために体制を立て直す必要のある桜空が準備を整える前に超広範囲をまとめて消し飛ばすことで確実に仕留めようと考える。
しかも、氷華本人は空中へ逃れる事で半径数kmにも及ぶ地上において壊滅的なダメージが引き起こされようと無傷で済むようになっている。
桜空「てっ・・・・・めぇっ・・・・・!ふざけるなよっ・・・・・!!!!!」
グゥオッ・・・・・!
(桜空は特大のワープゲートを展開させ、転送先を海にして何とかしてこの氷の星を手荒なやり方ではあるが被害が最大限に抑えられるように対処しようとする・・・・・
氷華の弟というだけあり、桜空もまた火事場の馬鹿力とでも言うものなのか、今までに展開させたことがないほどに巨大なワープゲートを展開させることは成功する・・・・・)
>>908
>>909
氷華
「……いいわ、これまで貴方の事を過小評価していたようだから……評価を改める事にするわ。」
【氷蓮六華・寒烈嵐風 虎々婆】
氷華は自身が作り出せる技の中でも最大にして最強の威力と規模を誇る氷の巨星を桜空が渾身の力を込めて作り出したゲートによって海へ飛ばされるのを見て、桜空への認識を改める。
氷の足場に乗って10mほど上空に浮遊したまま両腕を横へ広げ、桜空に向けて両腕を交差するようにして突き出すと、氷華の背後から桜空に向けて美しい煌めきを伴った吹雪が押し寄せる。
それはまるで吹雪の中を舞う粉雪のようにも見えるものの、その粉雪は薄く軽い鋭利な氷の刃状で形成されているものであるため、見た目の美しさに反して吹雪に呑まれた者の全身を瞬く間に切り裂く程の威力を持った無慈悲な技。
度重なる氷の技によって周囲の空間そのものの気温が低下しており、呼吸をしているだけでも肺に痛みが走る程の低温になっている。
氷華
「悪は決して許してはいけない。
私達の人生を狂わせた奴らの事を忘れたの?
私は片時たりとも忘れた事など無い。」
桜空「くっ・・・・・!呼吸すらままならねぇのかよっ・・・・・!」
グオォオ・・・・・!!!!!
(桜空は寒さと痛み、最悪のコンボとも言える感覚を同時に感じながらも、その吹雪さえも同じように海に転送しようとゲートを維持し続ける・・・・・
が、同時にゲートは桜空の体力の消耗に比例して歪み始める・・・・・)
>>910
>>911
氷華
「……にも関わらず、貴方は悪を肯定するつもり?」
氷華はゆっくりと桜空から20mほど離れた場所へ氷の足場を下ろし、再び地上に降り立つ。こうして距離を取りながら遠巻きに攻撃し続けているだけでも異次元の強さを誇る氷華の優位性に変わりはない。
活路を開けるとしたら、触れられた瞬間に凍結させられるリスクや、氷剣に斬られると言う事を承知の上で接近戦に持ち込むしか方法が無いだろう……
桜空へ追い討ちをしかけるべく、正面から迫る体を切り裂く吹雪をゲートで辛うじて防いでいる桜空の背後にある、先程の無間牢樹の影響で形成された大量の氷柱の一部から桜空へ小さな氷の刃を飛ばし、背中へ突き刺そうとする。
桜空「正義の為ならっ・・・・・民間人への無慈悲な殺戮も正当化されるのかよ・・・・・!!!!!」
スゥッ・・・・・!
桜空「ふざけんなぁっ!!!!!」
グォッ・・・・・!
(桜空は決死の覚悟で、自分が入れる大きさのゲートを展開し、氷華の頭上から斬りかかる・・・・・
どんなリスクがあっても、接近戦に持ち込めばまだ今の戦い方よりも少なからず相手にダメージを与えられるのならば、それに賭けるしか道はない・・・・・)
>>912
>>913
氷華
「理想論や綺麗事では何も変えられない。
私は理想のためならどれだけの代償を払うことになろうとも決して躊躇わない……!」
【氷蓮六華・大輪 頞哳吒】
氷華は桜空がゲートを展開した瞬間を見て、即座に右手に氷剣を持ち直して地面に刺すと、氷華を包み込む蓮華草の花弁ような、巨大な氷の壁が三重に展開する。
これは氷華の最大防御技であり、あらゆる方向からの攻撃を最高硬度の氷壁によって防ぐと言うものとなっている。
桜空「・・・・・その理想論や綺麗事を少しでも実現しようとしない卑怯者がよく言えたな・・・・・」
(桜空は静かな怒りを表情に出し始める・・・・・
理想の為ならどれだけの犠牲を払っても構わないという相手の考え方は、極めて自分勝手であり、そしてお世辞にも正義とは言えない、ただの自己満足な大量虐殺でしかない・・・・・)
>>914
>>915
氷華
「……そう、どうやら貴方は私の記憶にある貴方とは違うようになってしまったようね……私は以前もそう問われた時に返したでしょう?」
昔から氷華は自分の理想や正義を貫くためなら、どれだけ不利になろうとも挑み続け、一度掲げた目標は必ず叶えて来た……
そして、桜空の今の発言を聞いて、過去の姿や、それに憧れていて自分と一緒にヒーローになろうと言っていた頃の桜空とは別物になった事に失望が隠せなくなると同時に、
どれだけの挫折を味わったのか、どれだけ多くに裏切られたのか、どれだけ多くの友を失ったのか……それを桜空は感じ取ることが出来なかった。
氷華
「いいわ、完全に貴方はただのつまらない悪党に成り下がったのだと認識する事にする。」
氷蓮壁によって刀を防ぐだけでなく、そこから更に氷の花弁から無数の氷の棘を伸ばして桜空の体を貫こうとしてみる。
桜空「殺人さえも正当化する正義を一方的に押し付けるだけの奴は悪党じゃねぇのか?」
ガッ・・・・・!
(桜空は剣を振るい、棘を斬り対処する・・・・・
氷華がこんな性格に至るまでに何があったかを想像するのは難しくない、自分だってかなり過酷な状況下を生き抜いた経験だってある、そして悪党に落ち着いた自分でもまだこうして人の心を持てているということは、たとえ悪人でも今も昔夢見た正義を辛うじて貫こうとしてる桜空よりも、氷華は意思が弱かった、とも思える・・・・・)
桜空「墜ちたな・・・・・」
>>916
>>917
氷華
「言ったでしょう?
綺麗事や理想論では何も変えられないと。
多くの人の心には悪意が潜んでいる。それら全てを除き、善人のみを残そうとするのなら、目に見える悪人だけでなく、善人を装う悪人を炙り出し、裁かなければならない……」
《パキパキパキパキパキ…》
氷華は伸ばされた氷の棘を切り裂く桜空を見て、鋭く睨みながら氷華を守る三重の氷の花弁の内、一番外側にある花弁が巨大な槍のようになって桜空の体を貫こうと一斉に伸びる。
桜空「どこまでもくだらねぇ奴だ・・・・・」
スッ・・・・・!
(桜空は剣では対処しきれないと判断し、即座にワープゲートを展開させ、再び相手に返す形で攻撃する・・・・・
綺麗事や理想論ではたしかに何も変えられないかもしれない、だが強引な自分勝手なやり方で多くの命を奪って作り上げた平和なんて、心地が悪すぎると桜空は思う・・・・・
阻止するには、力が及ばずとも、どんな手を使ってでも氷華を止めなければならない・・・・・)
>>918
>>919
氷華
「世界は一度地獄となり、百億いる世界人口は一旦、百人にまで減少する……」
《シャッ》
攻防に優れる反面、さしもの氷華でも継続して発動、維持をする事が難しいのか、形成した三重の氷壁は桜空が返した氷刃を防ぐとゆっくりと氷の花弁が溶けて崩れる。
氷の蓮華草が溶ける最中、氷華は左手の手元へ小さな氷のナイフを形成し、それを桜空の心臓に向けて何の躊躇いも無く投げつけ、彼の体を突き刺そうとする。
楽園の主、地獄の王、その相反する二つを兼ね備えた存在になろうとしている氷華の瞳からは、かつての人間としての温もりや光は完全に失われてしまっている……
桜空「どう考えても正義を名乗る奴のやり方じゃねぇな、八咫烏さんよぉ・・・・・」
(氷のナイフが来ることを見切って、ゲートの展開も剣を振るうこともなく、身体能力を活かして華麗に避ける・・・・・
人それぞれの正義はある、だが氷華のやり方はやはりどう考えても間違っている・・・・・)
>>920
>>921
氷華
「けれど……それは過程過ぎない。
この四満ちた全ての悪を取り除くためには、今ある世界を根底から破壊しなければならない。」
【氷蓮六華・天貫 臛々婆】
氷華は右足を通じて桜空の足元から幅が10m、高さに至っては100mを超える巨大な氷柱を伸ばして貫こうとする。
桜空「化け物かよてめぇっ・・・・・!!!!!」
ヒュォッ・・・・・!
(ワープゲートでの回避をするが、こうも巨大な氷柱を出されては、この回避で対応出来なくなるのも時間の問題・・・・・
しかも、周りへの被害もどんどん大きくなる一方、明らかに力の差が天と地ほどある・・・・・)
>>922
>>923
氷華
「貴方が私を悪と蔑むのも構わない……それが私の望む世界へ進むための代償であると言うのなら甘んじて受け入れるわ。そして……善の世界を作り上げた後、私はその罪と共に滅び去る……」
《ドドドドドドドドドッ》
氷華は左手を桜空に翳し、桜空を追いかけるようにして動かすと、次から次へと桜空が移動した先を先読みしているかのように巨大な氷柱が地中から次から次へと伸び、執拗に桜空を貫こうとする。
桜空「追跡系かよ!!!!!ちくしょうっ!!!!!」
バゴッ!!!!!
(ワープゲートで移動する前に、ある程度引き寄せてから氷柱同士をぶつけさせて砕くことでなんとか対応してみせる・・・・
「自惚れても満身でもなく、その余裕は自身の強さからくる事実というわけか・・・・・歪んだ思想の奴が力を持つとろくな事にならないのはいつの時代も同じだな・・・・・?」)
>>924
>>925
氷華
「穢れ無き世界に穢れた存在は必要ない……勿論、その世界には私と言う存在も必要ないのだから……」
戦闘における時間が経過すればするほどに氷華の眼は桜空がワープゲートを生成する際の微細な癖、生成までのラグを見極め始めており、氷華は翳した左手を指を少し動かすだけでも桜空の背後や側面、頭上や眼下と言ったあらゆる方向から氷柱が伸ばされる。
空気中に含まれる水分を集めて瞬時に巨大な氷柱を生成して攻撃が出来ると言う事から一方的に氷華が攻撃を出来る状態となっており、技を使えば使うほどに気温が低下していく事から無尽蔵に氷を意のままに作り出せる上に、時間の経過と共に桜空の動きを見切る事の出来る動体視力と観察眼を兼ね備えた氷華が優位性を確立させている。
既に接近することすら叶わなくなって来ている……
桜空が勝利するためには氷華に接近戦を持ちかけなければならないのだが、それも次第に行えなくなりつつある……
氷華が完全に桜空の動きを読み終えた時が、桜空が殺害される瞬間なのだろう……そして、その時は残り僅か……
氷華
「全世界の憎悪と憤怒の全てを背負って……私が最後の大罪人となり、滅び去る事で悲劇の無い世界が誕生する、私にはそれを背負う覚悟がある。」
【氷華の先読み完了まで残り『5』】
桜空「随分と自信がおありのようで・・・・・それがお前のただの妄想に過ぎないってことを教えてやるよ・・・・・」
(時間が過ぎれば過ぎるほどに、自分と氷華との力の差はどんどん開いてゆく・・・・・
そして、同時に自負の体力も消耗してゆく・・・・・
氷華自身が最後は自分が〇ぬことで悲しみのない平和な世界が完成するという考え方を持った正義であることから、何を失っても、何を犠牲にしても怖いものがない以上、解決策をこうしてワープゲートを瞬時にあちこちに展開しながら練っているのだが、失うものが無くなった自分勝手な正義というのは非常に厄介だ・・・・・)
>>926
>>927
氷華
「何の覚悟も信念も無い者が私に勝てると思わない方がいい。」
次から次へとゲートを開く桜空に対応するように、氷柱から氷柱が伸び、ゲートを通って移動した先で仕留められるようにしつつ、
氷華も自身に向けて最初の時のように桜空が不意討ちを仕掛けて来ても対応できるように自分の周囲を取り囲むように氷柱を立てて迎撃体勢も整え始めて行く。
桜空「畜生っ・・・・・!キリがねぇっ!!!!!」
スッ・・・・・!
(桜空は一旦近くの建物の屋上に移動し、何か反撃に使えそうなものはないかどうか探し始める・・・・・
相手は純粋に能力だけでずっと余裕を保ちながら戦い続けることができるまさに化け物、対してただ瞬時な移動できるだけの能力では回避することしか出来ず、剣を振るっても大きなダメージを与えることはできなかった・・・・・
ならば、他に武器を調達する必要がある・・・・・)
>>928
>>929
氷華
「何処へ逃れようとも・・・私の手からは逃れられない。
そして私の手は悪を取り零すことは無い。」
【氷蓮六華・千刃氷刃 頞部陀】
氷華は桜空を中心とした周囲300mの頭上に多数の小さな氷の刃を形成し、そのまま一気に地上の全てを攻撃することで桜空が移動できるであろう範囲を超えて攻撃しようとする。
桜空の傍には氷華が展開した巨大な氷柱によって転倒した装甲車の一団があり、その中には対異能者用の異能封じの弾丸が装填されたライフルを持った機動隊の骸がある。
【氷華が完全見切るまで残り『3』】
桜空「・・・・・逃げ場なし、か・・・・・」
(自分一人を仕留める為に、罪のない人間まで巻き込まれるのは御免だ、ならば無闇やたらに逃げ回らずに能力者にのみ通用する反撃をするのみ、後のことよりも今を何とかするべきだと考えた・・・・・)
スッ・・・・・
(桜空は、機動隊の骸が転がっている場所へと移動しようとゲートを展開する・・・・・)
>>930
>>931
氷華
「……………。」
【氷蓮六華・地烈氷刃 臛々婆】
《バキハキバキバキバキ…》
装甲車に向かって移動しようとしているのを見て、氷華は手にした氷剣を下から上へ振り上げ、地面を這うようにして強烈な冷気が地を駆け、転倒した装甲車の車体下から無数の氷柱を生やす事で、
桜空が異能封じの銃を手に入れるのが先か、それとも氷華の放つ氷柱が彼を装甲車もろとも貫くのが先か……
或いは空から降り注ぐ無数の氷刃の雨によって全身を切り刻まれるのが先か……
桜空「何としてでも仕留める気か・・・・・」
ガッ・・・・・!
(桜空は今この時が勝敗を決すると確信し、身体の動きが素早くなる・・・・・
桜空は貫かれるギリギリで銃を手にすると、そままゲートで氷柱と氷刃の攻撃に挟み撃ちにされる前に移動し、間一髪のところで難を逃れる・・・・・)
>>932
>>933
氷華
「……貴方が身に付けたのは逃げ足の速さだけなの?」
桜空がゲートに入った次の瞬間、地中から伸びる氷柱と、空から降り注ぐ氷刃の上下からの壮絶な挟撃により、分厚い装甲に守られ、ライフル弾をも容易く防ぐ強固かつ巨大な装甲車が瞬く間に鉄片となり、粉々に粉砕されていく。
もし、ゲートに入る時間が一秒でも遅れていれば装甲車と同じ運命を辿ることになっていただろう……
【氷華が完全見切るまで残り『1』】
桜空「かもな、ご存知の通り、生きづらい人間なんだ・・・・・」
(自分は孤児院で再び全てを失い、ボスに拾われたあの日、裏社会の人間になった、生きていくのが危険な人間になった、だからこそ逃げ足も能力を含めて考えなくとも人一倍早いのかもしれない・・・・・
「いい加減目を覚ましたらどうだ?お前が悪がどうだこうだって正義を歪ませてる間に、俺は少なくとも人間として幾分かは成長したぞ?悪人以下だな、お前は・・・・・」)
>>934
>>935
氷華
「私がやらなければ誰もやらない……
それどころか世界は新たなる惨劇と悲劇を生み出すだけ。」
氷華は自分の周囲3mを除いた周辺一帯に氷刃の雨を振らせ続けながら、桜空のいる方向へ手にした氷剣を向け、桜空の足元の薄氷から無数の氷柱を生やして急襲しようとする。
氷華は桜空の異力使用による呼吸の頻度、手足の微細な筋肉の動き、視線の移動、雰囲気の微細な変化を完全に掴んだ事で桜空による奇襲や不意討ちについての見切りと予測を完了してしまう……もう氷華に異能を用いて攻撃を当てることは出来ないだろう。
【氷華による能力見切り完了】
桜空「どこまでも自分勝手な奴だ、正義と自分勝手の区別がつかないらしい・・・・・」
タンッ・・・・・!
(桜空は氷柱を生やしてくるだろうと先に予想し、地面を蹴って全速力で走りそのままゲートで移動を開始する・・・・・
氷華がこちらの動きを見切った以上、こちらは先読みして今まで以上にギリギリの回避を常にするしかなく、身体能力と瞬発力が必要となってくる・・・・・)
>>936
>>937
氷華
「貴方の異能はもう見切った。
タネを見破られた道化には退場願おう。」
ゲートを開いた瞬間、桜空の入ろうとしているゲートに向けてタイミングを合わせるようにして氷柱の一部から多数の氷刃を分離させて放ち、ゲート内に入ってもその内部で相手の体が引き裂かれるようにしようとする。
もう氷華に攻撃を当てるのは困難だ。
そして、氷華が技を使えば使うほどに周囲の気温は低下してい行っており、寒さの影響で動きも精細を欠くようになって来てしまうだろう。
桜空「いいや、ショーはこれからだ・・・・・」
ガッ・・・・・!
(何も今の桜空は異能だけではない、剣という武器が多少なりとはサポートしてくれる・・・・・
氷柱から放たれた氷刃を、研ぎ澄まされた身体能力と瞬発力を駆使し、弾き返してゆく・・・・・
「俺がお前にやられるか、それともお前が目を覚ますか、どっちが先か勝負といこうじゃないか・・・・・」)
>>938
>>939
氷華
「その銃と刀がその自信の源なのかしら?
なら……その自信の源を絶たせてもらう。」
《パキパキパキパキパキ…》
【氷蓮六華・寒烈嵐風 虎々婆】
氷華は再び両腕を大きく広げると、氷華の周囲の空気中に星々の煌めきのように無数の光が生じ、光が生じた箇所には無数の小さな氷刃が形成され、広げた両手を桜空へ翳すと、吹雪に乗って無数の氷刃が桜空を呑み込もうと押し寄せる。
美しい見た目の技であるものの、その本質は圧倒的な物量を活かし、呑まれた全てのモノを切り刻む、命を奪う死の吹雪となっている。
刀を振るおうにも届かず、狙撃しようにも狙いを定められない、まさに銃と刀の双方の利点や長所を潰し、一方的に相手を蹂躙する技となっている。
桜空「・・・・・仲間の遺品にすら感情の一つも持たねぇのかよ・・・・・」
グォッ・・・・・!
(自分の周りに四方八方ゲートを展開し、全方向からの攻撃を跳ね返せるようにする・・・・・
「本当に目の前の悪を滅ぼすことしか考えていないんだな、愚かな奴だ・・・・・どの口が正義を語っ・・・・・」
明らかに見てわかるほどに、桜空の表情が固まる・・・・・)
>>940
>>941
氷華
「私は私の人生を狂わせた悪を決して許しはしない。
全ての悪を滅ぼすこと、それだけが私の生まれた理由、そして存在する理由……」
《ザアァァァァァァァァァ…》
ゲートとゲートの隙間、前後左右だけでなく、上下からも無数の氷刃を含んだ吹雪が桜空の体を切り裂こうとする……
氷華には悪への復讐。
その感情に支配されてしまっており、劔鴉の刀にさえも気付けなくなってしまっている……
それは一歩間違えていれば……
薫先生や狼谷等の恩人や仲間に出会えなかった……
いや、自分を導いてくれる者と出会うのが遅ければ悪を憎み復讐する事を望む今の氷華のようになっていたかもしれないだろう。
桜空「・・・っ・・・・・!」
スッ・・・・・!
ズババババババッ・・・・・!!!!!
桜空「ぐぅっ・・・・・!」
(桜空は切り刻まれることなどお構い無しと言わんばかりに、少し離れたボロボロになったビルの方へと急いで向かってゆく・・・・・
しかし、全身を切り刻まれながらだからか、ゲートが上手く展開できずに、歪になっている・・・・・
悪を滅ぼす為だけの復讐鬼と化した氷華から逃げることを選んだか、それとも・・・・・)
>>942
>>943
氷華
「もはや戦う意思も無い……と?」
【氷蓮六華・天貫 臛々婆】
《バキバキバキバキバキバキバキ》
周囲では氷華が技を使わなくとも冷たい風が吹き荒んでおり、地吹雪(ブリザード)まで生じる程に低温の世界となっており、この辺りにまでなってくると、まともに防寒具を身に付けていない桜空は手足の感覚すら失われて来てしまうだろう……
手足の感覚が失われれば刀を握る事も銃を持つことも出来なくなり、敗北と死が確実なものとなってしまうだろう。
そんな中でも氷華は無慈悲にも、桜空が駆け込もうとしているビルもろとも桜空を破壊するべく、100mを超える長大な氷柱を地中から伸ばす。
無策の行動は全て無意味となる。
このまま時間だけが過ぎれば、やがてはまともに動くことは愚か、生存する事すら出来なくなってしまうだろう……
桜空「っ!!!!!」
ガッ・・・・・!!!!!
(氷柱が伸びていたところ、ボロボロになったビルの一部が崩れ、そのまま氷柱に激突し砕かれる・・・・・
氷柱が生えたことで辺りのガレキをなぎ飛ばし、土埃が待っている・・・・・
が、少しして土埃が晴れると・・・・・)
桜空「はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・」
(生きているかどうかもわからない見ず知らずの、幼い姉弟と思われる地面に横たわる子供達を抱き抱え、間一髪のところで攻撃を避けていた・・・・・
もしかしたらまだ息があるかもしれない幼い命を、桜空は放ってはおけなかったのだろう・・・・・)
>>944
>>945
氷華
「……!!?」
ビルが倒壊する中でも氷華は何の感情も抱くことなく、静かに桜空の姿を探し、追撃に備えていたものの、崩れたビルの中から桜空が幼い姉弟を救出したのを見ると、その姉弟の姿が何処か昔の自分達の姿に重なって見える。
困惑する氷華には反撃するには充分な隙が生まれている。
桜空「・・・・・おらぁっ・・・・・!!!!!」
ゴッ!!!!!
(桜空は素早く姐弟を別の場所に転送した後、氷華のもとまでワープして背後から回し蹴りを放つ・・・・・
正直、剣や銃は防御用と言っても過言ではなく、最初から命を奪うつもりが桜空にない以上、直接攻撃を出来る機会が訪れたその時は、身体能力による物理攻撃でなるべく攻める・・・・・)
>>946
>>947
氷華
「………ッ!」
《シャッ》
完全に不意を突かれるものの、桜空の異能の性質や特徴について既に把握していた事もあり、蹴りに対して即座に体そのものを前に倒すことで蹴りの威力を逃がし、ダメージを軽減すると
即座に前に右足を出して倒れるのを止め、それと同時に前に出した右足を軸足とし、背後へ振り返ると共に手にした氷剣を振るって桜空の体を切り裂こうとする。
異能は精神による同様の影響や術者の心の強さが大きく反映される。
そのため、今の精神的な動揺を抱く氷華の操る氷はその硬度が不安定なものとなっていて、僅かながらにだが弱体化している
桜空「てめぇは自分の正義の正当化しか考えられねぇのか!!!!!」
ゴシャッ・・・・・!
(桜空は何の罪もない幼い命までもが命の危険に晒されている光景を目にしても、まだ自分の歪み切った正義を正当化することしか考えられないのかと怒号を浴びせながら剣を振るい、氷華の氷剣を砕く・・・・・
砕け散った氷の残骸が散らばってゆく・・・・・)
>>948
>>949
氷華
「…………!!!
万人が望む正義など存在しない……
どれだけの素晴らしい案があろうと、それを実現することが出来なければただの空虚な理想論にしかならない……!」
【氷蓮六華・天満刃華 頞哳吒】
《パキンッ》
氷華の心に動揺が走ったことで脆くなった氷剣が、桜空の刀と激突して砕けると、まさか自分の作り出した氷がこれほど容易く破壊されるとは思わず、砕けた氷剣を見て刹那の瞬間だけ驚愕するものの、直ぐに冷静さを取り戻し、折れた氷剣を捨てて右手を地面に付ける。
すると、その次の瞬間、氷華を中心に周囲に向かって水面の波紋のように無数の蓮華の氷華が刃のような鋭さを持って全方位に向けて伸び、桜空が何処へ回り込もうとしても切り裂けるようにしてみる。
氷華がいる中心点から外へ伸びた三重の巨大な氷の花弁は先程のものとは違い、攻撃力に特化したものとなっており、氷そのものの硬さよりも、花弁の鋭利さに注力されている。
桜空「それでてめぇが実現するのがこんなクソみてぇな大虐殺か!!!!!正義が聞いて呆れるな!!!!!」
ゴガガガガガガガガガッ!!!!!
(桜空は自分の周りにゲートを展開して、花弁の前に攻撃を全て転送することで防御と攻撃の二つを同時に行う・・・・・
空虚な理想論のままならまだいいこんな惨劇を引き起こすのが正義なら聞いて呆れる・・・・・)
>>950
>>951
氷華
「……貴方はそうやって吠える事しか出来ないのでしょう?
その証拠に……貴方からは何の信念も感じられない。」
氷華は地面に付けている右手を少し浮かせながら、先程から自分の翳す正義に反対しているものの、具体的に自分は何をするのか、何を理想としているのかを語らず、稚拙な揚げ足取りに終始しているだけである事を指摘する。
氷華
「今のように目に見えているものを救う?
それもいいでしょう。けれど……目に見えない者はどうするの?」
【氷蓮六華・槍天 臛々婆】
氷華は浮かせた右手の人差し指の先を地面に付ける。
すると、地中からはこれまでの中でも最長を誇る氷柱……いや、その大きさからもはや氷柱ではなく、氷の尖塔が出現させて桜空を貫こうとする。
氷の尖塔はスカイツリー並みの高さを有しており、下手に浮けようとすれば遥か天高くまで押し上げられてしまうだろう。
氷華
「私は手の届く範囲に、目の届く範囲に命を集め、それを守るためにこの命を使う。決して誰も取り零されないように、誰も見捨てられないように……そのためには悪を徹底的に裁き選別しなければならない。」
氷華はもはや止まらない。
確固たる信念、揺るぎ無い正義を持つ氷華を打ち倒すには、それをも凌ぐ"何か"を示さなければならないだろう。
その差が異能の強さ、影響力となって現れている。
氷華は心の底から正義の楽園を作ろうとしており、そのための覚悟も決め、犠牲も払い続けて来た。これこそが氷華の持つ桁違いの異能の源となっており、これを崩せなければ勝機は無いだろう。
桜空「信念もクソもあるか!!!!!てめぇ一人の身勝手で多くの人間が犠牲になってんだぞ!!!!!信念や理由なんて後回しだ!!!!!」
スゥッ・・・・・
(桜空はゲートを展開し、氷華の攻撃をギリギリで避ける・・・・・
正直、口では何とでも言えるが、もうここまで圧倒的に差をつけられては、手を出しようがなく、説得するにも聞く耳持たずな以上、内心お手上げ状態となる・・・・・)
>>952
>>953
氷華
「私がやらないと誰もやらない……
そうして悲劇と惨劇を誰も断ち切ろうとせずに連鎖して今に至っている訳でしょう?」
手にした氷剣をゲートによって移動した桜空に向けて三回ほど素早く振るうと、三つもの凍った斬撃を飛ばして遠隔でも相手を切り裂こうとする。
バシュッ・・・・・!
桜空「がっ・・・・・!?」
(先ほど、幼い姉弟を救う為に氷華の猛攻を浴びたことから、体中傷だらけで動きが以前よりも圧倒的に遅く、鈍くなってしまっているのが仇となり、背中に斬撃の一つを受けてしまう・・・・・
「その為に・・・・・ハァ・・・・・ハァ・・・・・惨劇を起こしてやろう・・・・・ってか・・・・・?こんなことをしておいて・・・・・本当に世界が平和になると思ってんのか・・・・・?」)
>>954
>>955
氷華
「いつかは誰かがその業を背負わなければならない。
だけど……時間の経過と共に苦しむ者は増えるばかり。」
桜空の背中に氷の斬撃が命中したのを見ながら、自身の持論について話す。今を生きる者の多くを……罪を冒さずに生涯を終えるかもしれない者や、現在の秩序の中であれば悪事に手を染めずにいる者達と言ったように改心の余地がある者達をも極悪人ともども切り捨て、進もうとしている。
同じ氷の異能を持ちながら、悪事に手を染めた者をも救おうとしていた、薫先生とはまるで対照的な考えとなっている……
幸いなことに出血した箇所が直ぐに氷で覆われ、出血による絶命や気絶をする事は無いだろう。
氷華
「この世で唯一残った肉親へかける最後の情として聞いてあげる。
何か言い残すことはある?」
氷華はブーツの底をスケートのエッジのようなものを形成し、それを活かして氷上を滑るようにして彼の前へ移動すると、手にした瞬時に再生成していた氷剣を大きく振り上げる。
そして、氷華の中に微かに残っていた桜空への情から、最後に何か言い残すことはあるかと問いかける。
桜空「ぐっ・・・・・ぅ・・・・・ず、随分と・・・・・優しいじゃねぇか・・・・・」
(まだ立ち向かうつもりなのか、ボロボロになりながらも桜空は立ち上がるだけ立ち上がってみる・・・・・
周囲一帯が極寒とかした今、桜空の傷口から滴り落ちる鮮血は、瞬時に凍りつき、結晶となって地面へと落ち砕け散る・・・・・
「そ・・・・・それじゃあ・・・・・お言葉に甘えさせてもらうか・・・・・と言っても、俺はもうあまり喋る気力すらねぇ・・・・・だから・・・・・代理に代弁してもらうか・・・・・」
そう言うと、スマホを取り出す・・・・・
恐らく、桜空の言葉から察するに、ビデオ通話が繋がっているのだろう・・・・・)
>>956
>>957
氷華
「…………………」
氷剣を持った右手の代わりに左手で桜空が取り出したスマホを手にし、目線は桜空に向けたまま、話を聞こうとする。
仮に何か変な事をしようとすれば即座に異能を使って防ぐように身構えており、ここから不意討ちや奇襲は難しいだろう。
桜空「俺はもうまともに動けねぇ・・・・・攻撃も何もしねぇよ・・・・・俺の方じゃなく、相手の方を見ろ・・・・・相手の為にも、お前の為にもな・・・・・」
(体中に出来た切り傷の中でも、特に傷が深い部分を手で押さえながら上記を述べる・・・・・
体温も徐々に下がっており、恐らく反撃なんてまともにもうできないというのは嘘偽りではなく、事実だろう・・・・・
「俺なんかの方を見てたら、後悔するぞ、お前・・・・・」)
>>958
>>959
氷華
「そう?それなら保険をかけておくわ。」
左手の指先を桜空の頭上に向けると、彼の頭上1m上にウニのように小さくも無数の棘を備えた氷の塊を形成し、何時でも桜空へトドメをさせるような状況にした上で数秒だけスマホへ向ける。
『・・・・・っ・・・・・ぐすっ・・・・・』
(スマホ画面は何故か真っ暗で、誰かの泣いているような、嗚咽が聞こえてくる・・・・・
どこまでも悲しみに包まれたような、そんな悲哀がスマホから伝わってくる・・・・・)
>>960
>>961
氷華
「……これが貴方の最後の言葉、かしら?」
氷華は嗚咽が聞こえるだけで、他には何も声が聞こえない事に落胆すると、桜空の頭上に浮かぶ氷の棘珠を凝縮し始める……
今の氷華にとって、スマホの向こうに誰が居るのか、何を想っているのか、その事へ思慮を巡らせるということすら忘れてしまっている……
『・・・・・もう、やめてよ・・・・・氷華・・・・・』
(スマホから、聞き覚えのある声が聞こえてくる・・・・・
その声は、時々の、それも限られた時間でしか会えなかったものの、氷華からすればとても大切な人物の声であり、氷華を一気に引き戻すような声で・・・・・)
>>962
>>963
氷華
「………!?」
桜空の頭上に形成した氷球を破裂させ、自分以外の全てを貫く氷針を解き放とうとしていたものの、そのまま決着を付けようとしていた寸前で氷華がまだ『人間』だった頃の親友の声が聞こえた事でその攻撃の手が止まる。
『私はっ・・・・・こんなことをする氷華嫌だよ・・・・・!氷華がいつも平和の為に頑張ってるのは知ってた・・・・・ほんの少しだけど、氷華は話してくれたし・・・・・時々しか会えないのも氷華が一生懸命頑張っているからなんだと思ってた・・・・・でも・・・・・こんなことをする為に氷華が今まで頑張っていたなんて知らなかった!私すごく悲しいよ!やるせない!騙された気持ちだよ・・・・・!』
(ようやく、スマホの画面に夕渚の姿が映る・・・・・
恐らく、あまりの惨状にスマホを置いてしまっていたのだろう・・・・・
夕渚の顔は、涙で見たことがないほどに悲しみに包まれていた・・・・・)
>>964
>>965
氷華
「……私はもう後戻りする事は出来ない。
理解してもらえないのは悲しいけれど……それでも私はもう止まれない。」
国を敵に回した以上、もう後戻りは出来ない。
自分で始めてしまった以上、自分の手で終わらせる事は出来ない……
氷華の瞳の奥に微かに感情の揺らぎが見えるものの、凍りついた心は感情そのものを押し潰してしまう。
自分の中にある人としての感情から生まれる罪悪感から氷華はスマホから目を離そうとする。
『・・・・・私、馬鹿だからどうするのが一番いいかなんてわからないけど・・・・・でも・・・・・氷華がこれからやり直す手伝いはしたい・・・・・』
(夕渚本人が言うように、夕渚は本当に馬鹿だ・・・・・
ここまでのことをしておいて、やり直すことなんてどう考えても出来っこない・・・・・
もう後戻りできない以上、氷華が計画しているように、一度完全な地獄を作り出してから氷華自身が命を絶つことで元通りとはいかずとも事態は終息する・・・・・
それでも尚、氷華が親友として心を開いた夕渚だからこそ、説得しようとする・・・・・)
>>966
>>967
氷華
「……………。」
自分と一緒にやり直してくれると言う夕渚の言葉を聞いて、何も言葉を返すことが出来ず、少しの沈黙をもって応えると、静かにスマホの通話を切る。
何も言葉を返さずにいたため、その本心はわからないものの、夕渚の言葉で氷華の心に張り詰めていた氷が微かに溶けたのか、氷華が迎撃用に展開していた巨大な氷柱が崩れ始め、桜空の頭上に浮かばせていた氷の棘珠もその硬度を大きく落ち、破壊が容易なものとなる。
これで多少なりとも氷華の力が落ちたものの、それでも依然として世界最強クラスである事に変わりはない無い。
桜空「・・・・・っ・・・・・!」
ガッ・・・・・!
(桜空は、頭上のものを素手で殴りバラバラにして砕くと、そのまま氷華に突進して掴みかかり
「てめぇ・・・・・!ダチすら大切にできねぇのか・・・・・!」
と、怒号を浴びせる・・・・・
精神的にかなり揺らいではいるものの、依然としてまだ力の差はある相手に対して怖じ気付くことなく立ち向かう桜空の姿は、当の本人である氷華の目にはどう映るのか・・・・・)
>>968
>>969
氷華
「……全ては大義のため、私は私欲を、私情を捨ててどれだけでも非情になれる……それこそが私の覚悟よ、何も捨てることが出来ない貴方では理解することは出来ないでしょうけどね……」
桜空が頭上にある氷塊を破壊された事で攻撃が不発に終わると、此方へ向かって来る桜空に対して手にした氷剣を振るって迎え撃とうとする。
だが、その氷の硬度は低下しており、氷華を打ち倒し、自らの信念を持つことが出来ているのなら容易く破壊することが出来るだろう。
バキッ・・・・・
桜空「あぁ・・・・・理解したいだなんて死んでも思わねぇ、クソくらえだ・・・・・」
(桜空は簡単に氷剣を砕くと、そのまま睨みながら「これを見ろ、全部てめぇがやったんだ・・・・・罪もない人間さえ、子供すら巻き込んだ・・・・・大義もクソもへったくれもねぇ、これを正義だのなんだのって言えるなら、てめぇは本当に頭がおかしい・・・・・」と言い)
>>971
>>971
氷華
「……!!!
正気な頭の者がいても何も変わらなかった。
その末路が私達のような生い立ちの者でしょう……?」
桜空の首を狙って振るった氷剣が砕かると、今度は自分の左手で手刀を作り、その手刀に氷を纏わせて氷の刃とすると、それをもって桜空の腹部を貫いて掴まれる前にその体を貫いて絶命させようとする。
桜空「っ・・・・・」
ポタッ・・・・・
(桜空は氷華の腕を掴んでなんとか止めるものの、手刀の先端部分が桜空の腹部に数センチほど突き刺さり、血が滴り落ちる・・・・・
氷華の言うこともわかる、だが、それを理由にして虐殺をしていいわけがない・・・・・)
>>972
>>973
氷華
「貴方はその非情になりきれない甘い幻想を抱いたまま朽ちていくがいいわ。」
《パキパキパキパキパキ…》
桜空の腹部に少し刺さると、そこからパキパキと音を立てて凍り始め、そのまま手刀が刺さった箇所を壊死させ、彼の体を凍り付けにしようとする。
氷華はこの計画のために、人であるために必要なものを全て捨て去った……その彼女から見れば希望論や綺麗事ばかりを並べ、自分のように世界の改革のために動かない事を"甘い幻想"と蔑んでいる。
桜空「ぐっ・・・・・!?くっ・・・・・!」
ぐっ、ぐっ・・・・・
(桜空は必死に手刀を抜こうとするものの、既に腕も凍り始めており、じわじわと体の自由を奪ってゆく・・・・・
激痛と極寒、二つの脅威に挟みうちにされる・・・・・)
>>974
>>975
氷華
「人生とは等価交換。
何も捨てる事が出来ない者は何も得ることが出来ない……
私は正義以外の全てを捨てた……」
一度凍り始めてしまえば、能力が弱体化している今でもこれで充分。
氷華は桜空の腹部に当てていた右手を離すと、そのまま桜空から離れて彼が凍るまでの様子を見ようとする。
パキ・・・・・パキ・・・・・
桜空「ぐっ・・・・・正義がどうとか言っているが・・・・・てめぇのやってることは・・・・・ただの無差別大量虐殺以外の何ものでもねぇ・・・・・」
(内蔵までも凍てついてゆく中、呼吸すらまともにできずに最後の時は迫り来る・・・・・
そんな中でも、桜空は氷華のやり方は間違っていると必死に反論する・・・・・)
>>976
>>977
氷華
「貴方はそこで歩みを止めて見ているといいわ。」
氷華は次第に体が氷に包まれていく桜空を見て、あと数分で全身が凍り付いて凍死するであろう事から決着は着いたと考え、最後の仕上げをするために凍り付いた国会議事堂に向かって歩き始める。
そんな中で、桜空の懐には先程、装甲者の中にいた機動隊員から手に入れた対異能弾を装填された拳銃がある。
実質的に決着が付き、ほぼ全身が凍り付いてしまった桜空に対しての警戒が緩んでいるようで、今、彼女の背中からこの銃弾を打ち込めば倒すことは出来なくとも更なる弱体化を狙えるかもしれない。
ピキッ・・・・・パキッ・・・・・
桜空「ぅ・・・・・あ・・・・・」
《くそっ・・・・・!体が・・・・・動かねぇ・・・・・》
(平和の実現の為ならば、悪人になっても平和を望む実の弟すらも手にかけることを躊躇わない氷華の作り上げた氷は、まるで氷華の今の人間性や心を表すかのように、硬く、そしてどこまでも冷たい・・・・・
桜空は、力を振り絞り懐の拳銃を取り出そうと必死に腕を動かすものの、わずか数ミリ動かすのがやっとであり、桜空はどんどん氷像へとなってゆく・・・・・)
>>978
>>979
氷華
「……………。」
氷華は構わずに議事堂前の階段を登って行く。
そして去って行く氷華の背中も周囲に吹き込む吹雪によって薄れ始めてしまっている。
かつて二人は別々に別れ、それぞれ過酷な環境で生きることになったのだが、その時と同じ……いや、その時以上に、この場で氷華の姿が見えなくなった場合、二度と会うことが出来ない……例え桜空が生き延びたとしても二度と氷華と邂逅することは無い。
そんな予感が感じられる。
《・・・・・待てよ・・・・・行くな・・・・・》
(桜空は、最後の力を出せる限りだそうとする・・・・・
が、体を覆い尽くす氷は、もうすぐ完全に桜空の全身を包み込もうとしており、じわじわと対応と体の自由を奪うと同時に、桜空の意識が朦朧とし始める・・・・・)
ジャリ・・・・・
(国会議事堂へと歩いてゆく氷華の足元、何かを踏んだような感覚が伝わる・・・・・)
>>980
>>981
氷華
「……………?」
桜空の必死の抵抗や呼び掛けも虚しく、桜空の体は氷に覆われ始め、氷華は振り替えることも無く歩き続ける。
既に周囲の階段、道路、芝生、土の表面には厚さ3cm程の氷で覆い尽くされているため、議事堂の階段を登り終えた後に足元から違和感を感じる。
その違和感の正体を突き止めるために足をどかし、自分の足元を見る。
・・・・・
(氷華が足をどけると、そこにあったのは、幼少期の氷華と桜空が映った写真が入ったペンダントであり、氷華のものとは違うことから、桜空も同じように幼少期の思い出を肌身離さずに持っていたこと、戦いの衝撃で桜空の服から落ちて飛んでいったのだということがわかる・・・・・
桜空は、氷華との正義のヒーローになりたいという願いを忘れてはいなかった・・・・・)
>>982
>>983
氷華
「……なぜこんな所にコレが……?」
桜空のペンダントが落ちているのを見て、黒い革手袋を付けた右手で拾い上げてそれを見ると、どうして議事堂の階段上にこれがあるのか、何時これが落ちたのか……何故桜空がまだこれを持っているのか、様々な疑問が脳を過る。
・・・・・
(写真の中の幼い二人は、まだ穢れというものを知らず、どこまでも純粋で、そして些細な喧嘩すらもしなかった・・・・・
たった10年という年月が、二人にとってはあまりにも大き過ぎた・・・・・
桜空がまだこれを持っている理由は、桜空以外では氷華しか知ることは出来ないだろう・・・・・
まだ桜空は幼少期の誓いを・・・・・)
>>984
>>985
氷華
「…………………。」
写真の中に映る桜空の顔を見て、表情には現れてはいないものの、数秒だけ立ち止まり、様々な感情が胸の中を駆け巡り、複雑な心境になるが、やがて目線を議事堂へ戻し、議事堂内へ入ろうと歩みを再開しようとする。
自分はもう二度と戻ることは出来ない、一方通行であり、決して巻き戻すことの出来ない時の流れの中では前に進むと言う選択肢しか存在しない……
バキンッ・・・・・!
桜空「氷華ぁぁぁあああああああああああああっ!!!!!」
(氷華が立ち止まり、様々な感情が入り乱れたその刹那の瞬間、桜空はそのタイミングを逃すことなく氷を打ち破り、氷華へと走り迫ってゆく・・・・・
桜空の目は、悲しみや信念など、氷華同様に様々な感情が入り混じっていた・・・・・)
>>986
>>987
氷華
「……………!!」
《バッ》
背後から自分の名を呼ぶ咆哮が聞こえ、更に体の芯までは凍り付いていなかったのか、氷華は反射的に振り向き際に右手を翳し、その掌から一本の氷柱を伸ばして桜空の体を貫こうとする。
精神的な動揺からか、その氷の生成速度も硬度も低下しているため、死力を尽くせば回避や破壊も可能なレベルとなっている。
【正義の行方】
息も凍る程の冷たい大地
草も木も無く、地平線の遥か彼方まで広がる無人の凍土
方位磁石やコンパスはおろか、星すらも存在しない
自分がいったい何処を歩いているのかさえもわからない
歩き出した足は太腿、脹ら脛、両膝、足首、土踏まずの全てが常に引き裂かれるような激痛をもたらしている
吹き付ける風は肌を刺すようで
温もりを生むものは何一つ無く
体温を守る毛布すら無い
生命を拒むような死と氷の世界を氷華は歩いている
ひとたび視線を反らせば方向感覚すら失う世界
それこそが氷華の歩く世界だ
かつて最愛の弟と約束した未来を、正義を守るために
この無人の荒野を歩くことを決めたのだが
もはや目的地どころか帰る場所も戻る場所も
どこにあるのかわからない
ただ一度向いた『前』だけが未来へ繋がると信じ
両足が上げる悲鳴や激痛に耐えて歩き続ける
この先にはきっと……
かつて自分達が夢見た理想の世界があると信じて…
桜空「っ・・・・・!!!!!」
ヒュッ・・・・・!
(ある程度予想していたものの、やはり仕掛けてくる際のスピードは予想込みでも避けるのがギリギリになってしまう・・・・・
しかし、今の氷華の攻撃を避けるのは、今の桜空でも十分に可能だった・・・・・
桜空は、氷柱を避けると、そのまま氷華に掴みかかり、そしてそのまま勢いに任せて押し倒す・・・・・)
桜空「ふざっけんなよっ!!!!!」
(桜空喉号が凍てつく世界に響き渡る・・・・・)
桜空「仮にも正義を志す人間がこんなことをして何も感じねぇわけねぇだろ!!!!!てめぇの心は死んじゃいねぇ!!!!!てめぇは本心に気づけないんじゃなく本心に蓋して都合よく自分を偽ってるだけだ!!!!!もう他人も、自分自身も傷つけるな!!!!!
・・・・・頼むよ・・・・・姉ちゃん・・・・・」
ポロッ・・・・・ポロッ・・・・・
(桜空の目からは、涙が零れ始める・・・・・
互いに正体を知って傷ついたのは、氷華だけではない・・・・
いくら薫先生という恩人に恵まれ用と、恩人を失うも悪人に命を救われようと、どんな時でも心のどこかには氷華の存在があった・・・・・
だが、やっと会えた時には、すべて変わっていた・・・・・
今までの様々な感情が、入り乱れ、そして涙となって零れ落ちてゆく・・・・・
もう、限界だった・・・・・)
>>988、989
>>990
氷華
「!?……桜空……。」
氷柱による刺突が避けられ、直ぐに逃れようと後方へ下がろうとするものの、足元に桜空の落としたペンダントが見え、このまま動けばそのペンダントをも踏みつけてしまうと考え、回避のための足が止まる……
そこで防御に回る時間が無くなり、桜空に押し倒される。
押し倒す際に彼が持っている刀を心臓に突き出していればその時点で自分が殺害されていたのだが、それをせず、変わり果て、決別を宣言した自分の事をまだ姉と呼んでくれている事に対して氷華は静かに驚いている。
氷華
「……私はここに来るまでに多くのものを捨てて来た……
自分も、仲間も、親友も……実の弟でさえも……」
ゴールも、自分の居る場所でさえも見えない無限に広がる荒野を歩き続けるのはいったいどれだけの絶望に満ちているのだろうか。
正義を言い訳に、過去の約束を言い訳に、自分自身からも目を背け、理想の正義を成すために数多くの罪を背負った……
自分はもう姉と呼ばれる資格も無く、涙の一つも流れない自分の冷たさに呆れさえ感じてしまうが、そんな全てを切り捨てて来た自分も……唯一、桜空や亡き両親と共に過ごした幸せな記憶を大切に守り続けて来た……
桜空「てめぇの勝手を押し付けてんじゃねぇ!!!!!てめぇさっきの夕渚の言葉聞いてもまだそんなことが言えんのかよ!!!!!てめぇが勝手に周りを避けてるだけだろうが!!!!!夕渚も俺もまだお前のこと見捨てちゃいねぇぞ!!!!!」
(夕渚の想いも、自分の想いも、これだけ想い続けてもまだ氷華には届かないのか、何故わかってくれないのか、意味のない歪んだ正義の遂行の為ならば周りを避けられるのか・・・・・
桜空には理解出来なかった、思いが届かないのが悔しかった、やるせなかった、許せなかった・・・・・)
>>991
>>992
氷華
「そうして悪から目を背けるから新たな犠牲者が生まれる……
誰も世界を救わないと言うのなら……私がやるしかない……!」
桜空の落としたペンダントを踏まないようにし、最初に霞鴉が桜空を捕縛した時、それ以降も何度も桜空を殺害できるチャンスがありながら、それを一切する事無く、
氷華
「貴方の考えが正しいと言うのなら……私を倒し、その信念を貫いてみなさい!!」
《ヒュオッ》
氷華は素早く桜空の服の右襟と左裾を掴み、足払いを仕掛けつつ、自身の体を横転させるように動くことで逆に桜空を押し倒して馬乗りになる状態に持ち込もうとする。
氷華の異能は弱体に弱体を重ね、その力は通常の異能レベルにまで低下しているものの、それでも尚、ずば抜けた格闘センスと身体能力を持っている氷華を倒すのは困難だろう……
だが、氷華を呪縛から解放するためには氷華の氷を、氷華の呪縛を全て打ち砕かなくてはならない……
桜空「くっ・・・・!?ただの大量虐殺止めるのに正しいもクソもあるか・・・・・!!!!!いい加減に目を覚ませやぁっ!!!!!」
ゴッ・・・・・!
(桜空は馬乗り状態に持ち込まれる前に、氷華の顔を殴りつけることで体勢を崩そうとする・・・・・
桜空の信念というものを一言で表すなら、理不尽が世界を滅ぼすなんてことはさせない、だろうか・・・・・)
>>993
>>994
氷華
「その大量虐殺をしなければ、これから生まれてくる無限の命が絶えず奪われ続け、踏みにじられ続ける……世界そのものが根底から変わらない限り…ね!」
氷華は自分の顔に向かって桜空が拳を打ち出そうとしているのを肩の動きと肘の曲がりから予知し、その拳を受け止める形で防ぎつつ、左拳に氷を纏わせて威力を引き上げたものを桜空の顔へ逆に打ち込もうとする。
桜空「未来の為なら今ある罪の無い命を奪っていいのかよ!!!!!」
ブォンッ・・・・・!!!!!
(桜空は敢えて予備動作がわかりやすい攻撃を仕掛けると見せかけて氷華を誘導し、自分の目の前にゲートを展開し、転送先を氷華の背後、つまり背中に氷華自身の攻撃が直撃するようにする・・・・・
氷華がとことん能力を用いた攻撃を仕掛けてくるのならば、桜空はそれに対応した頭脳戦、といったところだろうか・・・・・)
>>995
>>996
氷華
「………………。」
《バッ》
先程、桜空が異能を発動させるタイミングや動作の癖等を見抜いていた事もあり、氷を纏った拳が自分の背後に当たる寸前で拳を止める事が出来る。
氷華は桜空の未来のために今を生きる命を奪ってもいいのかと言う問いかけに対して明確な答えを出すことが出来ず、ゲートから手を引き抜くと同時に後方へとバク転するようにして飛び退き、右手を地面に着地させると、そのまま地中の水分を瞬間凍結させて氷柱とし、地面に倒れた桜空の体を下から貫こうとする。
理不尽な現実に対する怒りは二人の共通点ではあるのだが、その途が交わることは無いのかもしれない……
桜空「答えられないか・・・・・そりゃあそうだよなぁ!!!!!てめぇは自分の悪事を正当化しているだけで正義じゃあねぇんだからなぁっ!!!!!」
グォッ・・・・・!
(桜空はゲートを展開し、氷柱が自分へ突き刺さらないように防御する・・・・・
桜空自身、氷華への怒りからかもはや吹っ切れているらしく、ゲートの展開速度が先程よりも早まり始めている・・・・・)
>>997
>>998
氷華
「私が倒れれば……誰も世界を変えられない。
断言するわ、今のままの世界が続けば何千年何万年経とうとも決して悪は無くならない……」
《パチンッ》
【氷蓮六華・千本氷桜 頞部陀】
氷華が指を鳴らすと、その次の瞬間、桜空の周囲に伸びた氷柱から無数の氷の針が桜空に向けてありとあらゆる方向から同時に放たれ、迫る。
この技は殺傷能力や一撃ごとの威力はさほど無いものの、恐るべきはその数。ダメージも蓄積すれば致命傷となる。それを体現するかのような氷の針となっている……
桜空「ぐっ・・・・・!?」
バババババババババババッ・・・・・!
(桜空はゲートー展開させることですべての針を直撃することはなんとか免れるものの、やはり体のあちこちに無数の針の攻撃を受けてしまう・・・・・
が、ここで自分が怯んでは、世界のこれからが、無実の人間達の未来が危うい・・・・・)
桜空「・・・・・てめぇ一人がこんな意味のねぇことをやって何になる・・・・・?いつの時代だって、悪人なんてのはどこにでもいる・・・・・こんなことしたって、悪は無くならねぇよ・・・・・」
>>999
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててください。